29_色彩構成の授業やってます(10)〜センスは盛って削って洗練されていく

画像1 デザイン専門学校の前期の授業も終了しましたが、今年もさまざまな色彩構成に出会うことができました。3時間×10回の授業の中で5つの作品を制作してもらうのですが、これは「my name」という最終課題で、トーナルカラー(カラーシート)を使って16cmの正方形の中に自分の名前を構成しているアルファベットをモチーフに作品を作りました。
画像2 <作品例1>シンプルな平面分割と明るくPOP な色合いがうまくマッチしています。中央の白やグレーがいいバランスで抜け感を作っていて、カラフルな色使いがスッキリとスマートにまとまっています。左端の黒い直線もいいですね。この作品は無彩色の使い方が上手く、全体を垢抜けた印象に仕上げています。グラフィックデザイン専攻の学生であり、普段から外国のお菓子のパッケージカラーなどを研究している努力家でもあります。
画像3 <作品例2>複雑な曲線の重なりで平面を構成しており、どうまとめていくのか楽しみにしていました。このような複雑な構成で色を乗せるとパーツ個々のフォルムのキープが難しくなるのですが、フォルムはしっかり保ちつつ、上手くトーンを使い分けて画面をまとめたと思います。作者はどの課題も仕上げ作業の完成度が高く、それも作品の魅力を高めています。このようなアナログによる作品で仕上がりの美しさが際立つことに高い美意識を感じます。
画像4 <作品例3>クラス最年少の彼女。実はこのデザイン専門学校は年齢も経歴もマチマチで、学生が色々な背景を持っているのが面白いです。この作品を作る直前まで、彼女はウネウネとした曲線を使った平面構成を考えており、その曲線が上手く決まらず悩んでいました。この作品はかなり短時間で一気に作ったと思いますが、色の配分や線の強弱、画面分割のメリハリが上手く作用しています。「N」の黒い直線の強弱がよく効いていますね。中間色の重なり方もいいし、赤い三角形はお手本のようなアクセントカラーです。
画像5 <作品例4>作者はDJもしているという経歴の持ち主。ライブのフライヤーを作るような気分で色彩構成に取り組んでいました。シンプルな形は微細な面積バランスで全く違う印象になってしまうので、こういう構成は単純そうで実はとても難しいのです。何枚も何枚もエスキース(下絵やスケッチ)を重ね、あれこれ試行錯誤を繰り返して完成させました。右下の赤い丸なんて何度やり直して悩んだことか(笑)
画像6 授業最後のプレゼンテーションでは自己紹介をしてもらいました。最後に自己紹介というのもなんですが、学生の人となりを垣間見ることができて非常に楽しかったです。ここにある14名はクラス全員分です。前述で4名の紹介をしましたが、どれも魅力のある作品ばかりで優劣つけがたいという嬉しい悲鳴です。1年生の前期なのに講師(私)に何度も何度もダメ出しされながら本当によく頑張ったと思います。

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