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頼もしい買い手集団 FMC

First Movers Coalition(FMC) ファースト・ムーバーズ・コアリション

浅学ながら、存じませんでした。簡単に言うと、

新しい脱炭素技術の開発と普及を加速させることを目的に、費用対効果が低いものの、革新的な技術を活用した先進的な製品を、率先して購入していきます。

というコミットをする国際的な枠組みです。
クラファンみたいなものでしょうか。

COP26で米国のバイデン大統領と世界経済フォーラムが立ち上げたもので、現在50社以上が参加しています。

対象は以下のセクター

・アルミニウム
・航空
・二酸化炭素除去
・船舶
・鉄鋼
・トラック輸送

世界の排出量の30%を占めるものの、削減が困難なこれらのセクターを、革新的脱炭素技術で脱炭素化をはかること。

特に、重工業及び長距離輸送セクターは世界の排出量の1/3を占めながら、コスト競争力のある化石燃料代替クリーン・エネルギー不在のため1.5℃目標が困難であるところ、このコアリションの購買力で削減パスに載せることを、目的としています。

また、世界全体で2050年ネットゼロを達成するためには、2030年までに革新的な低炭素・脱炭素技術がコマーシャルベースで普及することが必要としています。

つまり、ゼロカーボンに資する製品やサービスを応援購買することで、当該技術を商業的に成立させ、ネットゼロの世界を実現しようというアライアンスですね。

この枠組に、日本政府も参加しました。

政府は、大手企業にも参加を呼びかける考えで、「脱炭素関連の製品、サービスを手がける部品、部材メーカーにとっては、FMC加盟企業に製品を売り込む好機になる」としてます。

それにしても、このFMC。そうそうたるグローバル企業が参加しています。
少なくとも1セクターの調達において、野心的な目標をコミットしています。

・アップル(アルミニウム・航空)
・ボーイング(航空)
・フェデックス(航空)
・アルファベット(二酸化炭素除去)
・マイクロソフト(二酸化炭素除去)
・アマゾン(船舶)
・フォードモーター(アルミニウム・鉄鋼)
・ボルボグループ(アルミニウム・鉄鋼・トラック輸送)
・商船三井(二酸化炭素除去) などなど

会員企業は55社を数え、時価総額は約8兆5千億ドル、フォーチュン・グローバル2000の10%以上に相当するそうです。

先日(5/25)、世界経済フォーラムの年次総会でFMCのイベントが行われていて視聴しました。こちらが登壇者。いやぁ、豪華メンバーですね。

・ジョン・F・ケリー  国家安全保障会議(NSC) 気候担当大統領特使
・ビル・ゲイツ ビル&メリンダ・ゲイツ財団 共同会長
・ルース・ポラット グーグル上級副社長兼CFO
・マーク・ベニオフ セールスフォース社 会長兼共同CEO
・ブラッド・スミス  マイクロソフト社長兼副会長
・ミカエル・ダンベリ スウェーデン財務省財務大臣

ともすると、セレブのポジショントーク、大企業のフィランソロピー。
そんな風に見えなくもない。だけど、それでも良いと思います。

これらの企業のバックには、機関投資家がいます。CDPと同じです。
要請を受けて、あるいは意思をくみ取ってのFMC参加でしょう。
自己資金もあれば、サステナビリティリンク債といったESG債による調達もできます。

このように、資金力を有する名だたる企業が「ゼロカーボンに資する革新的な製品・サービスを、積極的に購入します」と宣言しているのです。

ただ、得てしてよくあるのが、「知らないから使わない」
国の補助事業なんて、まさに良い例ですよね。

何だかんだ言いながら、専任の担当者を霞が関に張り付かせて、ウォッチング、ロビーイングしていないと、美味しい補助金にはありつけない。ありつけても、採択されるには、極めてテクニカルなスキルが必要。採択されても、縛りが多すぎる。

他方、このFMC。

ダボス会議を開催することで有名な世界経済フォーラムが設立し、前述したようなグローバル企業が参加し、有名CEOがPRする。
各国のメディアがこぞって報道する。

中小企業やスタートアップの経営者の目にも、止まりやすいのでは?
優れた製品であれば、FMCメンバーはこぞって購入に走るでしょう。

政府の後押しもありますから、自社製品をPRできるようなプラットフォームを作ったり、メンバーへ直接アプローチできるパスを用意してくれるかも。

民間の投資ですから、実績さえ出れば、効果さえ確認できれば、無駄な意味の無い縛りをかけられることも無いでしょう。

当方も、GHG削減のコンサルティングをしている中で、紹介していきたいと思っています。是非、この「機会」を活かして、自社の成長とゼロカーボンへの貢献を両立させて下さい。

応援しています。


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