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「メイシーズのシマコさん」を思い出した。

アメリカにメーシーズという老舗百貨店がある。

最近ここのことがニュースになった。

内容はメーシーズに対し、投資家グループが買収・非公開化を提案したというもの。

これはロイター通信の記事。

ふと、この記事を見た時にある本を思い出した。

エッセイストの岡田光世さんの『ニューヨークの魔法を探して』(文春文庫)という作品。

ニューヨークは大都会なのでみんな自分のことで忙しい。

でも岡田さんはこの街の中にある「人の優しさ」を見つけている。

これは文藝春秋の公式サイト。

この本の第5章。

「メイシーズのシマコさん」というタイトルのお話がある。

俺はこの本をだいぶ前に読んだけど、シマコさんは良い意味で独特な雰囲気だから百貨店に彼女のような店員さんがいたら楽しいだろうなと感じたことを覚えている。

岡田さんがこの百貨店に行った時、珍しく日本人の店員がいた。

少し本から引用。

なんだかここでとても楽しそうに、お仕事していらっしゃるみたいですね。

『ニューヨークの魔法を探して』(文春文庫)198ページ

するとシマコさんはこんな返事をした。

はい。私、ここで働くの、大好きです。日本のデパートで働いていたこともあるんですけど、私、日本のデパート、大嫌い。みんな、ぺこぺこお辞儀ばかりして、かしこまっちゃって。デパートに入ると、私にまでお辞儀するんですよ。スーパーに行っても、いらっしゃいませ、なんて言って、もうヘンでしょう?ここは本当に自由。ボスにも言いたいこと、言えるし。フリー・スピーキング。表現の自由があります。

『ニューヨークの魔法を探して』(文春文庫)198ページ

俺は日本の百貨店のとても丁寧な接客が好きだよ。

アメリカと日本の文化の違いだってある。

でも、シマコさんの言葉は全然嫌味がなくて、自然とお客さんを笑顔にしてしまう力を持っている。

もしかしたら岡田さんもそう思ったのかもしれない。

なぜならこの「メイシーズのシマコさん」のお話だけ文庫本のあとがきで続きがあり「シマコさんを探して」というタイトルの通り岡田さんがシマコさんを探したのである。

さて、お話はどうなったでしょう。

俺はおすすめの本だよ。

もちろん最初に書いた投資家グループによるメーシーズの買収・非公開化提案は大きなニュースだから今後も気になる。

でも、こういう時にパッと以前本で読んだ時に登場した人物を思い出したりする。

今日は久しぶりにニュースと本の話でした。

では、また。

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