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店舗つき住居で飲食店を行うにあたっての、保健所とのやりとり

東京都武蔵野市のなりわい賃貸住宅hoccoにて、2024年3月中旬惣菜スタンドを開業予定です。
開業にあたって考えたことなどを書いていきます。

これから開業するお店は住居と店舗が一体になっており、普通の飲食店とは少し勝手が違うので、色々と保健所に確認を行いながら店づくりを進めました。

そのことを諸々記しておこうと思います。(2024年2月時点の東京都武蔵野市の保健所においてです。地域差あるようなので飲食店開業を考えている方で気になる部分がある場合は、対象の保健所へ確認された方が確実です。)
うちは特殊なパターンではありますが、飲食店を開業したい人の参考になればいいな…!


契約前

内覧時に管理会社に対して、店舗部分では店内飲食ができるお店を開きたい旨を伝えたところ「店内にお手洗いがないと店内での飲食はできないと聞いている」という回答をもらいました。

確かに私たちの前に入居していたお店を含め(3坪弱という狭さもあるとはいえ)、hoccoで店内飲食を行っていた物件はなかった。

「じゃあテイクアウトオンリーのお店にしようか…」と考えたが、どうもそれだと自分のテンションが上がらない。
やっぱりお客さんが目の前で飲食してくれる、もっとコミュニケーションを取れるお店がやりたいんだよね…と。

そこで、初めて保健所に相談。

すると店内のお手洗いなしで、住居のお手洗いと兼用で大丈夫とのこと。
まじか。管理会社の情報はなんだったのだ…?と思いつつ、嬉しい誤算にテンションがあがる。

しかし3坪で飲食店許可を取得するための設備を揃えて、かつ客席も作れるものなのか…?とまた別の心配事が増えました。

過去の料理通信の”小さくて強い店はどう作る?”特集やネットの情報で事例を集めてみたところ、同じ3坪程度か、それより小さいのに客席もしっかり取った上に人気店というお店を何軒か発見。

3坪でも店内飲食ができるお店を作れる…!という確信に、すごく嬉しくなりワクワクしたことを覚えています。

しかも実際に何軒か訪ねてみて実感しましたが、温度感が圧倒的に伝わりやすい。
お客さん同士で仲良くなったりということが起きやすい。
取捨選択を迫られるので店主の個性がダイレクトに表れる。
リスクも(大きい店よりは)小さめ。

なんか、いいこと結構多い気がする…!


契約後

飲食店許可を取得するには、店舗として利用する3坪の土間部分に全ての設備を置くことが必須だとわかりました。

加えて、仕事の幅を広げることを目的に、住居のダイニングキッチン部分で”そうざい製造業”の許可も取得できないかということも検討してみました。
(そうざい製造業の許可を取ると、通信販売や委託販売など、店舗以外での販売ができるようになります)

しかし、住居として使用している台所とそうざい製造のための厨房の併用は不可、とのことでした。
逆にいえばここでは住まず、かつ必要な設備を揃えればそうざい製造業の許可は取得できるとのこと。
この知見はまた別の場所で活かせたらなーと思います。


店舗厨房に必要な設備、何を選ぶか。

では土間部分で飲食店許可を取得することを目指そう、と思った時に再度必要な設備を洗い出しました。
ざっくりとなのですが以下の設備が必要になります。

・2槽シンク
・手洗い器
・必要に応じたサイズの冷凍冷蔵庫
・必要に応じたサイズの、扉のある食器食材保管場所
・厨房と客席を隔てたつくりであること

また、作業台や各種道具など、許可を取得するにあたって必要なわけではないが、店舗運営のために必要な設備もあります。


2槽シンク

客席のスペースやカウンターの造作を差し引くと、厨房の中は床面積2.4平米程度。

そのため作業台・シンクは一番狭い奥行きである450mmのもので揃えました。
シンクについては正直邪魔で、作業スペースを少しでも確保するために幅750mmのものを置こう、と最初検討していました。
が、保健所としては1000mm以上を推奨していて、小さくても900mmの幅を推奨したい、とのこと。
厨房がどうしても狭いという場合に750mmで許可を出すこともあるが、実際には小さすぎて実物を見てから後悔する方も多い、という話を伺いました。

これは実際に見てみないとわからないな、と考えたためテンポスに行って大きさを確認。
うん、確かに小さい。洗い物するには明らかに不便そう…。

そう思ったので、シンクは900mm幅のものにすることに。
営業中は極力シンクを使わずに上を塞いで、作業台として使うことにしようと思います。

シンクの水栓については1槽1水栓(=2槽シンクには2つ水栓が必要)が基本と聞いていたけど、うちの地域の保健所では店舗が狭小の場合などにおいては1つでもOKしているとのことでした。
水栓が2つも出てると作業台として使うにも邪魔なので、1つでOKをもらえるのは助かりました。


手洗い器

正直、狭小店において最も邪魔な設備。
これについては他店でいいアイディアをいただいたのでそれを実行しようと思っていますが、noteには書けないので気になる方は直接お聞きください…笑

テンポスで中古のL5手洗い器を買い、水栓のハンドルだけ長いものに付け替える予定です。
このイラストのようなハンドル蛇口は手指の再汚染の恐れがあるため不可とのこと。

指を使わずにひじ等で開閉できるハンドルや自動水栓にする必要があります。
保健所に確認したところ、古いハンドル蛇口も以下のようなハンドルレバーを付け替えればOKとのことで、安くすませるにはこの方法アリだと思います。


お手洗いの手洗い器は付け替える必要あり

お手洗いには汚染防止のため、原則肘まで洗えるサイズの手洗い器と自分で水を出したり止めたりできる水栓が必要になります。

独立した手洗い器があれば問題なかったのですが、この物件にはなかったため手洗い器は付け替える必要がありました。

イメージ的にはこの記事の手洗い器のようなものをつけます。(DIYではなく大工さんにお願いする予定)
余談ですが退去の時にはこれら全部撤去しなきゃならないんですよね…。
現状回復のことも考えながら工事を進めなくてはならないのもなかなか大変です。


冷凍冷蔵庫

冷凍冷蔵庫については業務用ではなく家庭用でも大丈夫(ただし温度計を設置する等の温度管理は必ず必要)とのこと。
始めはコールドテーブルを置くことを検討していましたが、資金的に厳しいこともあり、家庭用のものにすることに。

これは住居にも冷蔵庫があるからできるミニマム化かなーと思います。


扉のある食器食材保管場所

害虫やネズミ等の被害を受けないよう、扉付きの収納が必要になります。

扉付きの作業台や欄間部分への棚の設置を検討していたのですが、どうも使い勝手が悪くなりそうで…
保健所へ確認したところこういう箱状の収納でもよいそう。

厨房の規模に合った収納を選べそうなので、これは良かったなと思ってます。


厨房と客席が隔てられたつくりであること

カウンター席のみになっているうちのようなお店だと、カウンターと客席の間をスイングドア等で仕切る必要があります。

スイングドアを取り付けると客席が1席分減ってしまいます。ただでさえ狭小店なのに…!
ということでスイングドアはつけず、カウンターを目一杯までつけてもらうことにしました。
私が客席まで移動する際には一旦ダイニングキッチンを通って客席にでる必要があります。

奥側が住居のダイニングキッチン

一旦住居のダイニングを通るのは大丈夫かということも保健所へ確認しました。あくまで客席と厨房が仕切られていれば、移動で住居を通ることは制限しないそうです。
面倒ではあるけど、お客さんにゆったり楽しんでもらうために背に腹はかえられません。土間とダイニングには結構段差があるので昇降運動と思って楽しみます。


ひとまずこれらのやりとりと確認を保健所と行い、図面も提出しましてOKをもらってから工事の着工となりました。

今現在工事真っ最中でして、リアルタイムの様子もインスタのストーリーにあげたりしています。
興味ある方は覗いてみてもらえたらと!

店舗つき住居、かつ3坪の狭小店というのもなかなかないと思うので、そのような店の事例の1つとして楽しんでいただけたら幸いです。

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