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Eugenの備忘録その59-12/23 下野竜也指揮N響第九

下野竜也指揮N響第九演奏会(12/23 14時より、於NHKホール)

バーバー:《弦楽のためのアダージョ》
ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱付き》

中村恵理(S),脇園彩(Ms),村上公太(T),河野鉄平(Bs)

 中道中庸ストレート勝負。奇を衒わないまさに正攻法であった。正攻法過ぎて驚きが少ないとも感じたが、最終的に飽きが来ないのはこうした真摯なアプローチだろう。第3楽章の弱音の扱いなど、下野の音楽性をまざまざと感じる部分も頻出。オケでは低弦の厚みが際立った。もっと金管を前面に出しても良いところについても特段前に出さず、均衡を崩さない。第4楽章も特段見せ場に見得を切ることもなく、終始ポーカーフェイスで淡々と進む。ソリストではバスが弱かったが、ソプラノの中村恵理が、本調子でなかったものの圧巻の声量で聴かせる。本編の前にはバーバーの《アダージョ》が奏でられた。弦楽合奏による瞑想的な奏でに、2年半前に聴いたフィンジを思い出し、下野の音楽性はこうした抒情的な曲で発揮されると再認識した。

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