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古代緑地 Ancient Green Bert 第2話 「東の海」

 東の海の果てに小鬼がすむ小さな島がありました
 小鬼は小さいけれど性悪で邪悪で 散々悪さをしてきたのでとうとう島には人っ子一人いなくなってしまいました
 実はこの小鬼は むかしむかしにこの島に流れ着いたかつての桃太郎なのです 
 桃太郎はあの事故で死の灰を被ってしまって 漂流のあげく辿り着いた 鬼が島で 散々な目にあいました 弱った桃太郎 とうとう鬼の皮を被らされてしまったのでした 鬼の皮を着ると鬼の起きているときは鬼の思う通りに動くので 泣く泣く悪さをさせられていたのです 

東の鬼が島


 鬼が眠っているとき 小鬼はおじいさんおばあさんのことや故郷のことを思い出して泣くのです 自分がしたことを後から知ってなみだにくれる毎日です そんな桃太郎なのに 鬼が出ているときは とんでもなく酷いことをしてきたのでした
 

 本当の桃太郎を知る 青い海蛇だけがその辛い心を話せる相手だったのです
 
 海蛇は青と黒の綺麗な縞模様でした いつもかつての桃太郎のことを気にかけていました

 あるとき島に降り立った小鳥に小蛇は悩みを打ち明けました その小鳥は光冠を持っていました なりは小鳥ながら長老の彼は話を聞くと 空高く舞い上がって行ったのです  

 それから どのくらい経ったでしょうか

東の鬼が島天の鳥船

 連れてきたのは大きな鳥船 七色に光る 天の鳥船でした

 背中に乗っているのは
 金色の猿と 大きな黒い狼

 小鳥は鬼が眠っている時の桃太郎に知恵を授けました
 

 まずは鬼も大好物の黍団子と 大きな杯にはなみなみと天の酒を鬼にお供えしました

 久しぶりのご馳走でしたから 鬼は躍り上がって それに掴みかかります
 もぐもぐ ぐいぐい 食べたり飲んだり 

 そのうち暑くなって 作戦通り 鬼は鬼の皮を脱いでしまいました 


東の鬼が島天の鳥船 1

すると おお!

小さな桃太郎がつるんと出てきました!


東の鬼が島脱皮 1


 抜け殻の鬼が 千鳥足となってフラフラしているところへ
 金色の猿が 鬼を退散させるというあの黄泉比良坂で名の知れた桃をオーバースローで投げつけますと 「ポカン!」

 そこへ黒い狼が 走り出て 大きな口で 「バクン!」
 

 これで一巻の終わり 鬼はもう出てこれません

東の鬼が島桃投げ 1

 桃太郎はそうしてつやっつやの赤子になって 新しい桃にすっぽり入れられると
 夕陽の海へ流されました

 桃はどんぶらこどんぶらこと波に運ばれ 桃色の空と海に包まれてやがて見えなくなりました 空には桃色の虹がかかりました 

 虹は天の鳥船が天へ帰る波しぶきでした
   

 桃太郎はきっと夢の中 またいつか おじいさんおばあさんに会えるでしょう

 青い蛇は ひとりぼっちになりましたが 小鳥の長老はまた来るよと言ってくれたそうです

 めでたしめでたし



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古代緑地 第二話目アップいたします。久高島で出会ったイラブーの小蛇へのオマージュ。夜 近くの氏神様にある御神木 傷ついた(焼夷弾が落ちて燃えた)銀杏の木の周りをぐるぐるしながらお話を作りました。


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