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普遍的なもの: φ in the sky

命の危険を感じるようなひどい猛暑が続きますね。暑くて動きたくないときに聴きたくなるのが、今日紹介するφ (ファイ)in the sky(CNo27、2018年6月11日生まれ)です。この曲が作られるに至った経緯と、このタイトルが意味するものを、今日は書き留めておきたいと思います。


治療と副作用

以前、抗がん剤治療の経験に関する話は何度か書きました。
■ 副作用のつらさを紛らわすのに役立った曲

■ なんとか治療が終わった安堵感

■ 不吉過ぎて続きを作れなかった曲

副作用の中で最もポピュラーなものに脱毛がありますが、φ in the skyは実はこれに関係した曲です。

私の場合、初めての点滴のちょうど10日目から抜け始め、あっという間に頭髪はほぼなくなりました。髪の毛だけでなく、全身あらゆる毛がなくなります。身体を保護するものがなくなるので、それも感染症にかかりやすくなる一因でしょう。

眉は数か月かけてなくなっていきました。完全になくなった跡は冬の花壇のようで、花がないのに外枠のような小さな隆起だけがあり、なんとなく寂しい感じでした。もとの髪型と同じウィッグをかぶっていたので頭は楽でしたが、眉はいちから自分で描くので大変でした。

それでも最後の点滴から1か月もすると、確実に毛が生えてきました。頭にだんだんつむじが形成されていくのが面白く、私は毎週月曜に頭の写真を上から撮って変化を楽しんでいました。

とはいえ、セミロングの髪型が完全にもとに戻るのには2年かかるといわれ、くらっとしました。早く伸びることを熱望していたので、エスカレーターで坊主頭の少年などが前に立つと、つい頭を凝視して「自分より長いかも」などとちょっと悔しくなったりしていました。

宇宙の一部であること

つむじというのは髪が伸びるにつれて微妙に位置が変わって見えます。渦巻きが移動していくさまはちょうど台風のようです。撮った写真を加工して遊んでいたら、空に浮かぶ何か天体のようにも見えてきたので,さっそく合成写真を作ってみました。

東京の空に現れた私の天体

渦巻きの作り方にフィボナッチ数列を半径とした四分円をつないでいくものがあります。フィボナッチ数列とは、1・1・2・3 ・5・8・13…というように隣り合う2つの数字を足した数が次の数字になるという数列です。この数列は自然界の様々なところに現れることで知られる、不思議な法則です。冒頭の写真にあるひまわりの種の並びにみられる渦巻きは、フィボナッチ数列が現れることで有名です。

さらに神秘的なのは、この隣り合う数字(3以上)の比が、5/3=1.667、8/5=1.6、13/8=1.625、21/13=1.615とだいたい1.6になり、これは一般に人が美しいと感じる黄金比に一致します。黄金比のことをΦファイと表現することがあり、Φ in the skyというタイトルは、黄金比について書かれた下記の本(の原書)にあった表現からいただいたものです。

渦巻き銀河などの天体にもこの現象が現れていることを考えると、自分も宇宙の一部であることを実感して、なんとも不思議な気持ちになりました。この曲は動画にして発表会に出しましたが、宇宙の写真をふんだんに使っています。そして、生物の証として鼓動でリズムをとっています。

ちなみに、髪の毛はその後無事元通りに生え揃いました。途中、人生初のくせ毛を経験しましたが、重力に引っ張られてだんだん真っ直ぐになったようです。

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