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『ちむどんどん』終わりました

言いたいことはその都度だいたい書いてきたからサラっと‥‥にはならないか、やっぱりw

楽しかった半年間~! 令和のドラマだったなと思う。
私は朝ドラにノスタルジーは一切望まず、up to date な for us の作品を求めているので(突然のルー大柴w)、すごく見やすくノリやすかった。

私は「マッサン」に漂う抑圧的な空気が苦しかった人間で、羽原氏の脚本には苦手意識があったんですが、蓋をあけてみたら、「この手、離すなよ」の本懐を描いてくれたドラマだったと思います。
「関係性を切断しない」「つながるのをあきらめない」ってことです。

手を離したり、元からつながなかったりするのは、割とかんたんなんですよ。そのほうが楽なんですよ。つながるのはめんどくさいし、違う階層の人間はわかりあえないし、失敗は自己責任で、貧乏は指さされるものなんですよ。今ってそういう世の中じゃないですか。

でも、

「まず自分から好きになること」
「おまえは悪いことをしたが、悪い人間じゃない」
「私たちは同じ世界に生きてるんだから」
「関係ないなんて言うなよ。二度と言うな!」

っていうのが、ちむどんの世界なんです。

まくとぅそーけー、なんくるないさ。ただの楽観じゃない、「まくとぅそーけー」がついてる。まことがあれば。苦しくても、真面目にやればなんとかなるさってこと。沖縄はユートピアじゃないし、ビッグなビジネスで一攫千金をもくろめば失敗するんです。

‥‥っていう感じで、やりたいことはかなりハッキリしていたドラマだと思うのですが、びっくりするほど読み取ってもらえていなかったのは、朝ドラの文法とマナーから逸脱していたからなんでしょうね。

ちなみに私の好きな朝ドラはたいてい逸脱してる(と世間でいわれるやつ)なのでw

てか、暢子なんて、フォンターナで房子に「口ばっかりじゃないですか、私と勝負してください」と言ったころがピークで、あとは基本的にずっと良い子だったよね。エリー化するんじゃないかとひやひやするくらいでした。

「朝ドラヒロイン、良い子になりがち問題」は実はシリアスで、SNS時代、朝ドラのdisりって本当にひどいんで、役者を守るために、あまり我が強い子にできないんよ。まじで朝ドラヒロインやったあと病んだりアカウント閉じたりする役者いっぱいいるからな。好きになれない朝ドラでも、石を投げるのはほどほどにしてくださいね。役者が死ぬからね。

で、視聴者への忖度でヒロインが良い子になりがちな分、兄とか弟とかおじさんとかが風来坊になるんよねw

閑話休題。

従軍中、大陸で罪を犯したと悔いていた父・賢三(大森南朋)。
最終週でも、再び沖縄戦が語られる。

老いて足も悪い大里(草刈正雄)は、優子(仲間由紀恵)に懺悔に来たんですよね。防空壕だかで一緒になった優子の姉が末期の水を望んだとき、自分たちの分を惜しんで分けることができなかった、と。

最初から最後まで、「間違えた」と悔やむ人が描かれる。
間違える人にもそうせざるを得なかった理由がある‥‥。
もちろん、許さなければいけないわけではなく、許すかどうか、つながるかどうか、さしのべられた手をとるかどうか、すべては各人の選択なのだ。

仲間由紀恵の琉球舞踊と上白石萌歌の民謡すばらしかった、あと地味に中原中也の引用も好きでした。詩をあそこまでフィーチャーした朝ドラ珍しい

うちなんちゅも、ナイチャーも、沖縄2世も、貧乏人も資産家も、前科者も、店をつぶした人も、みんな同じ空の下。その先に、「うんめー」があり、「ちむどんどん」があるんですよ。大切な人たちとのつながりを感じ、美味しいものでみんなが笑顔になる、それが生きる喜びなんですよ。

最終回の中途半端な老けメイクと大家族コント笑った。このトンチキさがクセよw

「令和で全員異性婚して子どもがいるのかよ~」とは思ったけど、リアルじゃない老けメイク、そしてリアルじゃない高校時代の回想シーン(継ぎ当てのない制服とたくさんのおかず)、つまり最終回は、” 半分、夢 ” ということなんだと思います。

戦争で傷つけ傷つき身寄りを失くし、恋とか愛とかを楽しむ余裕もきっとなく、ただお互いしかない者同士が肩を寄せ合って夫婦になったのが優子と賢三だ。
その2人から4人の子が生まれ、手を離さず「まくとぅそーけー」で一生懸命生きた結果、最終回にはあれだけの笑顔がそろった。

最終回まで優子が生きてること、海の向こうのニライカナイから賢三の声が聞こえてくることには意味がある。すべての命への祝福と祈りなんです。

お上から言われる「共助」とか「家族の絆」には「ちょい待ち」ってなるけど、それは変わらないけれども、このドラマで見た人々のつながりは美しかった。


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