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「認証申請における不正行為」の第三者委員会による調査報告書 ダイハツ工業

こんにちは、コンプライアンス・オフィサーの越田です
連日の企業不祥事がNETニュースで報じられています。

ダイハツ工業株式会社が12月20日付けで
「認証申請における不正行為」
の第三者委員会による調査報告書を自社HPにアップしました

調査報告書(概要版)

https://www.daihatsu.com/jp/news/2023/report_1.pdf

調査報告書(162ページ)

https://www.daihatsu.com/jp/news/2023/report_1.pdf

本件問題の真因は、ダイハツのビジネスモデルや組織風土の問題にまで遡る極めて根深い問題である。当委員会はダイハツの抱える課題を明らかにしたものの、それらの課題は極めて深刻であるとともに、これまでのダイハツの歴史や存在意義の見直しにもつながりかねない難問であり、改善するためには経営幹部のリーダーシップによる粘り強い取組みが必要である。そのためには、経営幹部間においても、あらゆる機会を通じて所業務の垣根を超えた議論を行うことが必要である。
前途は多難であるものの、当委員会は、ダイハツの将来を悲観してはいない。調査の過程で当委員会が接した従業員は総じて真面目であり、改善の方向性さえ間違えなければ必ず倍額を回復することができると期待している。
今回の問題を乗り越えて新たな「ダイハツらしさ」を獲得することを切に願って委員会の報告を終える。

報告書 第9章 結語(PDF_133P) 後半部分

報告書を読むと

会社の内部統制システム
業務執行に関する重要な会議体
コンプライアンス活動(内部通報制度、コンプライアンス教育)
内部監査
親会社(トヨタ)への相談・報告

は会社全体の中では(内部通報の一部を除き)大きな問題はないとしている


問題の発生原因(報告書 100P〜116P)

本件問題の発生原因

第2不正行為が発生した直接的な原因及びその背景...
 1.過度にタイトで硬直的な開発スケジュールによる極度のプレッシャー….
 2.現場任せで管理職が関与しない態勢..
 3.ブラックボックス化した職場環境(チェック体制の不備等)
 4.法規の不十分な理解.....
 5.現場の担当者のコンプライアンス意の希薄化、部在試験の軽視…・・
第3 現場の実情を管理職や経営幹部が把握できなかった原因.......
 1.現場と管理職の断給による通常のレポーティングラインの機能不全…
 2.補完的なレポーティングラインである内部通報制度の運用の問題...
 3.開発・部配プロセスに対するモニタリングの問題...
第4 本件間題の真因..
 1.不正対応の指量を講ずることなく短期開発を推進した経営の問題....
 2.ダイハツの開発部門の組織風士の問題...

報告書 目次(PDF_6P)

認証申請の担当部署で「タイトなスケジュールありき」かつ「現場任せで管理職が関与しない」、「現場のコンプラ意識の希薄化」

「現場と管理職の風通しの悪さ」、「内部通報の運用の問題」

本件問題の真因では

(不正に目を背けた)経営の問題
開発部門の組織風土の問題

としている


従業員へのアンケートからは
・スケジュールありきで問題が起きても納期変更はない
・上司に相談しても「で、どうする?」としか返答がない
・上司が現場作業を理解していない
・そもそも検査をするための人員・車両が少ない
・通報しても犯人探しが始まる

現場が苦悩しているのを管理職・会社が無視して
オンスケジュールにのみ、こだわったことが読み取れます

事件発覚も
ダイハツの内部者から外部機関に対する通報があり、ダイハツは、当該外部機関からの指摘により不正行為の疑いを把握した経緯がある(報告書PDFの9P、第1章 調査の概要 第1第三者委員会を設置した経緯より)」

とされており、旧来から不正が行われていたと想像できます。

現場のスタッフが真面目にルールを遵守しようとしている中で
管理職や当該役員が会社都合(発表した予定は絶対)のみを優先し、
それが不祥事に発展した典型的な例だと言えます。

経営陣は、現場スタッフの「不正行為と知りながら、上司・会社の圧力に従わざるを得なかった」無念さを汲み取って、再建に取り組んでもらいたいです。




読んでいただきありがとうございます。上場企業や大企業以外では定着していない「コンプライアンス」をわかりやすく伝えていきたいと思います。