区分所有法 第46条(規約及び集会の決議の効力)

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条文

(規約及び集会の決議の効力)
第46条 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
2 占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

解説

 特定承継人とは、他人の権利義務を個別的に取得する者をいう。具体的には、売買や贈与で区分所有権を手に入れた者。競売の競落人も含む。
 民法254条により、共有物の他の共有者に対する債権はその特定承継人にも及ぶと規定しており、それをこの条項で、区分所有における共有関係にも拡張している。
 特定承継人は、承継前に締結された規約や集会決議に従い、また規約や集会決議に基づく債務が存在するときは、それも承継することになる。

 管理の義務を負うのは区分所有者であり、占有者は、規約や集会決議で決まった使用方法についての義務のみを負うことになる。占有者は賃貸借などにより区分所有者から専有部分の使用権のみを取得する者である。専有部分の使用権に伴い、エントランスなどの共用部分の使用権も取得する。エントランスを利用するときは、占有者もそのルールを守らないといけない。このように占有者は「使用方法につき」「義務を負う」ことになる。

参照条文等

民法 第254条(共有物についての債権)
 共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。
区分所有法 第7条(先取特権)
 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
3 民法(明治29年法律第89号)第319条の規定は、第1項の先取特権に準用する。
区分所有法 第8条(特定承継人の責任)
 前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
マンション標準管理規約 第5条(規約及び総会の決議の効力)
 この規約及び総会の決議は、区分所有者の包括承継人及び特定承継人に対しても、その効力を有する。
2 占有者は、対象物件の使用方法につき、区分所有者がこの規約及び総会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。


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