日記 3月24日
さて、日記を書いていこうかと思う。
実は「日記を書いていこうかと思う」というメモが、これで三個目になる。
過去に二度、日記を書いていこうかと思って、結局書かなかった。
これは三度目の正直である。
読んでいる人からしたら一度目だし、知らんがなだし、味の素ほんだし。
というわけで、日記を書こうと思う。
日記というのは何を書くものかよくわからないが、たぶん今日の出来事みたいなことを書けばいいのだろう。
今日はカフェにアイロンヘッド辻井ちゃんが来てくれた。
幕張でのライブを終えてやってきた彼は、やはり髭が濃かった。
夕方に来る辻井ちゃんは久しぶりで、いつも朝や昼頃に来ることが多かったからか、それよりも髭が濃いように思ったのだろう。
辻井ちゃんは、そろそろ来てほしいなと思うタイミングで来てくれて、色々と最近の芸人事情を教えてくれる。
ライブにほとんど出られていない僕からすると、ありがたい、お笑いとの架け橋の存在だ。
辻井ちゃんがやってきてくれることで、少し気が楽になる。
今日も辻井ちゃんは最新情報を話してくれて、コーヒーと焼き菓子を味わってくれた。
話をしながら、後ろにあるグラスを取り、辻井ちゃんの方を振り返ると、もうそこに彼はいなかった。
「あれ?もう帰ったのかな?」と思いながら、コーヒーカップと焼き菓子のお皿を下げようとすると、コーヒーはなみなみとカップに入っていて、お菓子もそのままの状態だった。
そして、カップとお皿の少し手前に髭が一本落ちていた。
奥さんが僕に問いかけてきた。
「あなた、さっきから一人で何言ってるの?」
「え?いやだってさっきまで辻井ちゃんがいたじゃないか。」
僕がそう言うと奥さんは怪訝な表情をして
「今日は辻井ちゃん来てないじゃないの、何言ってるのよ、遊んでないで仕事してよ。」
と言って僕の肩を叩いた。
僕はテーブルに落ちていた髭を摘み上げ、そっとゴミ箱に捨てさしてもらった。
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