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メンバーnote「授業博覧会DAY1」

メンバーによる寄稿です。

毎月開催される子どもミーティング、5月は「授業博覧会」
一人一人が各10分の枠内で先生役となり、それぞれが準備した授業を仲間が生徒役となって共に作っていく、という時間でした。

実はこのコロナ渦の中、コムスビの中学生メンバーが自発的に「自分達に何かできることはないか」と、休校中の小学生メンバーの為に毎日「朝の会」を開いてくれ、お楽しみのゲーム時間などのファシリテートもしてくれました。そして時には、各自で作成した授業を展開してくれました。
そんなお兄さん、お姉さん達の逞しい姿を見ながら、今度は自分たちが授業を作ってみるという機会。

自分が得意、面白いという視点だけでなく、参加する仲間にとっても面白いか、楽しめるか、という視点を持ち、更に自分が授業を行った後に、皆がどういう気持ちや状態になっていることが望ましいか想像して設定してみる、という難しさを抱えながら準備を進めてきました。

さて当日、相手が気持ち良いなと思う姿勢、ジェスチャーや伝え方、ノンバーバルとバーバル面のマナーの確認からスタートし、様々な個性豊かな先生達が登場しました。 ( 通常のCo-musubiには「先生」という立場は存在しません。今回は特別。)

「絵の描き方のコツ」M君先生  (小学3年生)

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とっても絵が上手な先生は、自分で描いた絵を披露し、既成概念で固められた特徴だけでなく、細部にも注目すると観察力がつくと言います。こんな特徴があったんだ!と驚くほど細部まで細かに描かれていました。
先生は、「絵は人を喜ばせる力がある」と教えてくれました。

「日本史の面白クイズ」M君先生 ( 小学3年生 )

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日本史の裏話を、スライドを上手に使いながらクイズ形式で進めてくれました。
それ知りたい!ハッとするような内容が、皆を巻き込んで行きます。もっと歴史について調べたくなるような授業だね、と皆からの感想が。

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「綺麗な字の書き方レッスン」Mちゃん先生 ( 小学3年生 )

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字を綺麗に書くことで、見る人にとってわかりやすいし、お互い気持ちいい、ここから「相手を思いやる大切さ」を伝えてくれました。


「オーケストラ編成の成り立ち」L君先生 (小学5年生)

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時代に応じて演奏される場が教会、宮廷、民衆に親しまれる音楽へと変化し、オーケストラのあり方も変化してきた様子を教えてくれました。聴くだけでなく「音楽を通して時代背景を知る面白さ」を知って欲しかったようです。


生き物をテーマにした先生が何人かいましたが、同じ生き物を題材にしても、個々のユニークさ溢れる視点がまた面白い授業へと繰り広げられます。

「生き物の生涯」K君先生 (小学5年生)


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ハサミムシの驚きの子育て法や、カゲロウの一生などの紹介から、「生きる姿、形は違っても同じ命であり、命があって生きることの大切さを知って欲しい」と、「命の価値」を教えてくれました。
また、K君先生は「普段生き物をみてる気持ちとは、また違った気持ちでみると色々別の面が見えてくる」と言います。
その彼の姿から、見えてない面を見ようとする奥深さ、力強さを感じました。

「生き物の驚き」H君先生 (小学6年生)

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アメンボは表面張力を利用し水面に浮いているので、洗剤液を水面に垂らすことで浮くことができなくなる。
虫は決まったものを決まった量だけ食べるから「虫は欲がない」と説くH先生。
続けて先生は言います。
「生き物をよく観察することから、想像以上のことを発見できる。コツは1分間観察を最低3日間続けることが大切」と。
この具体的な目安は、自分の体験から統計を取ったり、あるいは経験が物を言うような直感的感覚なのでしょうか。
加えて先生の「たとえ、何も発見できなくてもそれはそれで良いんだよ」という言葉が、とにかくやってみよう、という気を引き起こさせてくれたような気がします。
無理なくみんなが続けられるようなアドバイスをしてくれました。

「設備について」T君先生 ( 小学5年生 )

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T君先生がいつも大事に育てているペットの住処であるケージの設備は、ペットが安心して眠れるような工夫など、ペットの気持ちを良く理解できるからこその工夫された設備について、画像付きで詳しく説明してくれました。


ここで井上さんは、「設備」に関連して生徒達へ新たな問いを投げかけます。
「人の生活空間や家の中において、過ごしやすくしてくれる設備にはどんなものがあるだろうか。」
それぞれ家の中で探してみることになりました。

ある生徒は、「温度を調節してくれるエアコン」、別の生徒は「空気を入れ替えてくれる換気扇」、また別の生徒からは「食べ物が腐らないようにする冷蔵庫」などなど、、、
動物の設備から、自分たちの空間に置き換えて焦点を当てると、子ども達にとって「設備」と言う言葉が身近に思えてきたようです。

「この家、住みやすい工夫なんてある?」と素朴な疑問をつぶやいた子には、「縄文時代の住居と比べてみるとどう思う?」と問いかけました。

当たり前にあると思っている設備も、見方を変えることでその設備がある有り難さを感じ、更にその設備の仕組みについて知ってみようとするキッカケが生み出されました。

物事に対して抽象的な視点角度から具体性を抽出していく作業は大人でも難しいことがありますが、代表の井上さんはいつも子ども達へこういう仕掛けをしていきます。
答えがないから話がいくらでも広がっていくのです。

1コマの授業ごとに生徒役から様々な質問や感想、それだけでなく先生役や授業において良かった点をそれぞれの視点で見つけ、皆が自然と言葉に出します。
オブザーブしてくれた中学生コムスビメンバーのお姉さんも、一人一人にアドバイスや感じたことを丁寧にフォローしてくれました。
いつも他者を思いやる気持ち、他者を認める気持ちで溢れています。

K君先生から「授業の組み立て方のコツは何か?」という質問が出ました。
この質問に対し、井上さんは伝えます。

・「楽しかった」だけで終わらず、授業の後に個人個人が『その先を深めたい』と思えること
・一つの問いに対し、答えが一つだけではないこと
・自分が見つけた問いの他にも沢山の問いを見つけてみること

用意された問いだけではなく、用意された答えもなく、自然と自ずから出てくる問いや気づきをとても大切にしているのです。

授業を作ってみて、それぞれ色んな難しさや葛藤があったと思います。
自分中心の視点だけでなく、*パースペクティブテイキングが一つの大事なキーだと感じました。
大人にとっても高度なスキルですが、相手が何を考えどう感じるかを想像する力の基盤がないと、このチャレンジはとても難しいことだったでしょう。

しかし今回の経験から、頭の思考回路へのアプローチと共に、普段お話会やこどもMTGをしてくれる井上さん、学校の先生、そしてコムスビの中学生の先輩の気持ち、他者の立場に立ってみた気持ちを知る事ができたり、個々の中に彩豊かな思考や感情を巡らす事ができたのではないでしょうか。

現在COVID19で世界中が大変な状況ですが、多く人の視点に気付き、自ら問いを見つけ、広く公平なジャッジができる力は、これからのVUCAの時代にもとても大切な力の一つとなるように思います。

一人一人が発揮できれば世界はより良くなるのではないかな。
私にとっても課題の一つですが。。。

子ども達にとってこの経験がまた一つ大きな種となり、今後どんな根を張りどんな芽が出ていくか、とても楽しみです。

文章:坂田

* パースペクティブ・テイキング(perspective taking) とは

相手の視点と立場から物事を見て、相手の考え方や感情を理解する力のこと。



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