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「負けてもいいが絶対に逃げるな!」息子と向き合う時間

スマッシュブラザーズというゲームを皆さんご存知ですか?と聞いている私の方が知らないのではと思うほど有名なswitchのソフト。
私はほとんどゲームをしないのだが、子供たちに誘われると一緒にやる。
娘とはマリオカート、息子とはスマッシュブラザーズ。
当然だが子供たちの方が上手である。
練習量が違う。

「パパ、寝る前にスマブラ1回勝負しよう」
在宅勤務だった私を誘う息子。

5対5の団体戦ルールで勝負。
私はクッパやドンキーコングなど重量系で一発が強そうなキャラクターを選び、ガンガン最前線で戦っていく。
しょうがない、必殺技を研究したりテクニックを磨いたりしていないから。
ストリートファイター2では波動拳や昇竜拳はコマンドが難しく出せなかったのでエドモンド本田でとりあえず張手、という手法とそんなに変わっていない。

しかしながらこの作戦だとたまーに上手くハマることがある。
1人目クッパがアイテムの恩恵もあり大無双、3人抜きを達成。

息子の機嫌が悪くなる。

2人目ドンキーも1人抜きをし4対1、私の勝利間近。

その時、息子のキャラがわざとステージから落下し、私が勝った。

「なんで自分で落ちたの?」
「どうせこのままやっても負けるだけだし」

はい、説教タイム。
いったんゲームを止める。

お互い正座。

「負けそうになったらこういうことするの?」
「だってどうせ負けるから時間の無駄じゃん」
「サッカー通っているよね。5対0で負けそうになったらどうするの?」
「適当にやる」
「分かった、それならもうサッカーやらなくていい」

黙る息子。

何を言ってくるのか待ってみる。
私はじっと彼の目を見る。
彼の目には涙が浮かんでいるがキョロキョロ目が動いている。
身体もそわそわしている。

「しゃべるまで待つけど、その間、目を反らすな、身体もじっとしなさい」

私が質問し続け、彼の言葉を引き出すことばかりやっていた。
時間は有限、なかなか予定がありじっと待てる時間がない。

このような諭し方は初めてだった。

「目」

目を反らすと注意する。
注意すると再び目を合わす息子。

息子よ、今日はとことん付き合うぞ。

最初は5分くらいでそわそわしながらごめんなさい的なことを言うかな、と思っていた。
しかし、目を反らしたり身体がゆらゆらすることがあり、注意することは何度かあったが、その都度態勢を直し元に戻る。

私も目を反らすことが出来ないので時間を見ることが出来ない。
体感時間20分は経っただろう。
足の痺れが徐々に来ている。
もうそろそろ言ってくれないかな、という気にちょっとなってきた私。

いかんいかん、情けない。

息子は涙を時より流し辛そうな目だが決して私から反らしていない。


「あのさ」

何のきっかけや合図があったわけではなく、いきなり息子が発声した。
目を合わせ続けていたが、いきなりすぎてびっくりした。

「あのさ、サッカーで負けそうになって適当にやったら1人分他のみんなが頑張らないといけなくなるのでダメだと思った」
「そっか、さっきは何で適当にやるって言ったの?」
「さっきは負けてイラついていたから間違えた」

息子の目には涙が溢れている。

「そうか、パパが伝えたいことはこれだけ。負けてもいい、だけど逃げるな、ということ。上手くいくこともあるし失敗したり間違えることもあるが、間違えたら謝ればいいし、失敗したら次やり方変えたらいい。でも、間違えをごまかしたりウソついたり失敗を隠したりする、これを逃げる、という。逃げるな、ということ。どう分かった?」
「うん、負けてもいいけど逃げるなということ分かった」
「最後に一つ、この話の最初からずっと姿勢を正し、目を反らさなかったよね。逃げなかった。逃げずにやり切れる人間だった。本当にすごいと思う」

心の底からの私のことば、息子の涙も相まって私も涙がこぼれ落ちそうだった。

息子とハグをする。
私の胸でワンワン泣く。

こうやって一緒に成長していこう。

最後にもう一度スマブラをやる。

コテンパンにやられる私。
わざと負けた?
いや、本気でやったよ。
でもいいストーリー。

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