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【前編6冊】 歌人必読!? オススメ理科本

理科と短歌を愛する評者が、好きな理科本を歌人目線で紹介します(難しさは評者の体感です)。



宇宙人と出会う前に読む本 (難しさ ★★★☆☆)

身の回りの科学的な事象や法則が地球特有なのか、地球の外でも通じるのかを考えさせてくれます。地球人の主人公が様々な惑星の人々(?)と交流する物語になっており、気軽に読めます(著者はホーキング博士にも師事した権威ある学者ですが、筆致はコミカルです)。

これであなたも日常風景を宇宙的視点で捉えた歌が詠める、かも…?


爆発する宇宙 (難しさ ★★★★☆)

こちらもブルーバックス(講談社の一般向けの科学シリーズ)ですが、先程の『宇宙人と…』とは対照的に淡々とした筆致で、宇宙での爆発現象について語ります。

文章が端正で研ぎ澄まされており、天体現象を記した叙事詩とも捉えられます(縦書きだし)。ですので、全部を理解できなくても「綺麗だなぁ」と味わえます。歌集と一緒ですね。


賢治と鉱物 (難しさ ★☆☆☆☆)

自然科学と文学を愛した宮沢賢治。彼の作品(短歌も!)と、そこに登場する鉱物が、豊富な写真とともに紹介されています。

人間が美術を生み出す遥か前に、自然が造形した鉱物たち。賢治のように創作意欲を刺激されちゃいます。ちなみに写真のページには専門的な解説が載っており、鉱物学の知識のある人なら益々楽しめそうです。


若い読者に贈る美しい生物学講義 (難しさ ★★★☆☆)

生命現象は物理学・化学の法則に従って論理的に動いています。それをイラストも交えて分かりやすく語ります。

自分の体も、戸外の草花も、同じような法則で動いている…そんなことを思いながら日常風景を眺めると、新たな発見が生まれ、短歌が生まれるかもしれません。ちなみに高校で生物選択だと難しさ ★☆☆☆☆ くらいかと思います。


生物記号論 (難しさ ★★★★★)

生命現象の本質を情報伝達と捉え、大胆な論を展開します。

古今和歌集の仮名序に「生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける」という言葉がありますが、あらゆる生き物は(歌を詠んでいるかはともかく)情報伝達を行っているようです。そういえば遺伝子だって次の世代に情報を「伝える」物だな…そんなことを考えさせられました。


まんがで名作 ロウソクの科学 (難しさ ★☆☆☆☆)

英国の科学者ファラデーの、子供たちに向けた講演をもとにした名著「ロウソクの科学」。漫画で白熱講義を体感できます。

一本のロウソクが科学のドラマをたっぷり背負っているのです。あらゆる物は科学のドラマを有し、短歌の題材になるのではと思索が止まりません!貧しい少年から大科学者に成長したファラデーの生涯も紹介されています。


後編:https://note.com/consida/n/n0072191e6ac6