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ボードゲームデザイナーは、複数のデザイナーでグループを作った方がいい話。『けれど……』付き。

今回は、ボードゲームを作っていくうえで、過去の経験から、こういう環境がいいんじゃないかな、というお話ができればと思います。

今も付き合いがありますが、2009年ごろに「26円」ってサークル間グループを作って、「高天原」も言えばデザイナーグループで、COLON ARCになってからは創作デザイナーに集まってもらって、自宅でテストプレイ会をしています。ありがたいことに6-7人ぐらい毎月来てもらえてます。ていうか、広い部屋欲しいください。

1.ボードゲームを作るということ

まず、ボドゲを作る過程のようなものをざっくり書いておきます。以降の項目でイメージする種になればいいかなと思います。ここら辺は創作に焦点を当てるために、商業っていうより、同人寄りに書きますけれど。(商業だとだいぶアプローチが変わって跡形もないのですが、うちのベースはこれです。)

1)作りたいテーマ、システム、盤面が思い浮かぶ。
2)一通りゲームとして成り立つように形作る。
3)テストプレイキットを作る。
4)知り合いに遊んでもらって、感想をもらう。
5)微調整や変更を加え、4)に戻る。加えなかったら6)に進む。
6)手を加えることが無くなったら、イラストやデザインに移る。
7)生産する。
8)ゲムマやBoothなどで販売する。

色んな人の作り方を見てきていますが、完璧に当たらずとも遠からず、という感じじゃないかなぁ。もちろん、細かいところはぼかし気味に書いたので、そういう意味である程度当てはまってもらえているというか。
とりあえず、作ったことがない人が読んでいる場合は、大体こんな感じの流れで作ってるんだよ、っていうのが伝わってればありがたいです。


2.人手がかかる場所

さて、前項目で作り方の手順のようなものを書きましたが、「人手がかかる場所」というのが上記にはあります。

4)知り合いに遊んでもらって、感想をもらう。

っていうところです。
テストプレイに関するよく聞く話で、「同じ環境で作り続けると、より煩雑になって遊びにくくなる」とか「テストプレイの結果であまり感想をもらえない」とか。
そんな訳で、「いろんな人に遊んでもらいたい」という場合が多く、つまりは人手がかかります。

オープンのテストプレイ会とかたまに見かけたりするのは、ここでみんな困っているからですね。

でも、今回、お話したいのはここじゃなかったりします。そこがこの話のメインであり、「他のデザイナーがいる」ことによる大きなメリットになると思っています。


3.他のデザイナーができること

ボードゲームのデザイン、創作をするうえで、自分以外のボードゲームデザイナーがいると、たくさんのことができます。具体的に、

1)作りたいテーマ、システム、盤面が思い浮かぶ。
2)一通りゲームとして成り立つように形作る。
3)テストプレイキットを作る。
4)知り合いに遊んでもらって、感想をもらう。
5)微調整や変更を加え、4)に戻る。加えなかったら6)に進む。
6)手を加えることが無くなったら、イラストやデザインに移る。
7)生産する。
8)ゲムマやBoothなどで販売する。

のすべてにおいて、相談やヘルプ、あれやこれやできます。便利ですね!(その表現はどうか)

例えば、1)の時点でのテストプレイなんかもできます。
「おれ、こんなゲームを作ろうと思いついたんだけど、……」と説明し、その時点で「面白くなさそう」と言われたら、やめる、という選択肢も出てきます。「いや、ここが面白い、お前は分かっていない」って感じになれば、作ってみるのも1つだと思います。
いずれにせよ、最初の段階でコメントをもらえる、というのは非常にありがたいです。作ったことがある人ならではのコメントが出やすいですね。

それぞれの部分での話はちょっと後に置いといて……


4.けれど……

この部分の話を先にしておきたいと思います。そして、創作デザイナーでグループを作ったり、一緒にするときに一番注意しなければならない点です。それは、

「創作ボードゲームに対する姿勢と考え方がある程度一致すること」

です。


少しわかりにくいので、掘り下げます。
すごく簡単に書くと、「創作への目的は人それぞれ」ってことです。
書くと簡単ですが、なかなか複雑な問題で、それによって一緒に作っていいデザイナーと悪いデザイナーが出てきます。これは、善悪とかじゃなくて、本当に目的の違いです。それによって見るところと、(やや商業的になっちゃいますが)パッケージとして出来上がりが変わってきます。

もうちょっと書くと、目標が違う2人が話し合っても、折衝案しかできなくて、片方に寄りそったゲームは作れない可能性が高くなります。その辺りはデザイナーの個々の能力や持っている(経験からくる広がり的な)目的軸が広ければ、状況が大分変ってくるかもしれませんが、結局はそれぞれのデザイナーの意図、目的が組めないと、うまいテストプレイ、アドバイスなどが非常に難しくなります。


よくある目的は以下のどれかを聞くことが多いです。

・作ったものを出したい
・自分が考えた世界観(テーマ)を体現したい
・たくさん売りたい(100個)
・たくさん売りたい(数千個以上)
・わいわいしたい

実際に聞いた話を総合すると人の数分あるんじゃないか、っていうぐらいバリエーションがあります。同じ目的でも細部が違うとかざらですね。

そんな訳で、「3.他のデザイナーができること」で書いたような、すべての段階で相乗効果を得たい場合は、できる限り同じ目的を持っているデザイナーを探した方がよいと思います。

あれ、もしかして、この目的、「何が違うの?」って思ってませんか? これがまた、ものすごく異なります。
案外聞くとすべてにうなづいてしまうこともあると思いますが、それらを合わせてみるとうまくいかない…… そんな時は目的が違う、っていうのを疑ってみてもらえるといいかもです。

「他のデザイナーの探し方」については、別の記事で書くかもしれません。
基本的にはゲムマや創作ゲームを遊んでいるゲーム会、ゲームカフェなんかで、デザイナーを探し当てて、話してみるといいかもしれません。


5.他のデザイナーの効果

それぞれの製作段階別に、私が体験した「他のデザイナーがいてよかった」ってなるときの話を書いておきます。すべてにおいて同じ効果が出るかは分かりませんが、創作しているうえで、色々なことにであると思います。

これがあれば、あなたの創作ライフが変わる……かも?


1)作りたいテーマ、システム、盤面が思い浮かぶ。

自分の家でやってるテストプレイ会には、ボードゲームデザイナーに来てもらっています。
そして、私だけではなく、来た人みんなのゲームをテストします。
その中で、他ではあまりないかもしれませんが、遊ばないテストプレイ、というのがあります。この辺りは、「うちらしい」って言われることがたまにあるので、あまりされていないテストプレイかもしれません。

これは、前述もしましたが、思いついたコンセプトをあれこれ話をして、「よさそう」「この方向なら面白そう」「こんなんどう」っていう会話だけで終わります。
こういう話は普通のテストプレイではなかなか難しいので、(ゲーム歴がいくらあっても創作歴がないとできない)これだけでかなりの意味、効果があると思っています。


2)一通りゲームとして成り立つように形作る。

この時のボードゲームというのは基本的にあまり面白くありません。でも伸びしろを感じ取れることができます。
その伸びしろ部分の感じ方は作った人であれば大きく違う、というのは想像に難くはないと思います。
この時にもらえる意見は、採用の検討価値があるものが多く、その後のデザインの方向性に強く影響することもあります。※これ以降だと、その機会はどんどん減っていくと思っています。


3)テストプレイキットを作る。

テストプレイキットは、手近なもの、プリンター、パソコン、他のボードゲームなんかから寄せ集めて作ることが多いです。
その時に、「こういうものを使ってみた」など、様々な他のアプローチ、コンポーネント、例示、特にデザイナーが知らなかったボードゲームからの借用などが見られると参考にできる幅が広がります。


4)知り合いに遊んでもらって、感想をもらう。

ここは、あまりにも深いので書きにくいのですが、さらっとだけなめておくと、創作したデザイナーの意図や目的を組んで、改善点まで指摘できる、というのが特段大きいんじゃないかな。
まー、この辺について、「テストプレイの感想って?」とかタイトル付けて、別記事にしてもいいかもしれないです。リクエストあればください。書きます。


5)微調整や変更を加え、4)に戻る。加えなかったら6)に進む。

4)での意見が多ければ多いほど役に立つのはもとより、「テストしなければならない部分」の指摘が入ることもあるのは、創作デザイナー同士ならではかなと思います。
手馴れてくると、自分1人でこの辺りはできるようになってきます。計算式とか使う人もいますね。場合によってはAI使う人もいます。(友人に)


6)手を加えることが無くなったら、イラストやデザインに移る。

まー、実際はあんまりないですが、知り合いのデザイナーを紹介したり、無料で使えるイラストのサイトを紹介したりなどなど。
あれ? 結構ありますね。


7)生産する。

生産治具ってのがあることがあるんですが、そういう情報交換の場ですね。
たまに新ツール(文房具)の情報があったり、新しい加工屋さんや新規のコマ屋さんなど、様々な情報が手に入ります。
11年ぐらい前だと、数サークルが寄ってたかって、この辺の力を総結集してた感じです。それぞれのサークルでそれぞれの技術が飛躍的に上がっていったのを覚えています。


8)ゲムマやBoothなどで販売する。

一緒に出れるイベントは楽しいよね。って感じで。


一番最後に一番重要なことを書くようなものですが、「いろんな人の考え方」を受けたゲームは、それなりにどこからみってもかっこよくなっていることがあります。もちろん、そうじゃない場合もありますけど、1人で作るよりはきっとかっこいいと思います。

そんな訳で、楽しい創作ボドゲライフを!(自分も含めて)
友達は大切になっ!(切実)


※すべて無料で読めますが、もし役立ってジュースでもおごってやろう、って方がいらっしゃいましたら、購入することも可能です。一発書きに近いのですが、そんな気分の方がいらっしゃれば。

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