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壁紙の弊害

ここ最近はDIYブームも高じて塗り壁を選択される方が増えたとはいえ、一般的な住宅はビニールクロス(壁紙)が主流。国内全建物の95%の壁はビニールクロスで作られていると言われています。

現在のビニールクロスが生まれたのは高度経済成長期、集合住宅等の画一的な部屋を作る流れが出来た1960年頃からです。同じものを大量に作る、短期間で仕上げるための工業製品が主流になるタイミングです。

昔の家は、壁自体が全体的に少なかった上に、土壁や漆喰など天然の素材でした。(※それまでは織物調や和紙などの紙の壁紙(のようなもの)も存在しています) 今の家、昔の家


ビニールクロス(壁紙)について

ビニールクロスとはポリ塩化ビニールをシート状にし、紙で裏打ちした壁紙のこと。 以下の表にあるように、塩ビは表面に型押し加工やプリント加工がしやすく、建材では木目調や織物調、大理石調など、デザインも豊富です。

一般社団法人プラスチック循環利用協会HPより

ビニールクロスには、可塑剤(柔軟性)、難燃剤、防カビ剤、着色剤、安定剤など、様々な化学物質が含まれていて、製造・使用の過程で環境や人体に問題を起こしています。また廃棄の際、燃やすと大量のダイオキシンを発生させるものです。

ビニールクロスそのものだけでなく、クロスを貼る時に使用する接着剤などにも揮発性の化学物質が含まれている事が原因になり、化学物質過敏症などの症状を発する人が増えています。

クロス屋さんはガンになる人が多いという話もよく聞きます。

これらの化学物質は、施工後、臭いに慣れてしまって気付いていなくても揮発し続けていると言われています。ビニールクロスだけに限定できませんが、実際に測定器で計測すると、空間に化学物質の数値は大きく出ており、中洋水を噴霧したり、塗り壁材のマシュマロタッチを塗ったあとは数値が下がることも実験して確認済みです。


ビニールクロスのメリット

ビニールクロスのメリットとして以下のような事が言われています。

①価格が安い(輸入クロスなどは高価)
②施工が早い
③バリエーションが豊富

①壁の素材としては安価ものが主流ですが、その安価なシリーズでも
価格については消費者向けの価格は今のところ据え置きで、実際には原材料や配送コストは上がっており、施工会社の仕入れ価格は値上げされ利益が圧縮された状態になっているのが現実です。

そして、新築の場合、塗装<クロス<漆喰の順で固定資産税が変わるので
ランニングコストとしては、定期的なクロスの張り替えも含め、一番コストが掛かりそうです。

②施工が早い
工期が短く貼った後や最中にも別の工事が出来るという意味では施工側が扱い易く、スケジュールを組みやすいというメリットはありますね。

③バリエーションが豊富
これに関しては言うことなしです。ビニールクロスは印刷物なので無限大ですね。

ビニールクロスのデメリット

①有害な化学物質が揮発し続ける
②呼吸しない素材
③静電気が起こる
④カビ・結露
⑤定期的に貼り替えが必要
⑥廃棄に費用が掛かる

①は先に書いた通りです

②呼吸しない素材
壁自体が呼吸しないので食事の匂いなどが残ったり、空氣の循環が自然に出来ないので空気清浄機を置きたくなったりと余分なものが必要になることも。

③静電気が起こる
壁や天井の塩ビのクロスは静電気を起こします。静電気が起こることで埃やゴミが付着しやすくなります。静電気は室内の電場・磁場とも影響し合います。

④調湿効果がないので結露が起こりカビの原因になります。カビも化学物質同様に人体や脳に悪影響があることがわかっています。

⑤環境によりますがビニールクロスの耐用年数は7〜10年。定期的な張り替えが必要です。

⑥張り替えを行なった際に、剥がしたクロスは産業廃棄物となり廃棄費用が発生します。

ビニールクロスは一般的な建材になっていますが、実はそれほどメリットが見つけにくいものです。昔は、ビニールクロスが無かったですし、壁や天井はビニールクロスでなくてもいいということです。

塗り壁にしてもいいし、可能なら無垢板を貼って仕上げてもいい。身体にも環境にも悪いビニールクロスを選ぶ必要はないかも知れませんね。



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