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社会人が大学院入学に向けて準備すること(#1)|統計学

こんにちは!某大手コンサルティングファームで経営コンサルタントしながら、2022年の4月から都内のMBAで社会人大学院生をしているCinnaです。

平日の日中はコンサルタントとして働き、平日の夜間と土曜日は大学院に通って、経営学、統計学を学んでいます。

来年から社会人大学院生になる方、おめでとうございます!

新たな学び、学友との出会いを心待ちにする気持ちと、忙しい仕事と学業、それから人によっては家庭を両立できるのだろうかという不安な気持ちの両方を感じていることと思います。

今日は、比較的時間に余裕のある大学院入学までにしておけば良かった、と感じていることを紹介します。

大学院入学前に基礎力を身につけるべし

大学院に入学する前にどのような準備をすべきでしょうか?

私自身、何を準備して良いか分からず、大部分の時間を研究計画書を見直すことに費やしました。

大学院に入学してから1年たった今、振り返ってみると、入学前の時間があるうちに大学院で研究に専念できるよう"基礎力"を磨いておくべきだと感じています。


基礎力とは?

私が考える基礎力は、例えば以下の5つが挙げられます。

  1. 統計学・計量経済学・機械学習の諸理論の理解

  2. 上記の理解に必要な基本的な数学の理解(確率、行列等)

  3. R, Pythonなどのプログラミングによる実装

  4. 論文を読み・書き・発表できる英語力

  5. 科学哲学やリサーチデザインに関する基本的な理解

注:研究分野によって違いがあります。経営学を学ぶ院生の一例です。


統計学のおすすめ書籍

1. 完全独習 統計学入門

統計学を全く学んだことがない方に最もおすすめなのがこちらです。某コンサルティングファームでも新人のおすすめ本の1つになっています。

この本は、極めて平易な言葉で、かつ高度な数学を使わずに、統計学の根本的な考え方が分かるように記載されています。

1点、注意すべきこととしては、この本で学べるのは主に検定、区間推定ですので、回帰分析を学びたい場合は別の書籍で補う必要があります。

マンガでわかる統計学といった本も売られていますが、統計学を学ぶ1冊目としては、本質を平易な言葉で理解できるという点でこちらをおすすめします。


2. Rによる計量政治学

経営学分野の定量研究をある程度読めるようになることが目的であれば、この本がおすすめです。

計量政治学とあるように、政治学が分析テーマになっていますが、経営学徒でも問題なく読むことができます。

この本の優れているポイントは、

  1. データ分析のみならずリサーチデザインに触れられている(第1~3章)

  2. 統計学を学びながらRを習得できる

  3. ほとんど数式が用いられておらず、感覚的な理解に重点が置かれている

  4. 完全独習 統計学で扱われていない回帰分析・ロジスティック回帰分析を学ぶことができる

この本をじっくりと、何度も繰り返し読むことで、統計学にかなり詳しくなることができると思います。

また、ここまで理解ができていれば、入学後の統計学関連の授業で出題される課題については、多くの場合対応できるでしょう。


3. 心理統計学の基礎 (有斐閣アルマ)

高校レベルの数学が必要になりますが、統計学の理論的な背景を理解したい方におすすめなのがこちらの本です。

この本では、推定、検定、回帰分析に加えて、因子分析や共分散構造分析といった特にマーケティング分野で用いられる分析手法が分かりやすく説明されています。

初めに手法の概要を知った上で、どのような数学的な背景があるのかを理解するために読む、という使い方がおすすめです。1冊目ではなく、3~4冊目に読む、というイメージです。


4. 統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)

通称「赤本」です。公認会計士の統計学の試験ではこちらの本をマスターできれば良いらしいです。

数学的な背景まで説明されていますので、こちらも1冊目ではなく、3~4冊目に読む、というイメージです。

1冊目に頭から読むと挫折をしてしまう人が多いと思いますが、一通り統計学を学んでから読むと、端的な説明で大変分かりやすく感じると思います。

「一通り統計学を学んで、論文の統計解析パートは何となく読めるようになったけど、理論的な背景をきちんと理解したい」という方におすすめです。


5. データ解析のための統計モデリング入門――一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC (確率と情報の科学)

通称「緑本」です。

論文を読んでいると一般化線形モデルの理解が求められることがあったため、購入しました。

こちらは非常に有名な書籍ですが、その前評判通り、大変分かりやすく説明されています。

こちらも3~4冊目に、必要であれば是非読んでいただきたいです。


6. 完全独習 ベイズ統計学入門

1.〜4.のいわゆる統計学は実はネイマン・ピアソン統計学と呼ばれています。
もう1つ統計学があり、それがこのベイズ統計学です。

5.で紹介したデータ解析のための統計モデリング入門――一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMCでも、一部ベイズ統計学が解説されていますが、ベイズ統計学にフォーカスして、解説をしているのがこちらの本です。

1.で紹介した完全独習 統計学と同じ著者の本で、1.と同様に極めて平易な言葉で、最低限の数学でベイズ統計学の本質を掴むことができます。

こちらを読んだ上で、ベイズ統計学の本・論文を読んでいくのがおすすめです。


おわりに

社会人をしながら大学院に1年間通ってみて、論文を読む、研究する上では、基本的な統計学を正しく理解をしていることが重要だと痛感しました。

これから大学院に通うことを考えている方は、是非時間のあるうちに統計学の勉強を始めてみてください。

今後、計量経済学やプログラミング、英語、リサーチデザインのおすすめ書籍も紹介していきたいと思います。


どこでも勉強できるKindleは社会人におすすめです!

おわり

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