61_PCCSカラーカードの意義(1)〜「199」タイプが大幅値上げ!

画像1 色彩の授業や色彩関連の検定試験などでよく使われている日本色研のカラーカード、ご存知の方も多いと思います。写真のカラーカードに書かれている「199」「158」「129」はそれぞれセットされている色数で「a」はカラーカードのサイズ(a<b<c)を示しています。
画像2 今の時期は新年度の教材を選定する機会もあったりするわけですが、例年教材として使っている199タイプのカラーカードが935円(税込)→1,375円(税込)と大幅な値上げをしたのです!原料費高騰というのが大きいのでしょうけど、やはり「教材」は学生の負担増にもなるので慎重に精査する必要性を感じました。今回はあらためてカラーカードについて考えてみたいと思います。
画像3 PCCS(Practical Color Coordinate System:実用的な配色システム)は日本色研配色体系といい、日本で開発された「色相とトーンを使うことで配色を学ぶ」ためのカラーシステムです。ともすれば感覚に流されてしまいがちな色彩を体系的に捉えるには大変よくできたシステムで、ものすごく重宝させていただいています。そのPCCSを学習するために現在市販されているカラーカードは、v(ビビッド)トーン24色相+s(ストロング)トーンを除く11種類のトーン×12色相入りがMAXです。
画像4 現在199タイプのカラーカードにはPINK(ピンクのバリエーション),BROWN(茶色のバリエーション),off Neutral(無彩色に近い色のバリエーション),FLESH(肌色に近い色のバリエーション)という項目が入っています。(あ、今は「肌色」はNGですね)
画像5 199タイプ全容。正直先ほどの色群はあまり使わないという意見が多いです。「色彩検定」に対応していることでも購入する方が多いのですが、これらの色はたしか「色彩検定」の試験にも使わないはずです。だから199色の中でも「いつも残ってしまう色の塊」になりやすいのが「PI」「BR」「offN」「FL」です。もちろん実用で使うという方もいらっしゃるかもなので、全面的に否定するつもりはありません。しかし「値上げをするのなら、無駄になりやいこの部分について考えてくれ」という意見が少なからずあるのも事実です。
画像6 では158タイプはどうでしょうか?(私はこのタイプがお薦めです!)
画像7 有彩色は199タイプと同じ11種類のトーンと24or12種類の色相です。ではどこが少ないのかというと無彩色の段階が半分になっています。しかし、グレイの明度段階が半減しているぐらいはいいかなと思います。0.5の明度差を記憶できる人がカラーカードなんて使うとは思わないし(ちょっと強引な意見かな)。
画像8 199タイプになくて158タイプにあるのが「彩度5段階」の表示。写真の赤丸のところです。色彩の授業で苦労することの一つが「明度」と「彩度」の違いが理解されにくいこと。だから少しでもそれに触れる箇所があると助かります。新しい価格の199aが1,375円(税込)で158aの価格が825円(税込)。コスパで言えば「158の勝ち」かと。
画像9 ちなみに一番最初の写真にある「129a」はトーンの種類は減りますが、色相とトーンの概念を学ぶには充分だし廉価(税込420円)だしで教材としての魅力はあるのですが生産終了が決まっており、今販売されている在庫限りで廃盤になるようです。
画像10 これらは「p14(ペールトーンの青緑)」「p16(ペールトーンの緑みの青)」という色です。右2つの「199タイプ」「158タイプ」のペール(p)トーンは「p14+」「p16+」と表記されており、「+」は「少々彩度を高く作っている」という印です。が、+が付いている右2つにしても全く同じには見えません。
画像11 ほらほら、これら全て「v20(ビビッドトーンの青紫」。やっぱり同じ色には見えません。つまりカラーカードに厳密さを期待するのはやや難しく、実は「ある意味おおらかに捉える」ぐらいでいいと考えています。だから199色に拘らなくても「色相とトーンの概念が理解できればいい」と考えるので、学生や受講生の負担を軽くするためにも158色や129色でいいと思うのです。
画像12 ちなみに新しい199配色カードの「売り」としてカラーカードのRGB値とCMYK値が登載されていますが、これについては次回記事をアップします。ちょっとツッコミどころ満載かも?!

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