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時間旅行者レポートVol.31 note de 小説


「安静的!(静まれ!)」


なんと、アメリカの特設会場に
22世紀の東洋、いや世界のドンが
現れたのだ。

会場がどよめく。
詰めかけたアメリカの報道陣が
一斉にカメラを昌主席に向けられた。

「静まりなさい。

これは世界法だ。
そしてそれが制定された。

我々人民は、いや
人類はここにいるDimentionz社に
新たな舵取りを託さねばならない。

そこでわが中華は、というと
全人代で採択された法律を
用意した。

それは
Dimentionz社への人財提供と
資金提供だ。

いままで合衆国に派遣していた
わが優秀な同志を今後は
ミュンヘンに遣わすように、との
採択だ。

フーバー大統領。
あなたがた合衆国の時代は
終わったのだよ。

今後は
宇宙の制宙権をわが中華が。
そして
亜空間をこのDimentionz社が
担う。

これが縮図だ。
22世紀は宇宙と亜空間の
時代である。

そこに日本、合衆国の
つけ入るスキは微塵も
与えるつもりはない。

憶えておきなさい」


ガクッと
うなだれる合衆国大統領。

その姿が世界中に伝わった。

21世紀から世界の潮流の
真ん中に君臨したCHINAが
Dimentionz法を認め
Dimentionz社と手を組んだ。

1つの終わりを告げて
更なる始まりを全人類は
見たのだ。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


この瞬間、株式市場、債券市場、
先物市場の指数が敏感に反応した。

米株が軒並み売られた。

債券価格の利回りが急上昇した。
次いで日経平均も呼応して乱高下。

人民元、ユーロが独り勝ち。
Dimentionz社株式がストップ高
Dimentionz社関連企業が世界トップ5に
躍り出た。

Dimentionzにあらざるものはヒトにあらず
とでもいわんばかりだった。

これが一瞬の出来事であり
勝負詰み、の図式が出来た。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


実はこれには後日談がある。

08だ。
実は昌平君がサミット
特設ステージに到着時
ロビー会議にて面談し
描いたシナリオだった。

昌主席は
この提案を快く受けた。

おそらく
今後の時間旅行のサービスが
生み出す利益がCHINAに
もたらされるのだろう。

そして
アメリカを黙認させるための
抑止力でもあったのだろう。

事実、米経済は失墜した。
もう再浮上は望めないだろう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


助かった・・

とりあえずボクは安堵した。

そしてそのあとアメリカ会場を
無事に立ち去ることが出来た。
Dimentionz社幹部に守られながら。

そして
ボクのIse-Shimaサミットの
任務は終了した。

明日、成功者として帰国する。


まさに弾丸のように
駆け抜けたヤーパン滞在だったが
正福寺への訪問や
テュラム大統領との親交など

素晴らしい経験が出来た。
あと、この国の子供たちの
事も忘れられない思い出だ。


明日、生きて帰国する。


ありがとうIse-Shimaの海。

もう訪れることはないかもしれない。
だが忘れない。ありがとう。


そして
ボクはボクの新しい戦いに
本当の戦場に。

旅立つのだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

つづきます。


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