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国立フォークロア

東京育ちにとっての東京とは、そんな問いから始まった。

「山田玲司のヤングサンデー」というニコニコ動画の番組は放送開始8年になる長寿番組である。漫画やアニメ、映画、音楽コンテンツを取り上げ、クリエイターはもとより、漫画ファン、アニメファン、アートファンにも人気の番組だ。

その中でも視聴者参加の企画、音楽とアニメが募集される主題歌選手権は参加者のレベルの高さと熱量で大変盛り上がる企画で、私も毎回楽しみにしている。

いつかは自分の作品を応募したいと思いながらも、自分の作品が受け入れられるのか、番組応募作品のレベルの高さに恐れをなしていたことも事実である。

そんな中、視聴者参加企画「ご当地ソングムービー選手権」の作品募集の知らせが届く。ギター弾き語りでもいいということで意を決して応募することを決めた。

そして、発表されたルールは、

・今住んでいる都道府県のご当地ソング

・誰かと組んで製作をする

・住んでいる都道府県から出ない

である。

住んでいる都道府県のご当地ソング、つまり私にとっての住んでいる場所「東京」である。

出身地であり、住んでいる場所「東京」

皆さんが考える「東京」とは何なのでしょうか。上京物語であり、都会であり、概念なのだろうか。ヤンサンのご当地ソング回で玲司先生が解説をしているのでぜひ観ていただきたい。


さて、ここでご当地としての「東京」だ。私の育った街は東京の中でも西側、東京の真ん中辺りである。そして今住んでいる街は東京都国立市。国立市は北側と南側で異なる文化がある。

南側には多摩川が流れ、甲州街道があり、太古の人々の営みが感じられる場所だ。

国立市の北側、中央線でも西の外れで、”中央線の磁場” から少し離れたところにある国立駅周辺は関東大震災後に一橋大学や、東京の由緒ある家系の人が移り住んでできた街である。住むための街、学問に集中できる環境としての街。そのためか、どこかハイソサエティな印象がある。

話を戻そう。ご当地だ。国立(くにたち)にはモネの池も名物のカニラーメンもみんなでワイワイできる海も感傷に浸りながら眺めたくなる海も壮大な雪山も三線も川沿いの高いマンション群も山に囲まれて長く延びるハイウェイもない。あるのは、住むための街だ。そこで生活し、ただ学校に行く、ただ仕事に行く。

私にとっての(たぶん東京の西側の住宅街に住む人々にとっての)ご当地はただ”住んでいる場所”なのだ。

そこで起きることは、移りゆく季節の中での出会いであったり、別れであったり、生活の中にある何か。上京してきた人もそこに元々住んでいた人も経験する生活そのものなのだ。

それこそが住むための街として存在する東京西側の「ご当地」である。

そしてそこに住む人々の民謡であり、民族である「フォークロア」なのだ。

東京が必死に”お洒落”を演じている横にくっつきながらも”住む場所”として存在し続ける東京都外。

それは誰しもが感じ取れるノスタルジーなのではないか。

国立の象徴ともいえる三角屋根の駅舎から見た街は、季節で装いを変えていく街路樹の元で人々が降り立ち、生活し、まるで煙のように消えていく。

「国立フォークロア」である。

そして、私にとっての「ご当地ソング」


thanks love





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