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選択肢とリスクリワードとキャリア

2020年5月1日

朝7時に起きてダウをはじめ、世界中の指標をチェックする。
昨日の夜、遅くまで友人達とZoomで色々話していたので頭がとても重たい。
今月は早々下げている。これはノートレか。デイトレードは、はっきり言って運の要素が強い。
いわゆる投資ではなく投機に当たる行為だ。デイトレのゲームを支配しているのは人々の思惑である。短い時間軸の中で、人々の思惑により株価が乱高下する。そのボラティリティ(価格の変動幅)から利ざやを稼ぐ「投機」行為である。

一方、バリュー投資は会社の財務諸表等、ファンダメンタルズを見て、自分の資産をここぞという会社の株に長期的に投資する事で利益を得る「投資」行為だ。自分も、いくつかそう言った銘柄を持っているが、数千万円くらい入れないと、資金効率は極めて悪い。

そこで僕は一定の資金は長期投資しつつ、それを担保にデイトレードをしている。
仕事のない日は、どんなに前日遅くても平日なら朝7時には起きて、いそいそとデイトレードの準備を始めるのである。勿論準備に2時間では全く足りない。トレード前日が勝負である。

普段、天気図は頭に毎日入れているが、それと同様、世界中のニュースや指標の終値は頭に入れる必要がある。

指数を一通り見たら、続いて自分の監視している銘柄を150銘柄ほど巡回する。
今日は板を見ても、自分の得意な形になるものは少なそうだ。
得意な形というのは過去の自分の取引の結果の累計プロフィットファクターから考える、期待値の高い株価チャートの形の事だ。


今日のようにGAP UPする日は正直取引がしんどい。株は空いた窓を閉める性質がある。前日の終値からGAPをつけてUPしたら、大抵の場合そのGAPを埋めるように価格は下がる。僕はGAP DOWNした銘柄がちょこちょこ窓埋めするために上げる僅かな利ざやを稼ぐ方が得意だ。大きくは勝てないが、負けを最小にすることこそ長く相場にい続ける方法だ。僕はプロスペクト理論そのままの人間だ。だから損をするのを極端に嫌う。だから専業には絶対なれない。

板の状況が芳しくないので、ノートレードでもいいかなと思いつつ、今日の注目、Youtuber関連銘柄のUUUMだけはちょっと触りたいと思った。一昨日、吉本興業との提携の発表があってから昨日はSTOP高となっていた。昨日に引き続き今日も中心的銘柄なのは間違いない。

今日という時間軸で見ると、リスクリワードは勿論微妙で、上はSTOP高、下はSTOP安。なんせ寄付を見ていても明らかに買いが大きい。これはもうSTOP高に張り付く。寄成で入ってS高で掴むメリットは何一つない。
一日信用取引は手数料が無い分、1日で完結させなければならないので1日の中で上がる事が絶対条件だ。
その上限値で掴んだらなんの意味もない。

でも、今日の地合いは下げだ。恐らく引っ張られてどこかで剥がれる。

そのあと同意づいて上がった波に乗りたいと思う。もしそのまま下げトレンドだったらそれは下がるという事でスルー。でも、今回の確固たるIRに裏打ちされた上昇は何回かSTOP高に張り付くはずだ。だいたいこの手の上げは2日間くらい続いたりする。

そんな感じで本業の実務が無い日は日銭を稼いで生きております。

さて、では本題に。

キャリアの話

そんなこんなで、時間を過ごしていると、パイロットを目指している後輩の学生からLINEが。

「航空業界、目指していいんですかね、今後が読めない中で。」

要約するとそんな内容の事が書いてある。

結論から書けば、将来何らかの別の仕事に就いたとして「当時コロナで大変だったのでパイロットは諦めました。でも今の仕事に誇りがあり、幸せです」と胸を張って言えるなら、全然良い選択肢だと思う。

どこまで長引くか分からないコロナ禍に、学生の唯一の資産である人生の残り時間を投資するには時間軸の観点で、どこでペイできるか分からない。運がよければ今年度中には社会は通常運転に戻るが、ワクチンが出来るまで1年以上、と言われている中で、その先行きは怪しい。

僕は人生は運だと思う。自分を引き上げてくれる、または支えてくれる人との出会いは常に偶然だし、生まれ育った環境や時代も含めて、結構、運の要素が強いと思う。

特に長い目で見て人生がアップトレンドかどうかなんて生まれた時代によるし、バブルの原因が人口爆発と高度経済成長だとすれば、今の日本の人口ピラミッドからは、せいぜい良くて社会トレンドは横這いである。

一方、運はGoodとBadが50:50という訳ではない、非対称な面を持っている。数学者には怒られるが、人生が有限なのでコインは無限回投げれないため、きっちり裏表の確率は半分にはならない。
やった人なら分かると思うがルーレットやブラックジャックでも揺らぎがある。
その運のGood側が51:49で上回った所で勝ちを掴めるかどうかは努力に寄るところによると思う。

その努力は人生なら勉強だったり身体の鍛錬だったりするのだが、押し並べて、良い選択肢を反射的に選べるかどうか、もっといえば期待値の高い方に時間という資産を投入出来るかどうかにかかっている。

人生の目的というのは自分の時間という資産を

・金融資本
・人的資本
・社会的資本

これら3つに割り振って、それぞれのパラメータを等しく高めることによって幸せ度合いを高める事が資本主義社会というゲームのゴールだと思っている。

学生は時間の資本しか基本的にはない。東大や有名大学であれば社会的資本も多少はあるが、基本的には時間と人間性で勝負することになる。

期待値で勝負

人生もデイトレと同じく、期待値計算が大事だ。
僕より18歳年上の従兄弟はラスベガスで出禁になるくらいのギャンブラーで、ブラックジャックだけでも飯が食っていけるほどだ。

僕がまだ中学生の昔から、ブラックジャックの確率表を見せられて

「期待値が高い方に常にベットしていけば運が一瞬こっちに傾く事がある。その時を見極めて大きく張る。大勝ちして運がまた負けに傾く前に降りる。いつでも賭けから降りるのは親vs子の戦いにおいて確率論を超えて勝てる唯一の権利だ。」

という話を口酸っぱく聞かされていた。
ポイントは、勝ち逃げしろ、という点ではなく期待値が高いと思った時に大きく張るという点だ。これがカジノで出来る「子」の努力。

後輩の場合、訓練生になるための試験を受ける事を躊躇っている。期待値が低いと考えているようだ。

僕もこれに関して、大学4年生の時に期待値の事を考えた。

大学四年生の僕はパイロットの自社養成試験には落ちたものの、東証一部企業の内定を頂いていた。

その後ろ盾もあり僕は期待値の比較をする権利を得た。

パイロットの試験を受けるためには身体検査の合否結果通知あたりの10月で内定先の内定式となるので、それを辞退する必要がある。よって内定の後ろ盾のもと、ノープレッシャーで受けれるのは身体検査までだ。

もし身体検査に落ちて普通に就職したら年収600万円を得る1年となるだろう。その先のキャリアはその後、卒業までの半年間で考えれば良い。

プレッシャーが最も高いのは、身体検査も通って最終面接まで進んだ時だ。願っても無い嬉しい事だけれども、リスクは大きい。

僕はパイロットの試験は1回きりと決めていたので、最終試験で落ちたとしてもニートのまま卒業してしまうつもりだった。
それでも学生の唯一の資産である時間をまた最低半年〜1年投資し、実家暮らしをしながら再び就職活動をしなくてはならない。これが一番コスパが悪い。落ちるなら身体検査で落として貰いたいと本気で思っていた。最終面接で落ちるのが最悪のシナリオだ。

幸いなことに、就活中、3社内定をもらって最終面接も2社呼ばれ、結局最も時価総額の大きい会社の内定を頂くことにしていたので、正直第二新卒的な就活でも何とか出来ると思っていた節はある。

一方、仮にパイロット訓練生になれたら、そこからまた2年半の時間を投資してその後、会社に入って2年ほどで1000万以上の年収を得ることになるだろうから5年ぐらいでやっと金融資本のキャッシュフローができる。

資本主義で生きている限り、お金の話を考えない事は現実から目を背ける事だ。
やりがいだけで生きていけるほど世の中そんなに甘く無いのは、卒業した先輩方の顔つきを見ていれば明らかだった。稼いでいる人はやはり自信が漲っていて、カッコよかった。やり甲斐を持って働いてる先輩は沢山いるが、僕の物差しには自信の漲っているかどうかが絶対で、そこにはやはり社会的評価が大きかった。

もし新卒で社会人になっていたらその5年間で3000万円を得ているかもしれないが、その後差は年間400万円以上のペースで縮まるのでパイロットになれば10年程で十分ペイできるどころか、自分のやりたい仕事をしている自分というのは、考えただけで自信が溢れていると思った。心からそうなりたいと思った。

こういったシナリオの場合分けはとても重要だ。
僕は楽観的だが、最悪のシナリオの最終面接で勝てる期待値を測る必要があると考えていた。

面接で他の受験者より勝る期待値はいかほどあるのか。

そのために某フライトアカデミーというパイロット試験の予備校の様な所に体験入学をした事があった。目的は他の受験者のレベルを見る為だった。パイロットの訓練生になるための試験も最初は学力勝負になる。あとは持っているTOEIC等の資格なんかが客観的な指標になると思う。

学長さんに早々から

「みなさんTOEICはどのくらいのレベルですか?」
「過去問見せてください。」

と質問したところ、「まあ上位を狙うなら730点はTOEICで欲しいですね、過去問のコピーはネットにもあるのですが回答まで含めたものを3年分はお渡ししますよ。正式に入学したら全年分お見せ出来ます」

と言ってくれた。
一見厳しい受験になるかと思ったがみんなそんなに英語に力を入れてる訳では無さそうだ。
当時の僕は苦手なTOEICも一応曲がりなりに800点後半はあったし、過去問もさらっと見ただけで物理、数学、英語は理系の自分にとっては回答までの道筋が見えない問題は何一つ無い。文系の人も受けるから当然といえば当然なのだが。

少なくとも座学はセンター試験レベルだ。客観的指標だけ見れば、相対的に減点される所は履歴書上は無い。

勝負は面接だと直感した。

身体検査も重要だが、そこで落とされる分にはセーフティネットとしての就職があるので、ある意味無駄に緊張すべき場面では無い。

他の予備校生も少し話たが爽やかで人間は良さそうだった。僕が面接官なら第一印象はみんな良いだろう。エアラインの面接はどういうところが評価されるのか。この時点では期待値は五分五分どころか、他の人は何年も受験対策をしている分、分が悪い。

評価項目が分かれば、運は51:49でこちらに傾く。そこで大きく賭けることは間違った選択肢では無いはすだ。エアラインの面接の観点さえ分かれば、期待値を量れると考えた。

大きく張る

試験が進み、身体検査を空港で受けるついでに、あらゆる手段を尽くしてエアラインの人にOB訪問していた。

いろんな会社の見学をさせてもらった。5社くらい。なぜか各社の先輩がみんなヘビースモーカーだったので主にタバコルームだったのだけれども市井の会話を垣間見る事が出来た。

エアラインの人といえばキラキラ爽やかな人事の方々が、とてつもなくかっこいい企業紹介ムービーを流して合同説明会の最も良い場所でPRを繰り広げているイメージだったが、そのタバコルームの現場の人達というのは何とも泥臭く、僕はそんな感じが嫌いではなかった。こんなところに来れるのは大学生の特権だと思った。

そして面接官だったらどんな質問しますか?という質問に快くみんな答えてくれた。一番聞かれたのは

「パイロットになれなかったらどうする?」という質問だった。

僕の回答は「他に世界中を飛び回れる仕事をします。2年目の受験は金銭的に選択しません。なれなかった理由としっかり向き合って、これからの人生の糧にします。でも、現状パイロットよりかっこいいと思う仕事はありません。だから全力で準備してきました。」

といった内容を答えていた。

それに対してのOB達の回答は

「優等生の回答はいらないんだよね〜。一緒に飛べて楽しいやつがいいな。仕事出来るのは当たり前じゃん。」

と、自分の視座の低さを痛感すると共に、少し肩の荷が下りたというか、自然体でいけば良いんだという結論を持った。面接はどこまで言っても50:50だ。その日の面接官との相性次第。ということは相対的な減点が無い分、分は良いはずだ。そう思って僕は大きく張った。

生存者バイアス

と、ここまでは僕の生存者バイアスで、勝てば官軍、何を言っても正しいことになりかねない。僕の誤謬に足を掬われない事を念押ししておく。

でも、現実的に考え、シナリオを場合分けして、どういう理由でどの選択をし、そして最悪の場合は自分で責任を取る姿勢というのは、投資だけでなく、どんな物事にも共通する。これは人生の真実だ。生存者バイアスではない。

僕が採用された理由があるとすれば常に最悪の場合を具体的に場合分け出来るところかもしれない。

詳しくはnoteの僕の随筆を読んで貰えれば大変嬉しく思う。

結語

一応この記事はマネーリテラシーのマガジンに入れるのでそれっぽい話をする。

人生という相場ほど読めないものはない。指標もなければテクニカルな分析もない。でも、共通することは多い。

特に僕が好きな相場の格言は「どんな時代でもポジションを取れ」で、株式投資では、リーマンショックや東日本大震災であってもポジションを取った人とそうで無い人では倍以上の成果が開く。

時折、コロナショックで「あー株やってなくて良かった」という人と会うが、結局登り相場になっても「まだまだ2番底がくる」と言っているうちに日経2万円代回復。株価は高くなり、「やっぱり乗ろう」と言っても時すでに遅し。

やはり、どんなにドン底に見えてもポジションを取っている人の当事者意識と経験値が株価みたいなもので、有限な時間を何かに投資する(=ポジションを取る)という事なしにリワードは何もない。

後輩も内定を持っており、同じような状況ながら、自分の時とは地合いが異なるので、こうしろ、というのは心苦しいので、「自分も恐れはあったけど迷いは無かった。でも最悪の事態まで考える事は悪い事では無いし、それに納得出来るならポジションを取るべき。リワードは幾らでも話せるし受験のサポートはする。」と伝えた。ずるい先輩だなと思いつつ、受かったら盛大に祝おうと思う。

時間はお金と違って不可逆なので年々無くなっていく利子のない現金預金みたいなものだ。使わないなら死に向かって目減りする。リスクリワード的には上は青天井、下はゼロ。だったら、何か行動してみよう、と。

迷ったら時間をこれらのどれかに注ぐ。

・金融資本
・人的資本
・社会的資本

この三つのうち一つでもあれば人は生きていける。ちなみに何かの本から得た知見だ。

所で、必ず損をする人がいるおかげで誰かが得をする相場と明らかに違うのは、人生はゼロサムゲームではないという事。

誰からも奪う事なく「三方よし」の生き方を選択する事が出来る。こんな時だからこそ、人に優しく接したいものだ。3つの自分の資本を高めるために、というより、誰かのために3つの資本を使ってみるのも良いかもしれない。

情けは人の為ならず。

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僕が普段の生活で教わったり学んだお金に関する教養です。 順次追加していきます。

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