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「小売りとタッグで『即配』再起 オニゴーはヨーカ堂と」に注目!

小売りとタッグで「即配」再起 オニゴーはイトーヨーカ堂と - 日本経済新聞 (nikkei.com)

インターネット経由で注文すると数十分で食品や日用品を宅配してくれるクイックコマース(即配)が、事業モデルを転換しています。新型コロナウイルス下の巣ごもり特需が消失して事業環境が厳しくなる中、即配事業者はイトーヨーカ堂などの流通大手と組んで存続を模索します。固定費を圧縮した持続可能な事業モデルを再構築し、「ラストワンマイル」需要の開拓に挑みます。

イトーヨーカ堂が営むスーパー「ヨークフーズ with ザ・ガーデン自由が丘 新宿富久店」(東京・新宿)の売り場では、配送スタートアップONIGO(オニゴー、東京・世田谷)のスタッフがアプリ経由で受注した商品を手早くピックアップしていました。

スマートフォンを片手に集荷担当が集めた食料品などは即座に配送担当に手渡されます。配送担当は保冷バッグに詰め込み自転車で届け先に向けこぎ出します。この間、わずか数分。オニゴーは自転車やオートバイで数キロ圏内に最速10〜20分、平均30分で配達します。

指定時間帯に一括配送するネットスーパーは主に前日までに注文し待機が必要ですが、即配は少量でも即時配送します。

新宿富久店では共働きや子育て世帯を中心に夕飯用の食材やアイスクリームなどが売れるといいます。注文は1日平均100件。荒天時は5割以上増え、来店客の減少を補います。「タイムパフォーマンス(時間効率)重視の消費者は多い」(石川信一ストアマネジャー)といいます。

欧米で先行した即配は日本でもコロナ下に参入が相次ぎましたが、2023年にかけて撤退ラッシュとなりました。韓国クーパンのほか、日本勢もクイックゲット、クイックエクスペリエンス、メッシュなどが姿を消しました。

即配の難しさは事業モデルの維持にあります。多くは店舗をネット注文専用の倉庫として使う「ダークストア」を拠点に近隣へ配送します。しかし時間の制約から商圏は狭いです。拠点あたりの稼働率と利益の拡大が限られるため、賃料や人件費の高騰に対応しづらいです。加えて管理の難しい生鮮など品ぞろえも容易ではありません。

オニゴーも頭を悩ませていましたが、商品を小売りの実店舗から配送することで課題を克服しました。これによって配送拠点の拡大が加速して約70カ所に増え、登録会員も20〜50代女性中心に15万人に達しました。店頭より約1割高い価格設定と300円の配送料(5千円以上で無料)で収益を確保します。

オニゴーの梅下直也最高経営責任者(CEO)は「自力で即配が難しい小売りとラストワンマイルの社会基盤をつくり、買い物に行けない消費者の課題を解決する」と語ります。提携先はいなげや、ディスカウント大手のビッグ・エー(東京・板橋)などを含む4社に増え、配送拠点は100カ所超まで拡大を見込みます。

MMD研究所(東京・港)の2023年調査では、即配の利用経験者は17%。20代男性に絞ると34%と多く、利用意向は男女ともに10代が高いです。「時間価値を重視しデジタルを使いこなすZ世代が子育てに入れば市場は拡大する」(梅下CEO)との見方は多いです。国内市場規模は2028年に8千億円を超えるとの予測もあります。

市場拡大に備え運営を見直す動きが広がります。LINEヤフー傘下のアスクルが2021年から手掛ける「Yahoo!マート by ASKUL」は「最速15分」に限らず当日中の広域配送を始めました。都内など23カ所のダークストアを7カ所に集約、一拠点の担当範囲を広げて受注を増やした。食品スーパー、マルエツの一部店舗の商品も扱います。

LINEヤフーの山崎聡クイックコマース本部マーケティング部長は「外出しないタイパ重視は成長機会だ」と話します。

コンビニエンスストア大手も主体的に動き始めました。セブン―イレブン・ジャパンは店頭商品を最短30分で届ける「7NOW(セブンナウ)」の対象店を拡大中。関東と北海道、広島県の約9千店に達しました。2024年度は全国2万店を見込みます。

買い上げ点数と客単価はともに店舗の約3倍に上ります。店によっては1日約40件の注文で10万円ほど売り上げた例もあるとのことです。遠方に暮らす老親に代わって注文するケースもあります。安達到ラストワンマイル推進部マネジャーは「即配利用者も店舗利用は減らず、総売り上げを高める効果がある」と手応えを語ります。

コンビニ大手ではローソンも即配の取扱商品を拡充。今春、4倍以上の約3千品目に増やします。

今後の課題は購買頻度の引き上げです。MMD研究所によれば、月1回に満たない利用者は約4割います。オニゴーも流通総額は増えたものの月1回の利用が7割を占めるとのことです。対策としてアプリを改善しデータを生かした情報発信を強化。数時間後など指定時間の配送や独自総菜の開発も進めます。

即配は都市でも増えつつある「買い物弱者」の安全網になり得ます。新たなビジネスモデルの確立に合わせ、サービスの価値を効果的に消費者に伝える努力も不可欠です。

クイックコマースの利用頻度拡大が課題になっています。利用頻度では、「ほぼ毎日」が10.7%いる一方で、「月1回」が15.7%、「それ未満」が39.9%と合計すると過半数になっています。スーパーとの連携により多く、より広域のニーズの応えられれば、スーパーなどの売り上げも上がり、顧客にも満足のいくサービスになることでウィンウィンの関係になれると思いました。