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なぜ今韓国なのか

韓流サードウェーブ

9誌。この数字は何か。

今年2018年夏のファッション誌で韓国の特集掲載をしているファッション誌・美容誌の数だ。(dマガジンでの検索数なのでもっと多いと思う)

「JJ9月号:40P韓国特集」「with9月号:最新韓国ビューティー」「Ray9月号:韓国っぽな#ハニルメイク、気になる」「mer9月号:オシャレ女子がハマる韓国コスメの魅力」「JELLY9月号:RedVelvetが着る最旬韓国ファッション」「CanCam7月号:かわいいを探しに韓国へ」「Seventeen7月号:3大テイストに進化中!韓国っぽNOW」「美的7月号:今史上最大のブームが来てます!韓国コスメがすごい事に!」「Scawaii6月号:韓国コスメさんぽ」


ティーン誌も、赤文字誌も、美容誌も至る所で韓国の特集・・・

音楽メディアluteの代表五十嵐さんは現在のこの状況を“韓流サードウェーブ”と定義した。「ヨン様」時代の元祖韓流ブームから「KARA」や「少女時代」が活躍した第2波に次ぐトレンドとして第3波が来ていると。

果たしてこれはブームなのだろうか。

そうは思わない。少なくとも2年前には韓国のブームが来ていた。ある雑誌の編集者の方といつまで韓国続くんですかねーと話していたのがちょうど2年前。

その当時から韓国はブームではなくトレンドとして定着したんだという話の結論になったのを今でも覚えている。

そう韓流サードウェーブは地続きなのだ。

では、何がそんなに韓国を魅了するのか。

歴史を紐解くと1997年の韓国の通貨危機にまで遡るのだけど、その話はクールコリアとクールジャパンの違いと含めて少し長くなりそうなのでまた別の機会にまとめて見たいと思う。

あえて一つ韓国の魅力を挙げるとしたら個人的にはイメージ戦略の巧さだと考えている。

K-POPに学ぶイメージ戦略

韓国は2009年に韓国コンテンツ振興院と共に韓国デザイン振興院という機関を設立。国策としてデザイナーの支援を実施しているのだ。

狙いは韓国ブランドのイメージの向上。

NETFLIXで配信されている「世界の”今”をダイジェスト」ではK-POPがなぜ世界的に人気なのかを分かりやすく解説しているが(これめちゃくちゃ面白いです!)、その中の一つにK-POPのイメージ戦略、ビジュアルアートなどMVの質がアメリカ以上に高いということを言及している。

僕の好きなRED VELVETもとにかくMVのレベルが高い。

ちなみにRED VELVETの「RED FLAVOR」はスウェーデン人作曲家のシーザー&ルイを起用。

スウェーデンPOPのオマージュとしABBAサウンドを取り入れているというのも世界を見ているという点で面白い。

話が逸れたが、実際に韓国に行ってみると本当にデザインが秀逸なお店が多い。

カフェは天井が高くてお洒落なカフェしか見当たらないし、上品なピンクを基調にした日本人にも人気のアロマキャンドルのお店Soohyangは今期ベーカリーをコンセプトにしたブランド展開を行なっている。まるで美術館のように販売よりもショールーミング化に力を入れたアパレルショップなども数多く存在する。

ただ単に“インスタ映え”を狙うというのではなく、しっかりとしたコンセプトを基にデザイン性が高いサービスを作っている。そこからイメージUPに繋げるというのが日本の女性の“かわいい”感性に響いているのは間違いないと思う。

K-POPでの韓国ブランドのイメージ向上。そして韓国国内でのデザイン性が高いショップや商品。ブランド作りのヒントは韓国に多くある。

渋谷、原宿から韓国へ

容姿としての“かわいい”も韓国が先行している。

韓国人っぽいメイクを「オルチャンメイク」と呼び、先述したようにオルチャンメイクやファッションの情報がメディアでこれでもかと紹介されているのは、実際数字が伸びるからだそうだ。

テクノロジーの発展によって“かわいい”もボーダレスなものになった。

過去、雑誌は渋谷や原宿などの街を中心に流行を生み、読者モデルが時代のアイコンになった。あの頃は主役が渋谷であり、原宿だったのだ。

その後ブログが生まれ、ブロガーが時代のアイコンとなった。関西発で発展したサービスなどブログが超えたのは街だった。あくまでテキストが主流のブログサービスにおいては日本各地で、今で言うインフルエンサーを生んだ。

現在はinstagramを中心に画像や映像で全世界とコミュニケーションが可能な時代だ。
日本人と似た顔立ちのアジアの中でも、韓国人のメイクやコスメを参考にしているのは、K-POPのイメージ戦略が寄与している部分は大きいと思う。

今の時代の“かわいい”を牽引するアイコン「taeri」

2018年7月現在instagramのフォロワー100万人を超える韓国モデルのtaeri。

彼女を初めて見つけたのはそれこそ2年前の2016年の事だ。

当時彼女は「h2ve」というECサイトのモデルをしており、フォロワーでこそ20万人程度だったが、日本の女の子が好きなオルチャンだと思った。

その後、フリュー株式会社のプリ機「PINK PINK MONSTER」のイメージモデルになったのは彼女が今の時代の“かわいい”を表現するアイコンだからに他ならない。

彼女の人気の理由は何か。

彼女の魅力はinstagramに凝縮されている。オルチャンな顔立ちに、韓国ブランド「chuu」を着た甘めなスタイル、私服のストリートスタイルなど、K-POPが音楽のジャンルMIXで世界的に人気になったように(「世界の”今”をダイジェスト」参照)、彼女はそのファッション性とビジュアルで人気を獲得した。

彼氏とのあどけないやりとりなど、完璧な中にも余白が見え隠れするのが今っぽい。

韓国に学ぶ

さて、では流行の韓国を眺めているだけでいいのだろうか。

僕は韓国が好きだし、ビジネス的に韓国を紹介したりする機会が多いのは確かだ。

ただやっぱり日本人なので、サッカーW杯で韓国がドイツに勝利した時もただただ悔しかった。同じアジア人として嬉しいなんて一切思わなかった。日本の注目度が減るじゃねーかと正直思った。

僕が韓国を紹介するのはコンテンツそのものの場合もあるけど、あくまで手法でありやり方だ。

韓国が世界に通用した方程式を紐解き、日本のサービスに応用する。
ブランディングを謙虚に学びながらも、日本も世界に通用するコンテンツを日本のままで作れるように、彼らの良いところをこれからも研究していこうと思う。

text:鈴木ヒロユキ

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