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「人のせいにして生きようとするな」熱いサッカーコーチの話

日曜日。
朝7時に息子のサッカーの試合の為、家を出る。
1時間程度かかる場所が会場。

早いし遠い。

愚痴っていてもしょうがない。
8時に会場到着。
8チームでのトーナメント戦が行われるとのこと。

初戦、先取点を決めるも追いつかれ逆転、3点目を入れられもう駄目かと思ったら1点入れ押せ押せムード。
しかし追いつくことが出来ずに3-2で敗戦。
悔しい。
息子が点に絡んだわけではないが結構見ていて面白い。
1回戦敗退なので終わるかと思ったら逆トーナメントが開始。

2試合目、一進一退の攻防だったが0-0で終了。
PK戦となった。
PKになった途端、コーチに5人くらいの子供が手を挙げて主張している。
「俺が蹴る」ということらしい。
その他8人くらいの子供たち(私の息子含む)は後ろの方にいる。

子供のサッカーの試合でPKを見るのは私は初めて。
プロの試合は5人で勝敗が決まるのだが、どうやら今回は3人勝負。

最初のキッカーと相手キーパーが出てくる。

「ピッ」

審判が合図する。
シュートが決まる。
あんな近い距離から思い切って蹴られたらキーパー止めれなくない?と思うくらいであったが息子のチームが1点決める。

相手チームの最初のキッカーは力が入り過ぎ枠の外へ。
息子のチームは次のキッカーも決め、相手チームの2番手のキック。

女の子が出てきた。
確かに試合中、女の子が1人だけ相手チームにいるのは確認していた。
その女の子がこの場面でキッカーとして出てくるとは。

この場面、ゴールを決めれなければ負けが決定するという非常に重要な場面。

双方のチームメンバーが応援している。

「〇〇、がんばれー止めろー」
息子のチームがキーパーを応援する。

「〇〇、頑張れー決めろー」
相手チームがキッカーの女の子を応援する。

「ピッ」
審判の合図。

シュートをしたボールはキーパーの真正面へ。
息子のチームの勝利に終わる。

喜んでいる息子のチーム。

なぜかそちらよりも負けた女の子のチームに目が行く私。
「俺が先蹴ればよかったのに」
たぶん3番目のキッカーだろう。
「負けたーめっちゃムカつく」
大きな声で叫ぶ男の子。

キッカーの女の子はうつむきながらチームメンバーの元へ歩いていく。

小学2年生である。
皆、感情を制御することは出来ないので残酷である。

すると1人の男の子が女の子のもとへ。
ギュッとハグをした。
たぶん泣いている女の子。
女の子とハグしている男の子の周りに3人くらい男の子がさらに集まり皆でハグをしている。

何をしゃべっているのか声は聞こえない。
でもこのハグは女の子とチームを大きく成長させる行為だなと感動しながら見ている40代のおじさん。

勝ったチームも負けたチームも整列をしてそれぞれのベンチへ。
勝った息子のチームは皆喜びながら戻って来る。
1試合目の負けと打って変わり、皆イキイキした表情。

そりゃそうだよな。
「勝つ」というこの一瞬の為に多大な時間をかけ苦しい練習をするのだから。

一方負けたチーム。
こちらがどのようなフィードバックをするか気になる私。

相手チーム側にこっそり移動する私。

女の子、まだ泣いている。

「みんな悔しいか?本当に悔しいか。〇〇(女の子)は泣くくらい悔しいんだけど他のみんなは悔しいのか?」

相手チームのコーチの声が聞こえる。

「みんな勝ちたかっただろ。〇〇(女の子)と●●(たぶん1人目のキッカー)はゴール決めれなかったけど他のみんなも自分が悔しい思いになっているのか?あいつが外したので負けた、なんて思っている奴いないだろうな。人のせいにして生きようとするな。自分が先に点を取っていればPKにならなかっただろ。自分の事だと思ってプレーしろ、いいなわかったか」

30代前半だと思う相手チームのコーチの言葉、荒々しかったが私の心には刺さった。
子供達はすぐには分からないかもしれない。

しかし私は確信した。
このコーチのもとで練習した子たちは10年後社会人として成功できるな、と。


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