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VCMに革命をもたらす10のイノベーション(1)

クレジットの創生に東奔西走する私としては、捨て置くわけにはいかないタイトルのレポートを、BeZero Carbonが出していました。

BeZero Carbonは、独立したリスクベースでプロジェクトの品質を評価するカーボン・クレジット格付企業です。

専門のアナリストと独自のモデルにより、ライフサイクルのあらゆる段階に対するレーティングとリスク分析を行っており、その方法論や評価フレームワークが常に公開されていることから、個人的に期待しています。継続的に監視され更新されるのも、マルですね。

早速、見ていきましょう。

このレポートが言わんとしていることは、これまでマーケットの普及拡大を阻んでいた障壁が、技術的・制度的に解消されつつあると言うこと。その具体例として、次の10項目を挙げています。

1. Ratings - carbon markets are learning the language of risk
2. Satellite imagery - everywhere and all the time
3. Monitoring, reporting & verification (MRV) - bigger, better and more often
4. Regulators & initiatives - from theory to practice
5. Technological removals - rise of the machines
6. Unique identifiers - the yellow pages of the market
7. Insurance - giving the risk to people who want it
8. Diversification - buyers are tooling up
9. Funding - unexcitingly innovative
10. Article 6 of the Paris Agreement - fit for use

私は、カーボン・クレジットを商品に例えて、「どんなものが、どこで、いくらで、買えるかわからない商品が売れる訳ないでしょ」と口癖のように言ってきました。

なので、当時カルビーの一部門であったカルネコ事業部が展開していた、EVIの推進のお手伝いをしていました。

ひと言で言うと、プロジェクトオーナーからJ-VER(森林吸収クレジットで、現在はJ-クレジット)を預託してもらい、kg単位、あるいは、円単位で販売するECサイトです。

主に自治体や森林組合などがオーナーでしたから、ウェブ上で告知しているだけ。また、経費は税金で賄われていましたので、安値にもできず、結局全く売れていませんでした。(今でもそうですが)

このサイトでは、どこの自治体がクレジットを持っているか分かりますし、1kg、1円からでも購入可能。ですので、個人でも使いやすいものになっていました。ちなみに、私も、名刺の製造による排出量をオフセットするために、佐賀県のJ-VERを購入していました。

ですが、この障壁が解消されても、まだまだです。

品質が担保されない怪しい商品だったり、アフターサービスを提供していない企業の製品だったり、法的にグレーだったり、そもそも、使い道がない商品だったりしても、売れないし、買いたいとも思わない訳です。

「カーボン・クレジットが何なのか」を熟知している私でさえ、現状のままでのマーケット拡大については懐疑的でしたので、皆さんにとっては尚更だったことでしょう。

ですが、この10のイノベーションが実現すれば、このような疑念・懸念がかなり解消されます。カーボン・クレジット・マーケットに革命がもたらされる確率は相当程度高いでしょう。

ということで前置きが長くなりましたが、次回は、内容について個人的見解を交えつつ、極力分かりやすくお伝えしたいと思います。

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