見出し画像

UNの環境報告書斜め読み(1)

UNの環境報告書「Greening the Blue Report 2023」が公開されています。

脱炭素の旗振り役、大本営の現状は、いかがなものでしょうか。
製造部門を有していないグローバル企業とでも言いましょうか。
ちょっと斜め読みしていきたいと思います。

「1.環境影響」「2.環境マネジメント」「3.方法論」の三部構成となっていて、1と2は、各項目毎に一つの国連機関の事例を採り上げて紹介しています。

例えば、「2.2 Waste」では、1ページ目でUN全体のデータが示された後、2ページ目で「IOM(International Organization for Migration)」の「Ends Use of Plastic Bags from its Movement Operations」の取り組みが、削減ソリューションの事例として紹介されています。

個人的には、エクセルのスパークラインのように、表形式でありながら、視覚的に分かりやすく表現している「ダッシュボード」が高評価。国連機関は57もあるので、グラフにすると一覧性に欠けるところ、うまく回避していると思います。

併せて、目標の達成状況も一目瞭然。

算定担当者としては、採用している方法論が紹介されているのがよいで。これには、GHGだけでなく、廃棄物や上水・下水、調達、人的資本も含まれています。

ちなみに、エアラインを使用した出張による排出量は、ICAOのツールを使っているそうです。

そして、「The UNEP Sustainable UN team」という専門部署があるというのは、羨ましい限り。加えて、各機関に専門スタッフが任命され、毎年トレーニングを受けているとか。やはり、模範となるべき国連は、ここまでの体制を整えているのだと、感心することしきりです。

なお、この報告書は、ウェブとのハイブリッドになっています。

PDFが章ごと、あるいは一括ダウンロードできるのはもちろんのこと、詳細な各国連機関毎の詳細は、こちらのサイトにて確認できます。

ざっと目を通してみて思ったのは、「ざっ」とで概略が把握できたということ。
58ページありますが、グラフがほとんどで、必要にして十分な説明のみです。
それでいて、あの巨大な組織の全体がある程度理解できたのが驚きでした。

ここでふと思ったのが、日本企業の報告書。
アニュアルレポート、サスティナビリティ報告書、統合報告書、などなど。
多くの網羅された財務・非財務項目の図表が圧縮されており、その苦労には敬意を払いますが、全体像や方向性が分かりづらいと感じませんか?

「何でもできるは、何にもできない」

私がよく使うフレーズなのですが、ポイントが絞られていないと、誰にも刺さらない。アピールするものが無いと、誰にも響かないのです。フリーサイズは、誰にも合わないのです。

「法律ー実施令ー実施規則」のように、詳細は委任法に任せて、法律は、簡便に概略を示すだけでよいのではないでしょうか。

ということで、構成・章立てについて私見を述べさせて頂きました。
次回は、内容を見ていきたいと思います。

もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。