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高品質なクレジットを目指して(1)

UNFCCCが2020年6月に発表した「Race to Zero」キャンペーン。
ご存知でしょうか。以前noteでもご紹介しました。

このキャンペーンの元、SBTiの「Net-Zero Standard」など、各イニシアチブが遅くとも2050年までに「Net-Zero」を着地点として基準を作成、参加を募っているところです。

話を進める前に、「Net-Zero」の定義を確認しておきます。

Referring to the world as a whole, the IPCC defines net zero as: When

anthropogenic emissions of greenhouse gases to the atmosphere are balanced by anthropogenic removals over a specified period.

Race to Zero considers individual actors to have reached a state of net zero when: An actor reduces its emissions following science-based pathways, with any remaining GHG emissions attributable to that actor being fully neutralized by likefor-like removals (e.g. permanent removals for fossil carbon emissions) exclusively claimed by that actor, either within the value chain or through purchase of valid offset credits

UNFCCC 公式サイト 用語集より

科学的根拠に基づく経路に従って排出量を削減し、つまり、SBTiの1.5℃目標のようなパスに従って削減していって、それでも残ってしまう「残余排出量」を、自身が「化石燃料からの排出されたCO2を永久的に除去」するか、「有効なオフセット・クレジット」を購入して「中和」されている状態、のことを言うようです。

ここで言う「有効なオフセット・クレジット」というのが、各方面で批判されています。「実体が無いのじゃないか」「グリーンウォッシュだ」「ゼロサムだから、結局排出削減につながらない」といったものです。

それを受けて、公式サイトでは定義が更新されています。

Summary of updates to Race to Zero criteria

「以前の文章が複雑だった(ので誤解を招きやすかった:筆者注)」ので「コアとなる考え方ごとに箇条書きにした」ということです。

中和する排出量は「実現不可能なものに限定」され、「どのような吸収源やクレジットが使用されたかを明確にする」こととされているので、「努力をせずに、最後は買ってきて埋め合わせをすれば良いんでしょ」という安易な考え方は排除されますね。

そして、クレジットについては、「追加性、永続性、算定処理等の基本原則を満たしていること」及び「公序良俗に反したり生物多様性を損なわないこと」を確実にすることを求めています。

とはいえ、それでも、誰にでも簡単に「クレジットの善し悪し」がわかるものではありません。そもそも「目に見えない」ですしね。

なので、「高品質なクレジット」を担保するイニシアチブが立ち上がっています。自身「クレジット」を応援する立場ですので、頑張ってほしい。

そのうちの代表的なイニシアチブ「VCMI(Voluntary Carbon Market Integrity Initiative:自主的炭素市場十全性イニシアチブ」について、次回ご案内したいと思います。

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