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【人文情報学散歩(4)】遠くから読むこととデジタル人文科学




このポスティングは韓国のデジタル人文学関連論文を要約したものです。出所の原文は次のリンクから見ることができます。

キム・ジソン, 遠くから読むこととデジタル人文科学, 韓国近代文学研究第24巻第1号, 2023

感想


結局、データで何を質問するのが一番重要。フランコ・モレッティという学者の研究を読むべき。


レジュメ


フランコ・モレッティは今から15~20年前、形式主義と構造主義の文芸理論と系列的歴史理論に基づき、「グラフ、地図、木」のような形式的媒体を借りることによって、世界文学の外縁を覗き込む目的で「遠読(distant reading)」を発明した。そのような遠くから読むことの問題意識は、現在に至るまで、いわゆる文学資料を対象としたデジタル人文科学研究方法論の代表的な筋として、様々な形式の研究に洞察を提供している。

フランコ・モレッティ(Franco Moretti、1950年8月12日 - )は、イタリア出身の比較文学者・文学理論研究者。
「精読」に代わる「遠読」(幅広く文学作品の概要を知ること)を提唱したり、デジタル的文学研究を唱えている。


本稿で取り上げた<Reading Traces>、<Derrida'sMargins>、<FBTEE>、<Shakespeare and Company>、<Lit Long>、<NovelCity Maps>のような研究は、データを媒介した問いかけとしてのテキスト読解が様々な形式のデジタル人文科学研究へと進化している最近の流れと、それに関する様々な示唆を示す事例である。

テキストの行間に込められた文化的意味を明らかにするために、精巧なデータモデルをデザインし、それに基づきデータを編纂し、編纂されたデータをもとにデータ分析や視覚化を試みることは、森の中に入って個々の木を精巧に観察した後、それに関する理解を拡張して森の外から森の全体的な外観を緻密に展開することに例えることができる。

約20年前にフランコ・モレッティが企画し試みた「遠くから読む」は、現時点で書道データを媒介にデジタル文学研究を試みようとする研究者にとって、「答えを見つけるためではなく、質問を投げかけるための研究」とは何かに関する洞察を示している。


人文ITエンジニア
ソンさん


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