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カテゴリー11を再度考えてみる

回答企業に対して、CDP2024は、大幅な変更が予定されている旨、メールで案内がされていたことは、noteでもご案内しておりました。

公式サイトでもようやく告知がなされましたが、ヘルプセンターという、非常に分かりにくい場所にひっそりと。こちらについてもご案内済みです。

だからと言うわけではありませんが、来年へ向けて、既に準備を始めている企業から問い合わせを受けました。次回からは、カテゴリー11にチャレンジしたいとのこと。素晴らしいですね。

カテゴリー11「販売した製品の使用」は、その名の通り、自社が販売した製品をお客さまが使用することによって排出される排出量であり、「シナリオ」を作成して算定することが一般的です。

業界団体等で、統一されたシナリオが作成されていればラッキーなのですが、そんな恵まれたケースは多くなく、事業者がお客さまの使用シーンを想定しつつ、作成していくことになります。

製品を一番よく知っているのは、メーカーさんなので、支援する側としては、プロセスが妥当なのかを主にチェックします。この際、どのような仮定に基づいているのかを、併せて報告すべきとされていますので、これに従うことになりますね。

スコープ3算定技術ガイダンス

さて、「それでは始めましょう」となって受けた質問がこちら。
「うちの製品、エネルギー使わないんですけどね」

この質問、「想定内」です。
逆に、この点に疑問を持ってもらった方が、理解が深まるので好都合です。
自社の製品の性質を改めて確認してもらえる、良い機会になりますので。

最初に躓きやすい、この点、論点でもあり、既にnoteでご案内しました。
その排出量が、「直接的」な排出量なのか、「間接的」な排出量なのかです。


排出量の算定方法のデファクトスタンダードは、GHGプロトコル。
その中でも、組織の排出量では、次の4つが基本書。
2つのスタンダードと2つのガイダンスです。

スタンダードは、コーポレート基準、スコープ3基準と呼ばれます。
ガイダンスは、スコープ2ガイダンス、スコープ3算定技術ガイダンス。
ガイダンスは、スタンダードとセットで使用されることが前提です。

ちなみに、製品の排出量では、次のスタンダードを用います。

ダウンロードしておいてもよいですが、現在アップデートプロセスに入っていますので、適宜チェックしておくことをお奨めします。日本語訳もありますが、できれば、原文も読んでおいた方がよいです。修飾語の係り受けが分かりにくくなっていたりもしますので。

Topline Findings from Corporate Standard and Scope 3 Feedback Webinar より
Topline Findings from Corporate Standard and Scope 3 Feedback Webinar より

質問に対する回答は、スコープ3基準とスコープ3算定技術ガイダンス両方に説明があります。ここでは、みずほ情報総研翻訳版のガイダンスをご紹介します。

こちらの表の方が、事例も紹介されているので、イメージが湧くでしょう。

簡単に言うと、「間接的な使用段階の排出量」とは、製品自体はエネルギーを消費しないけど、製品の機能を発揮するために、あるいは、使用に伴って一般的に必要とされるエネルギーによる排出量のことです。

では、算定しなければならないかというと、このような説明があります。

なので、このように理解しておきましょう。

直接使用段階の排出量 必須
間接使用段階の排出量 任意(多いと予想される場合には望ましい)

私がこの論点を説明するときには、「タイヤ」を例に挙げます。

タイヤは、それ自体は、エネルギーを使いませんよね。
積み上げて、板を渡して「テーブル」としても使えるでしょう。

でも、タイヤは自動車のように移動する機器に取り付けられて初めて、その機能を発揮します。そして、自動車は、使用段階の排出量が圧倒的に多い。加えて、タイヤは燃費性能に多大なる影響を与える。

であれば「間接使用段階の排出量であっても算定すべきでしょ」ということです。

いかがでしょうか。少しは、スッキリしましたか?
最初から完璧を目指すのではなく、着実に、歩みを進めていけばOK。
算定は、毎年実施することによって、ブラッシュアップされていきます。
一緒に、勉強していきましょう。

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