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Eugenの備忘録その29-7/8 広上淳一指揮日フィル定期(演奏会形式の《道化師》)

広上淳一指揮日フィル定期
レオンカヴァッロ:《道化師》(演奏会形式)
(7/8 14時より、於サントリーホール)

カニオ:笛田博昭 シルヴィオ:池内響
ネッダ:竹多倫子 ベッペ:小堀勇介
トニオ:上江隼人 
合唱:東京音楽大学 児童合唱:杉並児童合唱団

 《道化師》を演奏会形式で繰り広げたが、オケパートの存在感が俄然強まる。衝撃的な結末を暗示するように何度も何度も低弦が唸る箇所がとりわけ目立ち、広上のツボの押さえ方のうまさを実感。歌手陣ではトニオの上江隼人が復讐心と嘲笑を抜群に演じる。ネッダは竹多倫子、第1幕のトニオをあしらう場面や終幕の絶叫はじめ声量充分で「マドンナ」役の存在感を際立たせる。シルヴィオを演じる池内響は色気がある美声ちでネッダとの二重唱の場面はじめ聴かせた。カニオの笛田博昭は復讐と理性の狭間を彷徨う役を好演。終幕での怒りの爆発はもとよりその伏線となる第1幕冒頭の独白も素晴らしい。
オケと合唱団も、第2幕の劇開演前などで存分に臨場感を醸し出す。音楽内容の充実した、まさに演奏会形式の長所を感じさせる75分だった。

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