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8_「colorless」という色の選択肢

最近「ペットボトルのラベルを無くすという取り組み」を見かけました。
ラベルは商品の顔であり企業の烙印(ブランド)を意味するので、それを外すのは思い切った判断かと思いますが、ペットボトルをリサイクルに出す時にラベルを外す煩わしさ等を考えるとエコの視点としてはありかと思います。
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/itmedia_business/trend/itmedia_business-20210119_099

2011年3月にあった東日本大震災の後、製造効率化を図る為に各社ペットボトルのキャップの「白への共通化」が進んだ時期があります。
このことについて当時の『日経デザイン』におもしろいデータが載っていました。
調査対象の年代、性別は均等に20~60代の男女。
キャップを白にした結果、40%を越える方が「いい」と感じている結果でした。
ただ、商品ラベル個々で見ると「白が合う」「白が合わない」と感じるものもあったようで、特にコーラに関しては女性の50%が「イメージが悪くなった、味気ないかんじ」と回答していました。
やはり長年の『コカコーラの赤』のブランドイメージが強烈なのでしょう。
他の商品に対しても女性の方が商品毎に「いいか悪いか」反応しており、色に対してはかなり敏感に評価する傾向にあり、「特に何も変わらない」と感じたのは男性の方が平均で10%ほど多い結果になっていたのが面白かったです。

では「生産効率と環境保全のためにキャップを白にすることをどう考えるか」という問いに対してはどうだったか。
「キャップにはこだわらない。環境に優しい気がするので白のままでもいい。」 との回答は男性が合わせて約50%、女性が約60%。
おもしろかったのが、男性は「商品がつまらなくなる。不利益な感じが許せない。」と「時期がきたら元に戻して欲しい」を合わせると20%ぐらいに登ったことに対し、女性は「許せない。」はいなくて「時期がきたら元に戻して欲しい」が14%ほどでした。
女性は「色の評価に関して厳しい傾向があるが、変化には柔軟。」なのに対して、男性は「評価というより変化や縮小を嫌う傾向」があるのかもしれません。
ちなみに商品別にバラツキはあるものの全体的に30~50%の人が「特に何も変わらない」だったと記憶しています。

この数字はどう捉えるべきでしょうか。
ペットボトルは商品毎にキャップの色を変えることに明確なメリットはあるのでしょうか。
生産効率がよく、環境に優しいのであれば「白」でもいいのではないでしょうか。
と、これは私個人の感想。
「トレンド」や「他との差別化」ばかりを提唱するだけが「色の仕事」ではなく、「問題を解決し、コストや生産の効率化を図る」ことも「色ができる仕事」だと思うのです。

『色の無駄使い』をしていませんか?

photo_tomomi kohara
at_color planning studio VISION


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