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新・体がしんどいと思ってたら憑いてた話

なにを隠そう私は複数人(+動物)が憑いていた女である。

そのお話はこちらから。


前回の記事を読むのが面倒、あたしゃそんなの知らないよという方の為に一応ざっくりと説明を。

私は30代ド真ん中のセックスレスを患う人妻だ。
ひょんなことがきっかけで以前働いていた会社の同僚から「練乳ちゃん、悪いの憑いてるんじゃ?」と言われ、あれよあれよとお祓いをする運びに。
「ちょwwwおまwwwそういう話は信じないわけではないけど私なにも視えないし憑いてるとかないっしょwwwww」な感じで自分には関係のない世界の話だと思っていた私、見事に憑いてました。まぁまぁ大量に。

今思い出してもすごく不思議な体験だったが、怖いとかそんな感情は特になく、むしろどちらかと言えばアミューズメント感覚。霊体によるエレクトリカルパレード状態。

そんな初めての体験をしたのが約1年前。興奮気味に夫や友人にその体験談を語り、友人も「私もやってみたい」とのことで再び先生に会ったのがその半年後のことである。

初回からすぐお祓いをするのは稀なことで、まず初めは「憑いてるかどうかを確認してもらえる日」に先生に会いに行くのが定番とのこと。
その日に予定を合わせ、私と友達はドキドキしながら先生の所へ。
他の方も何人か居て、順番に確認してもらう。
憑いてる人、憑いてない人、割合としては6,7割だろうか、憑いてる人の方が多かった。
私もついでに、と思い確認してもらったところ、ギリギリ憑いていた。
ギリギリ憑いていた、というのは、その確認方法として「先生がお経を読み上げる間、目を閉じて座り、ひたすら手を合わせて待つ」という時間があるのだが、憑いている場合は座っていられなくなり倒れ、憑いていない場合はそのままお経読み上げタイムが終了する。
私はしばらくの間そのまま座ったままの姿勢をキープ。前回の確認の時はまぁまぁ序盤で倒れたものの、今回は「お?このままイケるか?」というところまでなんともなかった。お経も終盤、もうそろそろ終わるぞ!というすんでのところでフワ~ッと後ろに倒れた。
「惜しかったね!」と先生に声をかけられ、体を起こされた。
惜しかったね!じゃないんだよ先生。

そんなわけで、また別日に予約を改めて取り直し人生二度目のお祓いへ馳せ参じることになった。

友人と予定を合わせ二人分の時間をとってもらっていたため、先に友人のお祓いから始めてもらった。
先生も私も「まぁ2回目だし、まだ半年しか経ってないし、そんなに憑いてないでしょ(フラグ)」との判断で友人を優先したのだ。

友人は友人でなんかいっぱい憑いてた。
私の初回と同じくらいの人数(+動物)が先生によって成仏させられた。

興奮気味に話す友人の話をひとしきり聞きつつ休憩を挟み、私の順番がきた。

お祓い用の部屋へ向かいながら「まぁ2回目だしね、半年しか経ってないからそんなにいないと思うよ(フラグ)(2回目)」と先生。私も「そうですよね~半年ですもんね(フラg…」と相槌を打った。

一度体験済みのお祓いだ、怖いことは何もない。

特に抵抗することもなく、むしろ「はい、はい、次はこうですね」と流れを把握しているので順調な滑り出し。スムーズなお祓いとはこのこと。

例によって私に憑いていた人が先生に呼ばれ、喋り出す。

今回の方はつい数か月前に憑いたばかりのニューフェイス。そりゃそうだ、半年前すでに私はお祓い済みなんだから。
何歳だったとかどうして亡くなったとか一通りの質疑応答の後、先生の合図に合わせて成仏。良かった…またひとりの迷える人が成仏していった…

はい次の方。えぇ、いますよね次の方も。わかってます。大体数名くらいはいらっしゃるんですよ。その方もきちんとお話して下さるタイプの方でした。先程と同様の流れで成仏…良かったね…

ネクスト、狐。狐ねハイハイ。また狐ですよ。(前回も憑いてた)この狐もどうやら最近憑いたらしいとのこと。なんか私が車に居て、いけそうだから憑いたとか。なにその軽い感じ。ヤレそうだから部屋に呼んで押し倒したみたいな感じ?もう、バカにしないでよね!
私から出ていくのを嫌がると「そんなこと言ってると地獄に落とす」と先生に脅される狐。素直に出ていくことを約束する狐。やだもんね、地獄。
そんな感じでサヨウナラ狐…もう軽い感じで入らないでね…

私はこの狐がラストだと踏んでいた。半年という期間で換算すればこのくらいなものだろう。
しかしそう甘くはない。ここから妖怪パレードの始まりだぜ!

ここら辺りからなんかいっぱい出すぎて記憶があやふやなのだが、とりあえずインパクトのあったやつらを紹介するぜ!

まずは『金龍』!
こいつは割と最近憑いたっていうニューフェイスだ。先生が「どこで憑いた?○○市(私の地元の地名)か?」と聞くと、そうだと答える。「どこだ、川辺りか、山の方か?」と聞くが、どれも返事はNO。
「じゃあどこで憑いたんだ」と再度聞くと「なんか、スーパーみたいなとこ…」とのこと。
金色の龍がスーパー?地元の?
思わず先生も半笑いで「おま、なんでそんなところに…」と聞く。わかるよ先生。私の意思で声は出せないけど、同じことを聞きたい。
「なんか楽しそうだったから」
うん、そっか。楽しそうだったんだね、うんうん。
そんなわけで(?)金龍は先生に仕えるべく、成仏ではなくどこぞに祀られることになった。詳しい話はわからんけど、先生の近くで働くらしい。
がんばれ!金龍!

続いて『八岐大蛇(やまたのおろち)』
なんか一際変なやつだった。最初「うわ!見つかっちまったクソ!」と口が悪い感じで始まり、途中からケラケラと笑いながら私をバカにし出す。出ていくのも嫌がり、このまま私の中に居座ると言い出した。
例の如く先生が「地獄に(ry」と言うとさすがのおろち君もビビりだし、渋々了承する。先生はついでに「あと他に何体いるんだ」とおろち君をパシリに使いだした。
「わかんないけどいっぱいいる、あとなんか変な怖い奴いる…」と言い出した。この辺りでお気づきだろうが、半年間で私に憑いた数が多すぎやしないか?と思われた方もいるだろう。この話以降に出てくる複数体は実は半年より以前、むしろ私が赤子の時に憑いた奴らだった。
おろち君によりどうやらいっぱい憑いてることがわかった。
先生は「わかったからお前(おろち君)がみんなに声をかけて全員連れてけ、いいな」とおろち君に言った。おろち君は「わかったけどなんかこえーやついるんだよ…俺あいつやだよ…」と、自分が説得するには力が及ばなそうなやつがいることを先生に伝えた。

というわけで次の奴は『鬼』!
実はこいつはおろち君が言う「なんかこえーやつ」ではなかった。だけど順番的にはこの鬼が先に出てきたので紹介する。
どうやら鬼というのは、元は人間らしい。なんやかんやあって人間が鬼になる(妖怪になる)みたいなことらしいんだけど、話を聞いてみれば元はなにをしていた人間なのかがわかる。先生が「お前、人間だった頃はなにしてた?」と聞くと「あー…なんかかっこいいってみんなから言われてましたね…」とのこと。とんでもねぇナルシストの登場だ。
時期は江戸とかその辺りらしく、先生が「武士か?侍か?」と聞くと思い出したように「そうだ!そうそう俺武士だったんだよ!」と嬉しそうに返事をした。
先生は人間の頃の記憶を思い出させるように語り掛け、お前にも家族が居ただろう、そこへ連れてってやる、と鬼(元武士)に伝えた。
鬼は途中から涙を流し始め、先生にとても感謝しながら成仏していった。
ハートフル鬼成仏。良かったね、私も感動したよ。

そして次が最後『黒龍』!
これがおろち君の言う「なんかこえーやつ」の正体である。なんかこえーやつらしく、登場の仕方も気味が悪かった。
鬼がハートフル成仏を決めたあと、じわじわと私の顔がニヤつき始めた。寝たままの姿勢で右手で地面をゆっくりと叩き、クククを声を出し笑う。
邪眼の力とかそういうのを持ってそうな性格の奴だ。
2人連続でお祓いを続け、しかも予想外の妖怪の多さに疲れていた先生は「なんだお前は」と若干イラだちながら黒龍に話を聞いた。
どうやら生まれてすぐくらいに住んでいた借家で憑いたらしく、長きに渡って私の中にいたと。
正直大したエピソードも語られないまま、とりあえず“龍である”“俺は黒い”という発言を元に黒龍であるということで先生の下で働くことになった。
龍は働く、これ鉄則。

最後はまたしてもおろち君の登場。
先生に言われるがままその他大勢に声をかける。
「みんなーもうダメだぁ。見つかっちゃったよ。行くよー」
なんとも情けないリーダーおろち君である。
「先生、この子(私のこと)可哀想だよ…こんなにいっぱい憑いちゃってサァ…」
最後は私に同情しだすおろち君。うん、憑いてるのお前らなんだよね。
先生も「だからお前も早く出てけ」とクールな返事。散々祓ってお疲れなのだ。
さようならみんな…もう入ってくるなよ…!


約1時間半ほどかけて、私のお祓いが終了した。

「半年しか経ってないから~…」のくだりが壮大なフリとなり、妖怪パレードで見事にオチがついた。

初回よりも濃いメンバーの面々に驚いたが、やはりそれぞれのキャラクターがあって怖さより面白さが勝っていた。というか、なんにも怖くなかった。

ちなみに友人曰く「私にはギャルが入ってた」とのことだったので、本人の許可を得てまた記事にしてみようと思う。


嘘のような本当のお話。
信じるか信じないかはあなた次第です!(堂々としたパクリ)

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