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せいかつを再構成するとき

たぶん誰しもがそうだと思うけれど、家にいる時間がこれまでよりも長くなった。
今はどう時間を使っていくか、改めて考える内省の時期に充てよう。これから仕事をどうするか、生活をどうするか。考えるべきことはたくさんある。
では、どうやって、と思案するとき、ちょっと古めの本を読んでみる。

人それぞれ好みがあるだろうけれど、私は新刊よりも、何十年か前に書かれたような本の方が好きだ。
理由はいくつかあって、美しい日本語の勉強になりそうだからとか、なんとなくレトロな雰囲気が好きだとか、いろいろある。けれど一番は、何世代もの人の目に触れてきて、今なお本屋さんの棚に置かれている、という、内容に対する信頼感があること。
そんな本を読んでいると、時おり、手帳にメモしておきたいような言葉に出会うことがある。たとえば、下記のような。

つまり本当に役にたつことは眼に見えぬことの中に在る。・・・一見とりあえず役に立たぬものでも、じっと吟味してみるとそこに深い役割、深い価値があって、その役割は目先の有用性などにくらべ、ずっと長く続くものだ・・・そして無用の用こそが文化なのである。
・・・さしあたって役にもたたぬことの集積が人生をつくるが、すぐに役にたつことは生活しかつくらない。生活があって人生のない一生ほどわびしいものはない。
(遠藤周作 「生き上手 死に上手」)

無用の用を足すことがすこし難しい昨今、自分に残っているものは、すぐに役に立つこと、言い換えれば「しなければいけないこと」が大半を占める。(仕事をしたり、仕事をしたり、仕事を・・・)

せっかく立ち止まって考える時間ができたのだから、どんな文化を、どんな人生をつくっていきたいか。そのためには、今後どういう段階を踏んでいけばいいのか。
今のうちに、自分をつくる枠や定義の再構成ができたら、これからが少したのしくなる、かも。

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