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春山拓思 『NAT SOUND 4 NOON』(千葉県浦安市)

千葉からのエントリーはなんと彼1人。どうした千葉!ファイト!ファイト!ちば!(©️ジャガー)と言えど、PARK GALLERY の知名度の低さを嘆くしかないわけですけれども、春山さんの参加は COLLECTIVE の順調な走り出しの意。納品はもちろん設営にまで手伝いに来てくれた春山さん。たぶんあの日、山積みの ZINE の前、あのタイミングで作家さんと握手しなければ、こんな風に参加者のみなさんに手紙みたいなレビューを書こうとか、会期中にひとの集まれるイベントをやろうとかそういうの思わなかったかもしれなくて、もしかしたら集めて並べて売っておしまいの展示になってたかもしれないです(ゾッとする)。

COLLECTIVE

レビューに移ります。

自分の見たもの・聞いたもの・心象のドキュメントです。ー 春山 拓思

ドキュメントとなると具象的な表現が多くなりがちだけれど、見たもの・聞いたもの・心象をドキュメントするとなるとだいたい抽象化していく。気持ちをボールペンで表現しろと言われても難しいように、抽象化せざるを得ない。でもその抽象はシュールとは違くて(厳密にはシュールリアルかもしれないけれど)、自分にとって必要ではない線を自分の視界や記憶の風景から省略していく感じに近いのではないかと思ってる。シンプルにしていくストイックな作業に見えて、自分にとって必要ないものを取捨選択するノイズまみれの作業でもある。トラディッショナルなスタイルで突き詰めていくとオットー・ネーベルのような幾何学的なパズルのような線と面と色彩の構築になっていく気がするけれど、「音楽が好きです」と言って千葉は浦安(東京ディズニーリゾート市)で、海を背にはにかむ春山さんの抽象ドキュメントはもう少しアーバンでグラフィティ的な、そしてポップでユーモラスな作風が内包されてくる。

例えば圧倒的な浦安のディズニーイクスピアリ感は置いておいて、彼の住む浦安の、いつでも海と広大な敷地、工場が見える日常を、写真じゃなくて線と面で切り取って、彼の好きな音楽の、そのリズムとメロディに乗せてぐにゃりと柔らかく曲げてみる。ぐんにゃり。きれいとは言えないその海。汚いとは言えないその海。それぞれ。

そんな彼の日常のドキュメント=風景がイラストレーション、ドローイングとなってモノクロームで描かれてるのではなかろうかとニヤニヤしながら ZINE を開くと、ときどき肩透かしを食らうかのようなかわいいイラストたち。

これでミッキーマ○スに負けない浦安のゆるキャラを描いて欲しい次第です◉ その時には PARK GALLERY と一緒にステッカーにしましょう。

ー written by 加藤 淳也

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エントリー 千葉

春山 拓思 / Hiroshi Haruyama

イラストレーター

1981年生まれ
2007年 桑沢デザイン研究所 夜間部ビジュアルデザイン科 卒業
2015年〜 MJ イラストレーションズ 在籍

AWARD
2006年 桑沢デザイン研究所 Tシャツコンペション 水野学賞 受賞

ZINE は作る人が作家であり編集長 ー 春山 拓思

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