須藤亮(anna magazine/container 編集長)

須藤亮 WebメディアContainer/anna magazine編集長。制作会社M…

須藤亮(anna magazine/container 編集長)

須藤亮 WebメディアContainer/anna magazine編集長。制作会社Mo-Greenで広告制作、企業ブランディングなどに関わる傍ら、さまざまなメディアを運営し独自の視点で日常を再編集し続けている。container-web.jp mo-green.net

マガジン

  • anna magazine取材日記

    旅とビーチを愛する女の子のためのカルチャー誌”anna magazine”のリアルなロードトリップ取材日記を公開。

  • 小さな会社のメディアのつくり方

    旅とビーチを愛する女の子ためのカルチャー誌”anna magazine”とWebメディアContainerは、どんなプロセスで作られているのだろう。スモールカンパニーだからこそ勝負できる「メディアのつくり方」を解説!

最近の記事

僕たちの仕事論

“anna magazine”の姉弟誌LUKE MAGAZINE(@lukemagweb )第二号の発売が2021年7月29日(木)に決定しました! 今回は熱い気持ちで夢を追うサーティーエイジャーズたちに、自身の仕事について話を聞いた「Hello, Work! 僕たちの仕事論。」特集号です。 さまざまな業種で奮闘するサーティーエイジャーズたちに、何を考えて仕事と向き合っているのか? 何を目的に仕事をしているのか? 将来の夢などについてインタビューをしました。今回も前号に引き

    • 僕たちがいま、本当に考えていること。

      僕たちが運営しているWEBメディアcontainerから、電子書籍Luke magazineが発行されました!特集タイトルは「6MONTHS LATER アフターコロナの僕たちへ。」 今をひたむきに生きる21人の若者たちが、アフターコロナの世界に向けた希望を語ってくれています。 kindle版に続き、7月には紙版が発行され、オンラインイベントも開催予定です! 「コロナウイルスの流行によって、世界は大きく変化するだろう」。 ウイルスが流行の兆しを見せた初期から、そんな予

      • カリフォルニア・コネクション

        「これは何ですか?」 「マッシュポテトとグレイビーソース」 「これは何ですか?」 「セロリとピーナツバター」 その日の食卓は、深い謎に包まれていた。言いたいことは山ほどあったけど、知っている言葉といえば「これは何ですか?」だけ。仕方ない、ここはだんまりだ。僕は見たこともない食べ物がずらりと並べられたパズルのような食事の時間を、うまいことやり過ごす方法ばかり考えていた。 小さい頃住んでいた東海村には、外国人の家族が住んでいる小さな地区があって、僕らはみんな「外人住宅」と呼

        • リノリウムの床、アメリカの夜。

          ロサンゼルスからデンバーを目指していた。冬のコロラドを選んだのは、マイナーな地方都市がクールだと思っていたから。 とにかく急ぎ足だった。旅におけるあらゆる予定には、やるべきタイミングというものが存在する。物理的にも、気持ち的にも。それなのに旅の始まりの数日間を、決定的にぼんやりと過ごしていたのだった。 夜までレンタカーを走らせて、見たことのあるチェーンホテルの看板を探す。プレスコットは、そんな感じで偶然立ち寄った街だった。 アリゾナ特有のひんやりとした冬の空気の中で、夕

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        • anna magazine取材日記
          1本
        • 小さな会社のメディアのつくり方
          6本

        記事

          情熱の行方。

          ここ数日、運営しているWebメディアの企画で、ひとつのテーマでインタビューを続けている。取材対象は30歳前後の「今の自分ができることに真っ直ぐ向き合い、ひたむきに日々を生きている」あらゆるジャンルの社会人だ。強い信念を持って仕事に向き合っている彼らに、この難しい状況においてどんな価値観の変化があったのか(あるいはなかったのか)、率直に聞いてみたかったのだ。 僕らは彼らのことを”Thirty-agers”と呼んでいる。大きなテーマとして「30歳」という年齢を選んだのは、それが

          I left my heart in USA.

          「何かすごいことが起きそうだ」というのはロードトリップを目前にした人に特有の誇大妄想でしかなくて、実際は旅の最中、ほとんど何も起こらない。せっかく特別な旅をしているのだからと、そこにある朽ち果てた看板や廃屋、どんよりした雲、あるいは見慣れたワイパーの動きにさえ無理にでもなにか意味を見出そうとしてみるけれど、たいていの場合、とりたてて意味はない。 走って、降りて、写真をとって、ごはんを食べて、また乗り込んで、走る。適当なモーテルを見つけて、眠って、起きて、乗り込んで、また走る

          追憶。ラジオのじかん。

          電話が鳴る。 やれんのか、おい! やりますよ。もちろん。飛龍革命だ! 相手は泣く子も黙るラジオ界のビッグ・ボス、FM yokohama。僕の青春のラジオ局だ。相手にとって不足なし。見とけよ、マルコ。カッコイイとは、こういうことさ。 茨城の小さな村で育った10代の僕が一番夢中になったラジオ局がFM yokohamaだった。「ジョイフル山新」で手に入れた巨大なアンテナを、母親に見つからないように裏庭の屋根に設置。横浜に向けて(注:自分調べ)回転させたら、レコパルじゃなくて、ス

          意味はなくても、意思は伝わる。

          どうしても、というわけじゃないけれど、アメリカで中華料理を食べてフォーチュン・クッキーがなかったら、ちょっと切なくなる。 クッキーをバリバリと割って、中から紙を取り出し、おみくじに書かれた文字をちらりと見る。ちなみに僕は、クッキーも食べる。ひと口だけ。それからコップに残った青島ビールを飲みほす。なんだか意味のわからない言葉の「余白」は、適当に妄想で埋めておくことにする。この場合、言葉がシンプルだったり、文法がいい加減だったり、とにかく意味がわからないほど、ありがたみが増すと

          意味はなくても、意思は伝わる。

          なんでもいい、の罠。

          ロケの弁当を決める時、「なんでもいい」。今夜のDVDを選ぶ時、「どれでもいい」。僕が筋トレについて熱く語る時、「どうでもいい」。 弁当を食べる。「オーガニックじゃないのね」。DVDを見る。「ディカプリオじゃないのね」。筋トレのルーティンを終える。「どうでもいい」 「なんでもいい」は、たいていの場合、本当は「なんでもよくない」のだ。 そもそも生きることは、選択の連続だ。「ナポリタン」か「ミートソース」か。「デルタ」なのか「シンガポールエアライン」なのか。「サミット」なのか

          Remember my name!

          「ニューヨークが好き」と無邪気に言えるのは、特別な才能のひとつだと思う。 ニューヨークは、スケールが大きいようで、実際のところ驚くほどミニマムな世界。だから、この街を楽しむためには、限られた時間の中とスペースの中で、全力で自分を解放できる才能が必要なんだ。 「あんたたちは才能を夢見てる。でも名声への道は、苦痛と汗との長く厳しい道よ、いいわね?」 80年代のテレビドラマ「Fame」の冒頭のナレーション。ニューヨークのアートスクールを舞台に、表現者としての成功を夢見る若者た

          おしゃれはガマン。

          ビーチサンダルと水着。 スーツケースの中に入っていても、ほとんど使われることがないものだ。 だって「旅先でプール」というのはどんな時でも驚くほど魅力的に見えるのだから、仕方ない。カリフォルニア特有のクリアな光が乱反射するまぶしいプールサイドで、のんびりと本を読む。できればペーパーバッグがいい。どれだけ便利だとしても、kindleじゃ気分は出ない。小難しい本よりも、スティーブン・キングあたりのライトサスペンス系がベストチョイス。幸せな時間に漂うただならぬ秘密の匂い。それだけで

          ジェットコースターロマンス。

          「ロードトリップの一本道」にはロマンがある。けれど「ジョギングの一本道」には、リアリティしかない。 快適なジョギングコースを探すのは意外と大変だ。「距離がちょうどいい」とか「信号や交通量が少ない」とか、走りやすさに直結する要素はもちろんだけど、僕にとって一番重要なのが「適切なタイミングで、適切に風景が切り替わる」かどうか。どんなにキレイな風景だとしても「ずっと先まで見えている一本道」を走るのは、実は心理的にかなりタフなのだ。走れど走れど一向に近づかない一本道の「見えない未来

          ジェットコースターロマンス。

          また来るのを待ってるんだ。

          あいつは旅に出たよ。今日の夕方。 -え? ずいぶん急だね。なんで、なんで? 伝言だ。「短い間だったけど、楽しかった。ずぶ濡れになったり、すり傷が絶えなかったけど、充実した毎日だった。ありがとう」。 -どこにいったの? さあ、しらない。「あとはよろしく」って言われただけだよ。 -この一ヶ月くらいぐったり下ばかり向いてたから、心配してた。けど何も言わずにいなくなるなんて、どうなの、人として。 そりゃあ顔だけ見たらいつも笑顔でいるように見えたかもしれないけれど、誰もが「

          また来るのを待ってるんだ。

          クリスティーナ・リッチとクロベエ

          カウンターで足のサイズを申告する。あらゆる靴の中で最も履きこなすのが難しいデザインのシューズが手渡される。もちろん、選択権はない。履き替えたら、木製の棚にずらりと並べられたボールの中から好みの重さとサイズを選択する。「13ポンド、穴は大き目」が基本だけれど、久しぶりだったので2種類選んだ。指定のレーンに座る。ブラウン管のモニターと、宇宙船みたいなデザインのボールラック。なかなかいい感じだ。 隣に陣取るロマンスグレーのベテラン勢は、2人ともマイボール。右手にはめたグローブが「

          クリスティーナ・リッチとクロベエ

          世界一うまいピザ。

          「世界一うまいピザ、食べに行こうぜ」 カメラマンのケンは、そういって僕らをサンフランシスコの小さなピザスタンドに連れて行ってくれた。ダウンタウン、ノースビーチにほど近いその店は、ランチタイムが終わったばかりだというのにまだ行列ができていて、かなりの人気店みたいだった。 「おい、そこのお前。一見はお断りだぜ?」って感じのタランティーノ映画の殺し屋みたいなピザ職人、オールドスクールなテントと赤いタイルのローカル感たっぷりの店構え。 「そうそう、ピザといえばスライスで、ミソス

          好奇心と情熱のあいだ。

          久しぶりにホンダの「シティ」を見た。黒のボディで、しかも憧れの「カブリオレ」だ。あらゆるパーツが直線だけで構成されたような無骨なデザインで、「ブロロロン!」と大きな音を立てて倉庫街を走り抜けるその姿は、やっぱりクールだった。運転していたのはグレーのジャケットに細めのネクタイ、銀縁の眼鏡で仕上げた森本レオみたいなエンスー風。所属、壮年の部。うんうん、上々の組み合わせ。コーディネートはばっちりだった。僕は好きなクルマを発見すると、必ず運転席をチェックすることにしている。だって「バ