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マクロ視点から考察するコミュニティの価値とは

こんにちは!コミューンPeople部です。
今回は、commmuneのBusiness Strategy and Operation(BSO:事業開発部門)の春山(@r_haruyama)さん、梅木(@tumeki)さんにお話を伺いました!

この記事の背景
近年、ビジネスの世界では気候変動、人口動態の変化など様々なメガトレンドが注目されています。
コミューンが向き合っている「コミュニティ」という領域やマーケットが社会的なトレンド(マクロ視点)から考えた時にどのような価値や意義があるのか?という問いについて、事業開発部門の春山さん、梅木さんにインタビューを行いその重要性に迫りました。

春山 椋介 Ryosuke Haruyama
エムスリーキャリア株式会社の営業として新卒入社し、薬剤師向け転職/採用支援を経験。その後、弁護士ドットコム株式会社にて電子契約SaaS「クラウドサイン」のカスタマーサクセスを経て、2021年6月にコミューンへ入社。現在は、事業推進/事業開発に従事。
梅木 隆伸 Takanobu Umeki
コンサルティングファーム、US大手PR会社の日本法人、デジタルメディアの事業会社など様々な領域での事業開発・事業運営責任者を経て、2023年10月にコミューンへ入社。現在は、事業開発に従事。

今回お話しいただくお二人に、入社のきっかけなどを伺った入社エントリー記事はこちら↓




コミュニティの意義:キーワードは人口減少

マクロ視点から見たコミュニティの意義について、前職でSaaS企業のカスタマーサクセスを担当されていた春山さんに語っていただきました。

春山:BtoBの切り口から考えると、企業は顧客の業務効率化や課題解決のためにサービスを提供しているわけですが、より多くの顧客への提供価値を最大化させるためには、できるだけ少ない工数で効率的に価値を届けるための工夫が必要だと考えています。
一方、サービスを利用するユーザーは何かわからないことがあった時に、自分で必要な情報にアクセスすることって実は難しいんですよね。Q&AやチャットBotなどソフトウェアで効率化できる部分と、人でなければ解決できない部分があり、後者の場合、担当CSによるそもそもの課題整理や暗黙知として持っているノウハウの提供など、人の力が必要になってきます。しかし、国内の多くの企業が人口減少(正しくは日本の生産年齢人口の減少)によってそのような人材の確保に苦戦しています。そこで人の力を最大化する重要なポイントがコミュニティであると信じています。

BtoBの領域では、コミュニティは比較的新しい概念であると思っており、入り口は情報集積のポータルで、徐々に検索エンジンでは得られないような「知識が人と人の間で効果的に共有される」場が必要になってきていると感じます。「教科書的な情報はある、しかしそれだけでは効果的に解決できない課題がある」という状況はよくありますよね。そういった場において、コミュニティがなければ共有されていなかった知識は、組織や個人の成長に大きく貢献しうるのではないかと考えています。

コミュニティによって社会関係資本と経済資本の循環のサイクルが生まれる

「コミュニティには人と人の間に存在する知恵が存在し、その社会関係資本をどう経済資本と接続するかがチャレンジ」と語る梅木さんに、コミュニティと経済資本との関係ついてもお聞きしました。

梅木:社会関係資本の源となる「社会関係」という資源は経済的な資源と違って特定の個人や組織の「なか」ではなく人や組織の「あいだ」に存在するものだと言われています。人や組織の繋がりであるコミュニティではそのような社会関係資源が蓄積されていて、企業としてはその資源を資本としてどう運用するべきか、どのように経済資本主義の中で意義を出すべきかが問われていると思います。

例えば、かしこまった会議で発言するのはためらわれるアイデアを、ランチの時に別の部署のメンバーと話してすごい盛り上がる。でもその場で盛り上がっただけで、それぞれ普段の業務に戻っていって、アイデアは忘れられる。みたいなことは目に見えないだけで日々起こっていて、多くは他愛のないものでも、いくつかのアイデアは会社や業界を変え得るかもしれない。そういうコミュニケーションのあいだにある資本を可視化して運用するという考え方が企業コミュニティにはあります。

同じ部署で働く二人ですが、バックグラウンドの違いも含めてそれぞれの異なる視点からコミュニティの価値について話していただきました。

BtoB業界を経験されてきた春山さんの考えも伺いました。

春山:社会関係資本の話は腑に落ちました。BtoBの立場でも、コミュニティはシナジーが生まれる場だと感じています。お客様間で共有された意見や知識のおかげで、自分たちサービス提供側のアイデアの幅やビジネスの機会が広がるという効果もありますね。

つまり増幅された社会関係資本を、経済資本に転換する、それによって生まれた利益をさらにコミュニティに投資する、するとまた社会関係資本が増大し、また経済資本に変換するというサイクルができます。BtoBに限った話だけではなく、BtoCでも同様だと考えています。

なぜ今、コミュニティが求められているのか?

社会関係資本と経済資本の循環、コミュニティの意義や効果について語っていただきましたが、なぜ今企業をはじめとするあらゆる組織にとってコミュニティが求められているのか、お二人にお聞きしました。

梅木:売った後のことを考える、いわゆるカスタマーサクセスの概念が浸透してきたことが要因の一つであると思います。
認知から購買に至る、いわゆるパーチェスファネルのトップ-ミッドファネルは3rd Partyクッキー廃止などの流れによって捕捉できるデータが以前より限られてきているため、そのデータの質が相対的に問われています。

ただでさえ使えるデータが希少な中で、さらに購買の先にあるリピーターやロイヤルユーザーといった、事業を継続的に支えていただいている顧客とのコミュニケーション手段が限られていたり一方的であることがほとんどです。その方々が具体的にどういう人たちで、どんな要望や課題を持たれているのかといった深い情報も自然な形で得ることが難しいという背景があります。

春山:サブスクというビジネスモデルの台頭もコミュニティの価値が向上してきた要因だと思いますね。
SNSが普及したことで消費者の声が簡単に拡散するようになりましたよね。なるべく長く使ってもらうことが重要なサブスクというビジネスモデルにおいては、いかにその商品を良いと思ってもらい、その意見を広げてもらい、他の人に推奨してもらうか、ということが大事になってきました。

梅木:意思決定のスピードと数の変化も大きいと思っています。コミューンのプロダクトでも既にAIアシスタントを実装していたり、機械学習エンジニアを積極的に採用していますが、データドリブンな組織になっていくと、意思決定の判断の元となる情報の正確性はもちろん、その多様性が鍵になります。
不確実な社会において、社内の限定的なメンバーだけでは成し得ないことを、さまざまなステークホルダーの協力を得ることで実現するということが今まで以上に大事になってくる。統計的に判断できる部分はAIに、計算不可能で人間的なところはファンになっていただいている仲間としての顧客と共に考えるということが企業の行動様式のスタンダードになっていくと考えています。

春山:確かに、人材確保の難易度が上がってきている中で、「協力者」を社外に作ることが大事というのは私も同感です。ただし、その協力者に対して多額の金銭的報酬を払うのは本末転倒で、いかに金銭的報酬以外で協力してくれる人と関係を構築できるかが重要です。
コミュニティはそういった関係を構築するのに適していて、単なる金銭的な関係を超えて、周囲の人の役に立っている実感や周囲からの感謝などに喜びを感じる人との絆を築くことができる場所だと感じています。

インタビュー中も、さまざまな意見や考えが混ざり合い楽しい時間となりました。

データの力でコミュニティの価値はさらに飛躍する

マクロ視点で見ると、コミュニティ領域の科学はまだまだ大きな余白があると感じますが、コミュニティの流れや気になる動きなどについてお二人にお聞きしました。

梅木:最近のニュースだと、創業20年近くにして最近米国で上場申請したRedditは、オンラインコミュニティの集積で成立しているような会社ですが、コミュニティという概念を資本主義経済のルール上で事業にするときの折り合いの付け方のヒントがたくさんあると思います。例えばRedditは現在でもGoogleへのLLMトレーニングデータ販売で年間約90億円の収益があるということで、データプライバシーの課題をクリアしつつではあるようですが、こういった動きは、より生き残りが厳しいメディア業界を中心に色々と出てくるでしょう。

春山:面白いですね。確かにデータの利活用の際の配慮と情報提供者への透明性は十分に必要ですが、趣味嗜好や特定のサービスについてのみ話す場だからこそ、企業や顧客価値につながる学習データが出てきそうだなという気がしますね。

最後に、コミュニティを事業にする上で大事にしていることを伺いました。

春山:ただ、コミュニティはお金を稼げるという認識だけが先行するのは危険だなと思っています。そもそもコミュニティは「人でなければできない」部分をサポートする意義があるというお話しをしました。

温かみやその場だからこそ得られる体験、といった情緒的な価値を理解してもらうという施策も行うことで経済的な価値とのバランスを取らなければと考えています。
今当社が力を入れている「コミュワン」というコミュニティマネージャーのためのコミュニティも、コミュニティの価値に共感する方々と共にコミュニティやコミュニティマネージャー職の素晴らしさを増幅・伝播し、結果的にコミュニティに投資する企業が増えれば良いなという”想い先行”で取り組んでいます。


事業開発部門の春山さん、梅木さんのお話をお届けしました!
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