見出し画像

「遊びながら、本気で取り組む」商店街の活性化を支える若者たち 【コミュニティづくりの現場から#3】

こんにちは、NEWPEACEのプロダクト開発チームです。

前回に引き続き3回目となる「コミュニティづくりの現場から」シリーズ。今回は宮崎県日南市の油津商店街の活性化に取り組む、株式会社油津応援団のコミュニティマネージャーで、日南ローカルwebメディア『ヤッチャ』代表を務める杉本恭佑さん、同じく『ヤッチャ』運営の中井雄平さんにお話を伺いました。

前回のnoteをまだ読んでいない方は、ぜひ前回の記事からご覧いただければと思います!


【コミュニティづくりの現場から】とは?

NEWPEACEのプロダクト開発チームでは、プロダクト開発の一環で

・店舗のコミュニティ化に取り組む店舗オーナーの方
・商店街活性や地方創生の文脈で、地域コミュニティの構築の最前線で活躍する方
・先進的なコミュニティ運営に携わるコミュニティマネージャーの方

など、様々な形で「コミュニティづくり」の現場で活躍する方々にインタビューを重ねてきました。

【コミュニティづくりの現場から】は、そうしたコミュニティづくりの現場で活躍する方の工夫や知見を、noteの記事にまとめてお伝えしていくシリーズです。

コミュニティづくりやコミュニティ運営に携わる方の参考になれば幸いです!


今回お話を聞いた人

杉本恭佑さん

杉本さん

株式会社油津応援団 コミュニティマネージャー/ヤッチャ!代表/無人古本書店 ほん、と店主
1991年生まれ。熊本県出身。大学時代を過ごした宮崎の人と食に惚れ、宮崎のために生きると決意。地域を通して人生が豊かになる人を増やすことを目標に活動。現在は店舗運営、イベント企画をメインの事業にしている。前職では宮崎発のベンチャー株式会社ベジオベジコで八百屋事業の責任者、店長を務める。メディアや、旅行企画の運営も行う。

中井雄平さん

中井さん

九州地域間連携推進機構株式会社 執行役員
日南ローカルwebメディア ヤッチャ プロジェクトマネージャー
1995年生まれ。兵庫県出身。2014年、大学進学に伴い福岡へ。 2018年から大学を休学し、 福岡のスタートアップコミュニティに関わる。 その後社会起業家育成プログラムに参加したことがきっかけで、2019 年事業立ち上げのため宮崎県日南市へ移住。現在は企画やメディア運用、行政受託事業、web・動画制作をメインに行う。


若者を集めるまち「日南」

宮崎県日南市の油津商店街といえば、2013年から本格的にスタートした商店街活性化の取り組みによって、ITベンチャー企業、飲食店、ゲストハウスなどの誘致に多数成功し、2016年には経済産業省の「はばたく商店街30選」にも選ばれた商店街活性化の代表例として有名です。

「外部からの新しい人、取り組みの積極的な誘致」が特徴の油津商店街の活性化。どのように実現されたのでしょうか?お話を聞いてみると、「若者の移住者コミュニティ」の存在が見えてきました。

杉本さん「『移住者が来る』となったら、とりあえず会う、飲み会する、みたいな風潮がありますね。そういう場は日南市の田鹿さんが中心になってセッティングしてくださっていて、外から移住してきた若者は、移住してすぐ、場合によっては移住前から現地の先輩移住者と繋がり、交流しています。

田鹿さんというのは、2013年から日南市のマーケティング専門官として、多数のベンチャー企業誘致などを成功させた方です。

杉本さん、中井さんのお二人は、学生時代の縁で宮崎、日南と関わるようになり、それぞれ日南市への移住を決めたのだとか。当時杉本さんが運営していたローカルwebメディア『ヤッチャ』のライターとして中井さんに声をかけたことを機に、深く関わるようになったのだそうです。
現在は『ヤッチャ』を通した日南の魅力の発信を中心に活動されています。

ただ移住者を呼び込むだけではなく、新しい考えや熱量を持った若者の移住者を呼び込むこと。さらに、ういった若者同士が繋がる仕組みづくりや場づくりを行うこと。こういった「コミュニティづくり」が、町おこしにおいてとても重要な役割を担っているのです。


「若者であること」が強みになった、コロナ禍での商店街支援

若い世代を中心とした町おこしが特徴的な日南市の油津商店街。
とはいえ、外からやってきた若者が地域の町おこしに深く関わることができているのはなぜなのでしょうか?
そんな疑問をぶつけてみると、「若者であること」を生かした、地元の方との関係づくりが見えてきました。

杉本さん、中井さんの活動に大きな影響を与えたのが、新型コロナウイルスの流行でした。
商店街で開催していたイベントは多くが中止となり、ゲストハウスへの宿泊客も大幅に減少。2020年の3月、4月は例年に比べてお仕事もかなり減ってしまいました。

そんな中で取り組まれたのが、観光客の減少などで打撃を受けた地元漁師の方を支援する、地域産品に特化したオンラインマルシェ『めいつ』の立ち上げ。合わせて、地元の方向けにオンラインショップの運用方のレクチャーやマーケティングのサポート、zoomの使い方講座なども開講されたそうです。

杉本さん「私自身は、ECサイトの立ち上げやマーケティングに関しては前職でEC販売に携わっていたこともあり、最低限の知識はありました。でも、今の時代分からないことがあれば、ネットで調べればある程度のことはできます。ネットなどに慣れていない地元のお年寄りには、それが難しい。デジタルネイティブな僕たちだからこそ、地元の方達にとっては難しかったオンライン化への対応をサポートすることができたのだと思います。」

さらに、地元の方とのスムーズな連携には行政も一役買っているのだとか。

日南市役所などとも積極的に連携し、役所の方が地元の方とのコミュニケーションの間に入ってくださることで、信頼感や安心感を持ってもらうことができたそうです。

杉本さん「オンライン化に関しては、役所の方達もノウハウを持っていなかったりするので、自分たちがその辺りを引き受けているという面もあります。今では役所の方にも『頼んだら何でもやってくれそうな若者たち』くらいに認識されていますね笑。」

熱量を生かしてただやりたいことをやるのではなく、地元の課題をしっかりと捉え、行政とも連携しながら若者ならでは価値発揮をしているからこそ、地元の方とも良い関係を築きながら町おこしに協力できているのです。


大事なのは「1人でやろうとしない」こと

若者の強みを生かした地域への貢献に加えて、地域で活動する上で杉本さんがもう一つ大事にしていることをお聞きすることができました。

杉本さん「『いかに色々な人と関わりながら、遊びながらできるか』を大事にしています。1人でやろうとせず色々な人と協力しながら、楽しみながら取り組むことを大事にしていますね。」

遊びながらとは、手を抜くことではなく、楽しみながら真剣になることだな、とお二人がニコニコと真剣に語る姿を見て感じました。20世紀を代表する有名な歴史学者ホイジンガは、著作『ホモ・ルーデンス』で「遊びは文化に先行しており、人類が育んだあらゆる文化はすべて遊びの中から生まれた。つまり、遊びこそが人間活動の本質である」と述べていたことを思い出します。

地域に新しい風をふかせることは、その土地の文化を新たにつくることかもしれません。楽しくなければ人が集まらないし、楽しくなければ続かない。「遊び」の気持ちは、人が集まる場を作っていく上で、欠かせないマインドセットだと気が付きました。

また、どれだけ思いが強くても、1人でできることは限られています。だからこそ、冒頭にもあったような「若者の移住者コミュニティ」の存在は、とても重要な役割を果たしているのかもしれません。
そういった「たくさんの人と繋がれる仕組み」があることで、熱量のある若者同士の相互作用が生まれているのだなと感じました。


杉本さん、中井さんからお知らせ

コロナ禍でオンライン授業になり、窮屈な生活を送っている大学生の受け入れプログラムを日南市でやっています。来春からの二期生の募集を開始しますので、興味がある学生はぜひご連絡ください!


おわりに

今回は、油津商店街の活性化に取り組む杉本さん、中井さんのお話をまとめてみました!
商店街活性化の代表例とも言える油津商店街で活躍されるお二人の話はとてもリアリティがあり、たくさんの学びや気づきを得ることができました。ありがとうございました!

今後もヒアリングや日々のリサーチから得られた学びなどまとめてお伝えしていきます。
※「ヒアリング協力できます」という方がいらっしゃいましたら、下記までお気軽にご連絡ください!
info@comcom.app

***

NEWPEACEのプロダクト開発チームでは、全てのコミュニティコーディネーターを支援するアプリケーション「comcom」を開発しています。
現在β版利用ユーザーを募集中ですので、ご興味がある方は、以下のWEBサイトからお気軽にお申し込みください!

***

NEWPEACEのプロダクト開発チームでは、インターンとして一緒に働く仲間も募集しています。プロダクト開発の初期フェーズに関わってみたい!という方は、お気軽にTwitter等からご連絡ください🌴

ここまでお読みいただきありがとうございました!


書き手 : Kazumi Higashino
編集 : Naoya Higuchi(Twitter : @n_hgc36

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?