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LGBTQ+のためのマップから考える、インクルーシブと分断【Compath レターVol.5】

皆さん、お疲れ様です。Compathレター担当のがみです。
CompathレターVol.5をお届けします。

『Compathレター』は、皆さんの忙しい日常の中に、ふと足を止めて自分や社会について少し考える時間を提供するニュースレターです。日々流れる様々なニュースの中から厳選し、そのニュースから思い浮かぶ小さな“問い”も添えてお届けします。

今回お届けするニュースは、アメリカで新たに生まれたLGBTQ+向けのグローバルマップサービス『Everywhere is Queer』について取り上げた記事です。

LGBTQ+が生きやすい社会の実現のために新たに生まれたこのサービス。
一体どんなものなんでしょうか。一緒に考えてみてください。

ニュース紹介 ~マイノリティが安心できる場所とは~

本サービスは、アメリカのポートランド出身のチャーリー・スプリンクマン氏によって生み出されました。LGBTQ+の当事者である方々が、なかなか心地よく暮らすことが難しい現代社会において、同じくLGBTQ+当事者であるチャーリー氏もまた、自分たちが尊重され、安心できる場所を探すのに苦労したそうです。

そんな経験から生まれたのが、今回紹介する『Everywhere is Queer』。

そんな経験から生まれたのが、今回紹介する『Everywhere is Queer』。
世界中にある、LGBTQ+当事者の方が経営・運営するお店や拠点を見つけられるグローバルマップサービスです。地図には多様な種類のアイコンが表示され、レストラン、カフェ、ホテル、ヘルスケアセンター、中には実店舗を持たないオンラインビジネスの掲載もあるようです。

必要な申請を行い、承認されればその地図上に店舗が表示されるようになる仕組みで、この地図に表示される店舗のオーナー同士のコミュニティも用意されているそう。チャーリー氏の思いとしては、「こうしたコミュニティを通してLGBTQ+の方たちにとって安全な場所が増え、そうした人々が運営するビジネスが成功すれば、性的マイノリティへの地域の理解や社会的な受容が高まるのではないか」と考えているようです。

性的マイノリティへの理解が進む一方で、それに反発する人々の声も大きくなってきている昨今。本記事は、このサービスが世界中すべての性的マイノリティの人々に「仲間が世界中にいること」を伝え、勇気を与えるのではないか、と締めくくられていました。

出典:IDEAS FOR GOOD「“安心できる場所”を見える化。LGBTQ+のための世界地図」

このニュースを読んで考えてみたい「問い」

このニュースを読んで、皆さんがどう感じたのか、少し時間を取って掘り下げて、考えてみてください。

その考えのサポートになればと、私が思う掘り下げたい”問い”の候補を挙げてみたいと思います。

Q1.「安心できる場所がない」というのは、どんな感覚だろうか
Q2.性的マイノリティの方々はこのサービスを見て何を思うだろうか
Q3.大きくなるLGBTQ+運動に対して、反対する人に寄り添ったときに、彼らは何を懸念しているのだろうか
Q4.本当の意味で誰もが尊重しあうインクルーシブな世界はどのようにしてもたらされるだろうか

続いて、私自身がこのニュースを読んで考えた事をシェアしてみますね。

今回の記事を読んだ後、たまたまイベントで出会ったLGBTQ+の方にこのサービスを相談してみたときのリアクションがとても興味深かったので、まずはそれをシェアします。

当然、「良いサービスだね」「日本の店舗が増えてほしい」というような声が帰ってくるものと思っていたのですが、その答えは意外なもので、「こういったLGBTQ+向けを大々的に謳われるとかえって分断に繋がる。私は使いたくない」というものでした。

この答えを聞いたとき、本当のインクルーシブな社会とはどのような社会なのだろうか?ということを考えずにはいられませんでした。

確かに、LGBTQ+の方が安心できる場所だと示されたこの地図のお店に行けば、その場ではLGBTQ+の方々は安心できるでしょう。しかし、それは社会の特定の場所にマイノリティの方を集めているだけにすぎず、インクルーシブな社会とはとても言えないように思えます。

本質的なインクルーシブな社会とは、誰もがお互いの個性を認め合い、共生する社会のことです。こういったサービスが広まることはかえって分断を広め、インクルーシブな社会とは真逆に発展してしまうのでは?という発言は、的を得ているように感じてしまいました。

一方で、チャーリー氏がいうように、こういったLGBTQ+フレンドリーであることが一つのブランド価値となり、ビジネスとして成功することになれば、世界中の様々な人がLGBTQ+に対する見方は変わっていくでしょう。
おそらく様々な企業が「LGBTQ+フレンドリーであることでメリットを享受したい」と思って動くと思いますし、そこで様々なサービスが造られる過程で、LGBTQ+のみなさんへの理解はどんどん進んでいくはずです。動機があくまで「儲け」にあるのが少し気になるところですが、結果として今より生きやすい社会にはなっているのではないでしょうか。

つまるところ、こういった社会問題の解決は本当に根が深く、一筋縄ではいかないんだな、ということを強く感じました。
僕はこのサービス自体はとても良いもので、理念も素晴らしく、是非広まってほしいサービスだな最初は思いましたし、今でもそう思っています。

しかし、一見とても良いサービスに見えて、結果的に社会を望んだ方向に変える可能性があるものでも、見方を変えればネガティブな点がとても浮かび上がってくるのがとても新鮮でした。

これは、本来応援すべきサービスなのに反対してしまったり、逆に応援すべきでないものを応援してしまったりするリスクが、いたるところにはらんでいることも示しているかなと思います。
自分たちが望む社会を実現していくためにも、一層思慮深く、多面的に物事を見ていきたいなと思いました。

おわりに

ニュースを読んで、考えてみて、それぞれの考えや感想がありましたら、シェアしてくれると嬉しいです(こちらのnoteにはコメントができないので、InstagramXなどで、コメントお待ちしています)。

一つのニュースでも捉え方はきっと様々。「こんな角度から考える人もいるんだ!」「自分と全然違う考えだけど、面白いな!」そう思うことが増えれば増えるほど、有意義な時間になっていくんじゃないかと思っています。

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この「Compathレター」は、北海道東川町で、北欧発祥のフォルケホイスコーレをモデルにした大人の学び舎を運営しているSchool for life compathがお届けしています。
活動の詳細は下記リンクから、見てみてくださいね。

それでは、また。

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