園田隆克@GHG削減サポーター

2009年、国内におけるカーボン・クレジットに携わり、PDD作成支援や第三者検証業務、…

園田隆克@GHG削減サポーター

2009年、国内におけるカーボン・クレジットに携わり、PDD作成支援や第三者検証業務、オフセット商品開発を行う。現在、事業者のGHG排出量算定・検証業務及び削減支援、ブルーカーボン創生支援及びそれを活用した地域活性化を推進。ボランタリークレジットの普及にも注力。

マガジン

  • 算定と検証の実際

    躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。

  • 高品質なカーボン・クレジットを求めて

    誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。

  • 排出権取引の現在地

    カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはどうなるのか。CBAMのような、国境調整措置との関係はどうなるのか。リアルタイムで追いかけます。

  • 情報開示のエトセトラ

    TCFDにTNFD、SECにEFRAG。ボランタリー系にコンプラ系。様々な開示ルールが存在する今日この頃。統一化の流れですが、リアルタイムで追いかけるのは辛いところ、お助けする記事をアップしていきます。

  • 国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

    毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えません。何とか頑張って、フォローします。

最近の記事

追加性(Additionality)を理解しよう

皆さん、「追加性(Additionality)」という用語はご存知ですか? J-クレジットの実施規定において「プロジェクトが満たすべき要件」の一つとして挙げられていますので、クレジットに携わったことのある方なら、当たり前の概念ですよね。 何も国内に限ったものではなく、国際的な概念であり、ボランタリーなGHG排出削減プログラムを推進する非営利団体のICROA(International Carbon Reduction & offset Alliance)は、認証可能なクレ

    • 中国版S1・S2? ESRS? したたかな戦略

      上海・深圳・北京という、中国の主要証券取引所が、サスティナビリティ情報開示ルールのドラフトを公表、コンサルテーションを実施しています。 noteでも繰り返しご案内しているように、昨年ISSBがIFRS S1・S2基準をリリースして以降、各国・地域の規制当局が、それぞれの事情を反映させたS1・S2基準を策定してきています。 日本版は、昨年度末日にSSBJが公開したことが、記憶に新しいところ。 上記に記載がありませんが、香港政府も2024年度から段階的に導入開始し、2026

      • サウジアラビアを視察してきます

        4月18日から1週間の日程で、サウジアラビアを視察してきます。 サウジアラビア政府は、主要な3つの都市にそれぞれ特別な地位と役割を与え、国家の発展に寄与させる戦略的な位置づけをしています。 今回はこの3都市と、イスラム教の聖地、メディナを訪問する予定です。 この中で、皆さんに一番馴染みが薄いのが、アルウラではないでしょうか。 サウジアラビアには、現在世界遺産が5つありますが、その中で最初にUNESCO世界遺産に登録されたのが、マダイン・サーレ(Madain Saleh

        • クレジット動向を勝手予測

          かれこれ10数年、国内のカーボン・クレジットに携わっていますが、海外のカーボン・クレジットのダイナミックさには、目を見張ります。 そもそも、国内のクレジットは「半」コンクレ(コンプライアンス・クレジット)の、J-クレジット一択。ただ、方法論が限られ、使い勝手も悪い。 今後、GXリーグから超過排出枠も生み出されるでしょうが、活況を呈する状態となるかは??? 完全なボラクレでは、例えば、フォレストック認証などもありますが、普及しているとはとても言えない状態。(応援したいです

        追加性(Additionality)を理解しよう

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        • 排出権取引の現在地
          98本
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        • 国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない
          122本
        • 情報開示のエトセトラ
          114本
        • 気候変動も生物多様性も〜持続可能な世界を目指そう
          82本

        記事

          クレジット化、必要ですか?

          「カーボン・クレジット」という概念が、環境に携わる方々の間では浸透し始めてきていることは、私も含め、皆さんも実感されていることでしょう。 noteでは、その意味・意義や活用については繰り返しご案内しているという自負があり、喜ばしいとは思っています。 しかしながら、普及するに従い、問題が発生することは世の常。いつまでも、スタートアップで居続けられるとは限らないのです。 それを痛感するのが「クレジット作りたいんですけど」という問合せ。 noteでは、ブルーカーボンを推して

          クレジット化、必要ですか?

          SBTiは妥協したのか?

          4月9日、SBTiは、スコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発表しました。 いわゆる「高品質なクレジット」であれば、気候変動に取り組むための新たなツールとして機能する可能性があることを認識したからとのことですが、2030年が近づくにつれ、現実的路線にシフトしてきたといえるでしょう。 その前兆は既に現れていました。 クレジットの使い方、開示方法については、VCMIによる「Claims Code of Practice:CoP」がほぼデファクトで、Ver

          SSBJが注目される理由(わけ)

          SSBJ基準のドラフトが公開され、注目が集まっていることは、皆さんもご承知のところでしょう。noteでも、ご案内したところです。 サス担の皆さんにとっては「当たり前」のことでも、その他大勢の一般の方にとっては「一体何?」っていうところではないでしょうか。 各所に協力をお願いしなければならないところ、説明に苦慮されているのではと推察いたします。役員に対する説明をどうしたものかと、悩みの種は尽きないことでしょう。 ISSBは、テーマ別の開示基準として、生物多様性や人的資本な

          SSBJが注目される理由(わけ)

          これから10年間コミットします

          4月6日〜7日の1泊2日で、熊本県山都町で開催された、Present Tree 主催の植樹イベントに参加してきました。 同僚に誘われて、何をやっている団体なのか全然知らない状態での参加だったのですが、人生観が変わりました。これまで、10年以上森林吸収系クレジットに携わってきていながら、恥ずかしい限り。やっぱり、practitionerであるべきですね。 詳しくは、公式サイトを参照頂きたいのですが、ひと言で言うと、日本の森林の未来を照らすプラットフォーム、OSかな。 事業

          これから10年間コミットします

          「いつか来た道なのか」(2)

          前回、4月4日開催の「第13回グリーンイノベーションプロジェクト部会」において、GX経済移行債による支援の条件として、GXリーグ参加が義務となった旨お届けしました。 GX経済移行債という「アメ」とGXリーグという「ムチ」を組み合わせた、うまいやり方ではありますが、ここに至るには、紆余曲折がありました。 実務には直結しませんが、Coffe Break代わりにお読み頂ければ幸いです。 さて、皆さんご存知ないかもしれませんが、排出量取引(ETS)は日本でも行われていました。

          「いつか来た道なのか」(2)

          「いつか来た道」なのか?(1)

          4月4日に実施された、「第13回グリーンイノベーションプロジェクト部会」において事務局から提出された資料により、GX経済移行債の支援を受ける企業は、GXリーグ参加が必須となることが明らかになりました。 「参加等」であり「相応のコミット」をすればよいという書きぶりになっていますが、マストであると言ってよいでしょう。 法律に遡及効はありませんので、既に公募が始まっている案件については対象となりません。ご安心ください。 他方、GX経済移行債のみならず、今後は、一般財源で支援を

          「いつか来た道」なのか?(1)

          24年度から非化石証書は全量トラッキング

          先般、クレジットと証書の違いについてご案内しました。 算定の初学者はもちろん、中級者にとっても勘違いしやすい内容ですので、3回に亘って説明したところです。 それでは、証書そのものについてはいかがでしょうか? シリーズの中でも説明しておりますが、再生可能エネルギーから発電された電力は、「kWh」という目に見える(いえ、電気そのものは見えませんが)価値と、「GHGを排出していない」という目に見えない価値からなっており、後者を切り離したものでした。 日本で入手できる「証書」に

          24年度から非化石証書は全量トラッキング

          CSRD 監査意見は誰が表明できる?

          国内では、昨年度末にSSBJが公開草案を公表したことを受けて、サスティナビリティ情報開示界隈が盛り上がっていますが、欧州では、CSRDが今年の1月に発効し、EU域内の大企業など一部の企業は既に「法定開示」の義務が発生しています。 EU域外企業向けは2年間後ろ倒しされたとは言え、「確定された未来」。 駆け込み対応できる訳ではありませんので、後ろ倒しすることなく、前倒し手準備を進めたいところですよね。 何よりもまず情報収集、ということで、監査法人やシンクタンクのレポートが頼り

          CSRD 監査意見は誰が表明できる?

          証書・クレジットと省エネ法

          証書とクレジットの違いと、それによる使い方の違いを、温対法の報告にフォーカスしてお伝えしましたが、「省エネ法だとどうなるの」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。 これについても、証書とクレジットの違い同様、温対法と省エネ法の違いを理解すると「なるほど」と合点がいくかと思います。簡単に説明しますね。 省エネ法は、日本の省エネ政策の根幹となるもので、石油危機を契機に1979年に制定されたもの。対象事業者には、エネルギーの使用状況等について定期的な報告が義務付けられており

          証書・クレジットと省エネ法

          日本版S1・S2 公開草案 滑り込み公開

          2023年度末までに公表するとしていた「公開草案」 年度末の最終稼働日である3月29日、滑り込みで公開されましたね。 サステナビリティ関連情報を発信するメディアを謳う「NIKKEI GX」さんは、遅れてはなるものかと、4月1日5:00に解説記事をリリース。まぁ、一大スクープでしょうから、休日返上だったことでしょう。 個人的には、議事及び事務局提出資料を都度確認していたので、委員会における審議過程は把握していましたし、先月のセミナーも参加しましたので、驚きはなく、想定通り

          日本版S1・S2 公開草案 滑り込み公開

          SBTi参加企業数アップデート

          毎月定例のSBTi参加企業数、2024年3月度。 毎週木曜日にアップデートされますので、2024年3月28日現在です。 前回はこちら。 まずは、世界の全体数(2年以内に目標を提出すると約束する「Commitment Letter」をSBTiに提出した数と認定された数の合計)及び認定数です。 「審査中」「コミットのみ」「Commitment removed」を追加し、Net-Zeroについて「全体(審査中除く)」としています。 「Commitment removed」とさ

          SBTi参加企業数アップデート

          第1回 サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWG(3)

          3月26日開催の「金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第1回)」の内容を紹介しています。 当日の資料はDLできるのですが、残念ながら、ライブ映像は非公開。ですので、見逃してしまった方のお役に立てるよう、ご紹介できればと思います。 さて、ワーキンググループで議論する事項として示されたのは、次の5点なのですが、1.及び3.についての説明が中心でした。 前回までで、このワーキンググループが設置された背景と目的、有価証券報告書の非

          第1回 サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWG(3)