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不動産投資って、怪しいですよね!




 こんにちは!前回は不動産投資を始めたきっかけと私が考える不動産投資の本質についてお話をさせていただきました。不動産投資を始める前の私の「不動産」へのイメージは「なんだか怪しい。。」です。この点については多くの人が共感していただけるかと思います。
 一方で、資産をうまく増やす人がいることも事実です。不労所得の名のもとに各所で行われているセミナーは満員御礼の活況も呈しています。「興味はあるけど怪しい世界」というのが正直な感想ではないでしょうか。多くの人が老後の不安や将来への希望を抱いて、投資先の一つとして不動産投資に関心を持っているのが現状かと思います。

怪しさの正体

 不動産関連のニュースといえばほとんどがネガティブな話が多いかと思います。かぼちゃの馬車事件、レオパレス21事件、サブリース新法、共用階段滑落事件、ワンルーム投資地獄など日々、様々なニュースが報道されています。ほぼ詐欺のようなものから、合法だけど不動産を買った本人が地獄を見るものまで本当にいろいろあります。こういった事件をイメージでとらえると「怪しい」ということになるのだと思います。しかし、怪しいという一言で纏めてしまっては、いつまでたっても先には進めません。この怪しいをきちんと分析することで、少しでも怪しさから解放されることで進める人もいるのでないかと思い、怪しさ分析をしてみました。不動産投資における怪しさはいくつかのカテゴリーに分けられると思います。

1,投資環境をとりまく怪しさ

2,不動産業界をとりまく怪しさ

3、建設業界をとりまく怪しさ

ひとつづつ考えてみます。

投資環境をとりまく怪しさ


投資環境をとりまく怪しさのポイントは大きく3つあると思います。

  • 怪しさの正体1:顧客と企業の信頼関係がお互いの利益になる消費材とは異なること。

 投資商品は顧客の損失が企業の利益になるので同じ感覚でいると怪しさは増すばかり。投資商品の前提条件を肝に命じましょう。

  • 怪しさの正体2:契約書の内容を理解していないための怪しさ。

 あなたを守る大切な約束事が書かれているものなので、利益相反しないプロに契約書をきちんと確認してもらうことで怪しさは下がります。専門家費用は必要経費と心得ましょう。

  • 怪しさの正体3:無知と自己判断しないことから生まれる怪しさ。

 知らないことがあるのは別に悪い事ではありません。しかし、やりたい事があるのに知ろうとしないことはあまりお勧めしません。学び、考える事は最高の自己投資と心得ましょう。

投資商品と消費材のちがいとは?

 どんな投資でも結局のところ自己責任です。株でもFXでもなんでもそうです。自己責任であるが故にどんな失敗をしても誰も助けてはくれません。救済措置は基本的にはありません。また多くの人が陥っている勘違いがあるような気がしています。それは「消費物を販売するのと投資商品を販売するのでは販売側の責任範囲が異なる」ということです。日本においては商品の品質やサービスの質、企業のモラルについては世界的に高いので消費者と企業の信頼関係が高水準で保たれています。コンビニに買い物いって店員に差別的な発言をされる心配をする人はいませんし、買った食品の品質をことさらに心配しなくても価格と商品の質が大きく異なることはありませんし、価格交渉しないとぼったくられる心配をする人もいません。さらに消費者保護の観点から国は販売側に様々な規制を特にかけています。一方で投資商品はどうでしょうか? 規制はそれなりにあります。しかし、根本的に異なるのは、求める効果が保証されていない点です。投資をする場合はお金が増えることを目的として投資商品を購入しますが必ずしもお金が増えるわけではなく、減ることもあるものです。消費材ではそういったことはありません。クレームになります。「そんなことはあたりまえじゃん!」っと思うかもしれませんが、販売側からすれば商品の効力を約束しなくて良いものを売ってよいというのは、怪しい業者にとって付け込む余地があります。消費材を購入す時と同じ感覚で投資商品を販売している相手を信頼するのはかなり危険なことだと思います。ワンルーム投資やシェアハウス投資で多くのサラリーマン投資家が大きな損失を抱えている根本的な要因ではないでしょうか。
 商品の品質を隠すのはあたりまえで、業者の出してきた事業計画も怪しいものが沢山あります。慎重に価格を見極めないと簡単にぼったくられます。そういった怪しい企業にとっては情報格差が企業利益なので当然の所作だったりするのです。

消費材と投資商品の比較

 投資商品を消費材を購入するように気軽に買うことは「資産拡大」という
目的からどんどん遠ざかります。人は何かを購入するとき、その商品があることで実現する楽しい生活を思い浮かべて購入するわけです。たとえば、車を買うときに、車を所有することが本来の目的ではなく「家族との旅行」「周りからの羨望のまなざし」「軽快に走るドライブの楽しさ」を想像して購入するのです。そういった購入後の楽しさを想起させる商品は売れるわけです。一方で投資の売れる商品は「儲かりそう」ということを想起させるとよく売れる商品になります。でも儲かることを保証しなくて良いのです。多くの人は消費商品を買う時と同じように「今時そんなに悪いものは売ってないだろう」という感覚で投資商品を購入していないでしょうか? たとえば金融機関に投資信託を勧められて「銀行がそんな怪しいものは売らないだろう」と思って契約していたりしませんか?一見して怪しい会社も怪しくもなんともない大手企業でも同じです。金融機関・大手企業は怪しくもないし、合法なので実は最も厳しい状況に置かれる場合があります。違法性があれば刑事事件になったり民事で訴訟することが可能ですが、合法であれば救済する方法は基本的にはありません。自己責任である以上は自ら情報を集めて自分で考え、何が正しいのかを判断する必要があります。消費物を購入する時の感覚のまま投資関係の営業や広告を真に受けるようでは成功の確率は飛躍的に下がります。

契約書の重要性を理解しよう。

 顧客と企業の関係についての前提条件をふまえれば、投資商品の契約書を流し見るなんてありえないです。事前にメールで契約書を送ってもらい、熟読し、わからないところは調べるか専門家にチェックをしてもらうくらいの心構えがないとかなり危険です。契約書を作った相手にわからないところを質問するなんて論外です。「何かあったときのために捨て印を押してください」って言われて安易に押したりしていませんよね?それ、結構やばいことをしている自覚を持った方がよいです。
 投資における契約とは重要な企業との約束事なります。また、契約書が決まり文句のように一律同じ契約書というのは不動産においては本来おかしな話です。同じ土地、建物がない以上はその契約毎に内容はことなります。一般的には「特約事項」として記載されますが、契約書とは契約前に条件をすり合わせて主体的に条件を提案する必要があります。
 実際にあった話ですが、ある地主さんが古家付きの大きな土地を大手ハウスメーカーに売却した時の話を少しします。地主さんは当初、大手不動産仲介会社に依頼して媒介契約を結んでました。土地が大きいこともあって買主が現れない時に大手ハウスメーカーから直接接触をうけました。大手ハウスメーカーの言い分はこうです。

「専属媒介契約は売主が直接買主を見つけた場合は仲介手数料を支払わなくて済みます。仲介手数料の数百万円が浮きますので直取引しませんか?」

地主さんは大喜びで直接取引に応じたそうです。ハウスメーカーは建物を解体し、土地を分筆して分譲地として売ろうと画策していたみたいです。ところが、契約後に境界確定をする際に隣地から押印を拒否されたのです。ハウスメーカーとしてはコンプライアンス上、境界確定のされていない分譲地を売ることはできませんので一般的にその契約は白紙解除になるはずです。しかし契約書はそうなっていませんでした。境界確定が出来ない場合は売主の契約不履行になり、賠償金が定められていたのです。。。契約書を拝見しましたがそれ以外にも売主に不利な契約が散見されました。解体予定の建物なのに不可抗力で引渡し前に滅失しても売主の責任などです。きわめつけはハウスメーカーの担当が「契約が売主さんにとって結構不利な契約になってますからこのままいくと賠償金を払うことになりますね」と平然と言ったそうです。平然と言える理由はその契約そのものが違法ではないからです。契約者双方が納得して契約をしているので内容的に全く問題ないのです。
 この地主さんの最大の失敗はなんだと思いますか?私は地主さんの最大の失敗は専任媒介契約をした大手不動産仲介会社を切り離したことが最大の失敗だと思っています。数百万円の仲介手数料をケチった結果、数千万円のリスクを抱えてしまったのです。また地主さんはこう言ってました。「ハウスメーカーは大手だしプロだから任せておけば安心だと思った」と。。利益相反しているプロにお任せして良いことなど全くありません。専任媒介契約をしていた不動産会社に依頼していればかれらは売主側のプロになりますので、契約書についても売主に不利益にならないようにさまざまなアドバイスをしてくれていたでしょう。自らそういった契約書をよく読み、司法書士や弁護士にリーガルチェックをしたもらった上で、自ら条件を出せるという自信があれば良いのですが、その自信がない上に、契約書も読む気がなく、仲介手数料の数百万円が浮くという欲にかられた結果、とんでもない事態に巻き込まれた事例です。実話です。
契約についてリーガルチェックをしてもらうなどの防衛策は重要なことですが法文をチェックしてもらったからと言って安心してはいけないのです。契約の中身をよく理解して判断するのは契約者本人なのです。本来法文とは解釈の幅があるものです。厳格に決まっているのであれば裁判所は苦労しません。幅があるので運用について政府や自治体が個別の判断をしているのです。その前提を理解されていない方が多いように見受けます。私はどれだけ自信があっても契約は自分の味方であるプロに相談します。餅は餅屋です。
儲かった話がどれだけのリスクを負うことで手にしたものなのかの真偽の判断ができない人にとっては投資とはとっても怪しい上に、その怪しさの判断ができない場合は高確率で失敗するかと思います。知識がなく、自己判断できないうちは怪しいものには近寄らない方がよいかと思います。契約の問題は難解なので専門家の助けを借りることが重要ですし、利益相反しない専門家に依頼することも重要な視点になります。でもそれさえできれば多くのリスクを回避できる可能性が高まります。
 一方で、怪しい業者はそういったあなたの欲と怠惰の隙間を狙ってあなたから搾取することを目的に近づいてきます。楽して儲かるのであれば、みんながそれに群がります。そうするとそこには競争がうまれます。競争が生まれることによって簡単には儲からなくなります。こういうことを言うと、怪しい営業マンは「先行者利益といって、いまならまだ間に合います!」とか言ってきます。そんなオイシイ話は絶対に営業マンからもたらされることはありませんので肝に銘じてください。

数字を理解すること

その投資にまつわる数字をきちんと自分で判断できるくらい学ぶことから始めると色々なことがわかってきます。「サラリーマンの節税対策」という広告が見るに値しないものであることもわかります。投資ではなく純粋に節税を目的としているならよいのですが。。そもそも内部収益率がどういう意味でどのように使うもののかぐらいは理解していないと投資判断ができないと思うのですが、私が参加した不動産セミナーでそういった話を聞いたことがありません。フルローンやオーバーローンで融資を引けたことだけを自慢げに話しているのを聞くたびに違和感を覚えずにはいられません。数字を理解して自分で判断できるようになると投資は一か八かのギャンブルではなく再現性のある理論を構築することが可能になります。
では最低限の知識を得るためにどうすればよいかという話になります。不動産投資をするなら最低10冊は不動産投資の本を読めという方が多いですが、100冊は読んだ私の感想は、不動産投資関連の本で良書はかなり少ないという印象です。ほとんどが自社の営業系本か個人の成功自慢本です。特徴はどちらも特定の手法で偏った話が多いです。「不動産投資するなら〇〇を買え」的なやつです。あとは再現性の怪しい「俺が出来たんだからみんなもできる!」的な話しです。骨太な基礎知識をつけるにはとても不適切で、下手に読むと「怪しさ」が薄れて知識のないままに不動産投資に手を出しかねないので注意が必要です。不動産投資の基礎知識をつけるという主旨で個人的によかったと思う本をいくつかご紹介します。専門用語が多くとっつきにくいかもしれませんが、成功している投資家はきちんとこれらを理解しています。

「誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組み合わせ戦略」著:猪俣淳

同氏の「不動産投資の正体」から読むとよいかもしれません。巷にある怪しいスキーム本ではなく、不動産投資の基礎体力をつけてくれる良書です。他で勧められたことがないのが不思議なくらいです。

「不動産投資の資産管理のすべて」著:玉川陽介

不動産投資の基本が網羅的に書かれています。特に資産管理という点においてとても詳細に書かてれいる本です。実践していない状態で細かく覚えるのは難しいかと思います。不動産投資の押さえておきたいポイントが理解できます。

本日のまとめ

一昔前は、「投資」と聞くと耳をふさぐ人が沢山いました。今も一定数の方が意味なく拒否感を示します。しかし、老後2000万円問題など将来の不安から投資をしないというリスクが世間に広まっている感覚はあります。選択肢があるのであれば投資をしなくてもよいかと思いますが、あまり選択肢はなさそうです。人は喪失の恐怖が強いので失うことにかけては臆病です。人の心配事の96%はほぼ無意味だそうです。自分では解決できない心配事はたった4%です。怪しんだり、失うことを心配したりしているくらいであれば、その本質を理解して学ぶ姿勢があれば、多くの問題は解決できます。学ぶことは自分への投資です。そこで得た知見は誰も奪うことが出来ませんし、減ることもありません。投資の第一ステップは自己投資だと思います。コスパ、タイパ共に最高です。しかし、それは自分で効率的に稼げる人のセリフかもしれません。そもそも投資商品を購入するということは他人投資なわけで、自分より稼げる人に投資して、勝ち馬に乗るのが常套手段になります。ただ、前述のとおり投資環境は怪しい世界です。せめてその怪しさをすり抜けてよりよい投資ができる程度には自己投資をする必要がありそうです。

次回は不動産業界をとりまく怪しさについて検証してみます。

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