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「セブン注目の『都市油田』 外食・スーパーで廃食油回収」に注目!

セブン&アイ注目の「都市油田」 イトーヨーカドー・デニーズで廃食油回収 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

スーパーのイトーヨーカドーやレストランチェーンのデニーズが家庭で出た廃食油の回収を強化しています。家庭系廃食油は年間約10万トンあるといわれており、そのほとんどが家庭で廃棄されているのが現状です。処理を施して燃料にする需要などが高まり「都市油田」とも呼ばれ始めました。

「ここやでぇ〜廃食油リサイクルスポット」。大阪市内にあるセブン&アイ・フードシステムズのファミレスチェーン、デニーズ吹田寿町店の店頭では、こんなのぼりがはためいていました。

このリサイクルスポットは、大阪府大東市にある植田油脂という会社が昨年12月から実施している家庭系廃食油回収の拠点です。デニーズはこのプロジェクトのパートナーとなり、2023年11月から大阪府内のデニーズ7店舗で廃食油回収を始めました。リサイクルスポットはスーパーや銀行など60カ所以上ありますが、レストランで参加したのはデニーズが初めてです。

廃食油は再生航空燃料(SAF)の原料の一つとして注目されています。これまで捨てられたり燃やされたりしていた廃食油からリサイクルするため、二酸化炭素(CO2)の排出量削減に貢献できます。日本の航空会社は、2030年時点で燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標を打ち出しています。このほか、廃食油はバイオ原料やインク溶剤などにリサイクルすることも可能です。希少金属を含む廃棄物が「都市鉱山」と呼ばれるのと同様、廃食油は「都市油田」とも呼ばれ始めています。

こうした流れに対応して、油脂関連会社がスーパーや自治体などと連携し、回収に乗り出しています。2021年度、国内で消費されている食用油の量は約250万トンで、家庭からは約10万トンの廃食油が捨てられています。全体から見れば割合は大きくないが、廃食油の需要が高まっている今、絶対量としては無視できない規模です。

「盲点だった」。セブン&アイ・フードシステムズ総務部総務の中根隆雄氏は以前、家庭系廃食油の現状について知ったときのショックを振り返ります。デニーズのようなレストランチェーンでは、廃食油を専門業者に回収してもらうことは当たり前だったからです。問題意識を持つようになり、回収事業者と話をするうちにレストラン事業者として何かできないかと考えるようになり、始めたのがリサイクルスポットへの参加でした。

デニーズは現在、回収した油を事業会社に無償で引き渡しており、現時点で収益化は検討しておらず、当面は環境問題に配慮した取り組みをしていることをアピールしていくとのことです。中根氏は「自社だけで回収できる量は限られている。いかに他社を巻き込んで活動を広げていくかが大切だ」と力を込めます。

同じセブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂も、2023年8月に都内のスーパー3店舗で家庭系廃食油の回収をスタートし、開始から約3カ月で520リットルの家庭系廃食油を回収しました。実はイトーヨーカ堂は、2023年2月にネットスーパー事業で廃食油の回収を始めていました。家庭を訪問する際、受け取って同社の拠点に集めていましたが、さらに取り組みを拡大するため、実店舗での回収に乗り出しました。

油の回収に使用するのは、容量が750ミリリットルの専用リターナブルボトルで、洗って繰り返し使うことができます。スーパーを訪れた客に空のボトルを渡し、次回来店時に油を入れて持ってきてもらいます。普通のペットボトルでも回収はできますが、一度油を入れたペットボトルはリサイクルが難しくなり、廃棄するしかなくなってしまうそうで、リターナブルボトルでこの問題を解決しました。

現在は、近隣の油脂事業会社でせっけんやインク溶剤などにリサイクルしていますが、将来は、SAFの原料にすることも検討しているとのことです。現在は5店舗で回収していますが、拠点を増やし、今後3年間で25トンの回収を目指します。セブン&アイ・ホールディングス総務部渉外オフィサーの藤乘照幸氏は「何かのビジネスにつなげるというよりは、環境に配慮した拠点として認知されることで企業価値が高まることを期待している」と話します。

家庭系廃食油は処理も面倒なことも多いため、コンビニやスーパー、ファミレス等、様々な顧客との接点があるセブン&アイ・ホールディングスが家庭系廃食油を回収してくれるのは、とても良い取り組みだと思いました。今後、セブン&アイ・ホールディングスが回収した廃食油からSAFになれば環境にも良い影響を与えるため、広く店舗展開してほしいと思いました。