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マーケティングリサーチ職は必須の存在

 

 23年5月に会社定年を迎えました。会社では、いいことも悪いことも、楽しいことも嫌なこともありました。それも皆過ぎたこと。今さら蒸し返したところでどうなるものもない。しかしながら、とりあえずこんなことも考えていたねと書き留めておこうと。


 職業生活の大半、マーケティングリサーチに関わっておりました。消費者調査担当です。「リサーチ・調査の専門家!」と持ち上げられながらも、肝心なところでは蚊帳の外にて、蔑ろにされてきた歴史でした。

 実は「リサーチ・調査の専門家!」について、会社当局あるいは時の為政者の認識は以下のようなものなんです。
 ・リサーチ?調査?そんなもん外部の専門会社に任せておけばいいんだ。
 ・彼ら専門家集団だ。何だってやってくれる。
 ・(リサーチ・調査の)専門家って言ったところで、結局彼らも
  そういった会社に頼むんでしょ。
 ・専門家なんていらねーよ

 まっとうな調査会社であれば、確かにこちらの意図を的確に理解し、適切に実施し結果を返してくれます。そして、一定水準の会社であれば、どこにお願いしても同様な結果を返してくれます。委託するのに技はいらない。それについてはその通りです。

 しかしながら、さあ、結果が来ました、それをどう解釈するか、どう活かすかの段になると、業界・業種、業界の中でのポジション、あるいはその商品やら施策の狙いによってまるで違うのです。端的な例では、人口の1%において顕著にみられるニーズが見つかったとします。「大」企業からしたら、果たしてそこまで対応できるのか?採算は合うのか?で、議論にすら至らないかもしれません。一方で「小」企業からしたら、いち早く参入してそこを独占するチャンスです。単純計算1億人の1%で、百万人のお客さまが待っているとも言えます。

 実は、結果をどう解釈・理解し、どう活かしていくか、それこそが会社独自のノウハウなのです。
 さらに言えば、結果解釈の前に、そもそも調査をどのように仕組んでいくのか、それにも会社それぞれに相応しいやり方があります、これまた端的な例では予算感。1兆円規模の会社と10億円規模の会社とでは、調査費用100万円の重みはまるで違います。
 さらに、消費者調査において、意思決定においてより有力な情報をもたらす層(オピニオンリーダー的存在)が、どのような人たちで、どうやって探し出すかなど、秘伝のノウハウとでもいうものです。私はここに大層力を注ぎました。同業他社にとってはとても役に立つ情報だと思います。だから今しばらくは明かしません。

 さて、私には、主に調査を委託する側の会社から、受託する側の会社にいったん転職し、また元の会社に戻ったという経験があります。一連の過程で強く感じたことは、会社の中にいないとわからないことがあるということ。受託者の立場で、調査実施の背景について説明を受けていても、大事な部分がもやもやのままということがよくありました。元社員ゆえ、何らかの意図が裏にあることは予想はつく。でもその詳細がつかめないのです。それがわかれば、もっといい仕事(調査)ができるのにと、たびたび感じたものでした。そんなこんなが再び元の会社に戻ったきっかけの一つになりました。中の人が適切に内部事情を勘案して、要点を示すのが大切なのです。

 ともあれ、社内マーケティングリサーチ職の存在は、多くの人が思っているより大きい「はず」なのです。よく、調査をしたところで、結局当たらないという人がいます。あえて言いますが、やり方が適切ではないからです。その会社に合ったやり方を考え、きちんと受託してくれる人たちに伝え、適切に解釈する。これを積み上げていくことで、わかることが増えていきます。実際自社がやろうとしたことで、大丈夫かなと感じたことは、ほぼうまく行ってません。
 

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