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街のお店や生産者が使ってくれる仕組みのつくりかた

こんにちは。はじめまして。クックパッドマートの川原田です。

毎日が楽しみになる、食材店。クックパッドマートにて、販売ストア向けのプロダクトマネージャーを担っております。
クックパッドマートのnoteでは、ユーザーアプリに関する話が今まで多く出ていましたが、本日はサービスに欠かせないパートナーである販売ストア向けのプロダクトについて、お話します。

サービスリリースされて1年が経過しましたが、販売ストア向けのプロダクトはまだまだ着手し始めです。
つい先日、販売ストア向けの管理画面(通称:販売者WEB)をファーストリリースしたばかり。
今回はそのファーストリリースに至るまでを紹介いたします。

いまクックパッドマートでは50程度の販売ストアがあり、今年中に100程度となる見込みです。販売ストアとひとくくりに言っても業態は様々です。
現在は、仲卸、農産物の生産者、製造小売の販売店、仕入が主軸など、多くの業態の方々が参加してくださっています。

サービスリリース当初は日々の流通を回すことに注力

サービスのリリース当初は協力をしてくれるパートナーを数店集めることすら四苦八苦する状態で、販売ストアに出店・出店後の運用をお願いする立場にはまったくありませんでした。流通初心者集団の私たちにとって、ユーザーアプリの開発・改善は常に進めつつも、バックヤードでは日々の受発注と商品を流通させることが最優先だったのです。

そのため、

受発注の自動化(初期は毎日担当者が各店舗に発注電話&FAXをしていました)
・商品流通に必要な1つ1つの商品に貼るマート専用ラベルの自動印字プリンター開発(初期は会社で注文データから手動印字したラベルを朝イチにラベル専用のドライバーが各店に届けていました)※このプリンターは販売ストアごとに置いてもらっています
・販売ストアとの連絡ツールとしてLINE WORKSの導入と活用(初期は担当営業の電話1本、24時間いつでも電話かかってきてしまう状態でした)

をまず設計・開発し、それ以外は運用オペレーションで補っておりました。

これだけでもだいぶ準備されている印象を受ける方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら注文量、販売ストア数が増えればコミュニケーションコストはあがりますし、何よりも水産物、農産物には旬があり、天候にも左右され注文したものが用意できないことも発生します。予期しないエラーも生じます。何かが起こる度に開発者、営業、運用担当と皆がそれぞれ対応に動いている状態が長く続いていました。
また、上記3つが準備されるまでは、ほぼ人力稼動。
どのような仕組みが必要かも検討がつかない状態からのスタートだったので、やりながら最適解を見つけていきました。その当時の話もいずれnoteで出来ればと思います。

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▲ クックパッドマートの流通で重要なマート専用ラベル

販売ストアが増えて嬉しい反面、オペレーションは日々増加

販売ストアの開拓営業担当も増えたことや、メディアに取り上げていただいたこともあり、徐々に参画してくれる販売ストアが増えていきました。

販売ストア向けのプロダクトを考えるのが私の仕事ではありますが、PMを担った直後は運用オペレーションが目下の課題でした。
販売ストアが増えれば増える分だけ、オペレーションの負荷は右肩上がりです。

販売ストアの方々はクックパッドマートの集荷がある日は毎日以下の流れで準備をしてくれています。

注文締切→発注(LINE WORKS/メール/FAX)→専用ラベルの自動印字→商品用意→集荷

何事もなければこのサイクルを日々回すだけですが、リアルな現場では様々なことが起こります。
天候・仕入れ状況に応じて発生する欠品、商品の取り扱い終了、販売価格の変更、流通資材の不足、ラベル印字プリンターのエラー、ラベルの貼り間違い、臨時休業、LINE WORKSのログイン情報忘れ、LINE WORKSの使い方の相談、精算に関する相談、商品間違いなど盛りだくさんです。

特に欠品や販売終了は見逃して対応を漏らしてしまうと、購入されたユーザーさんのがっかり体験につながってしまいます。

このような状態を一刻も早く脱するために着手したのが、販売者WEBです。
私たち運営スタッフが社内で利用しているクックパッドマート管理機能を販売ストアの方へ開放することにしました。

最小限の機能に留める

販売者WEBでやりたいことはたくさんありましたが、まずは販売ストアの方々に管理画面に慣れてもらうことが大事と判断し、機能は最小限の「欠品」に絞り込みました

仲卸、小売店、製造販売店など種類の違う販売ストアの方に話を聞きに行ったところ、まだまだ紙や口頭のオペレーションが多く、毎日その日の様々な受発注ベースで現場が回っている世界が広がっていました。
新しいことには興味も挑戦したい気持ちもあるけど、それよりも目の前のお客様や現場のオペレーション、クックパッドマートとは比べ物にならないほど多い発注量のクライアントの対応が第一であることが販売ストアの方の言動から強く伝わってきました。

その背景もあり、販売者WEBは、運用としても一番見落としたくない「欠品」を最初の機能としました。
管理画面をどう伝えて、どう見せるか、も最初に議論しています。
もともと販売ストアとの連絡はLINE WORKSを利用しているため、アクセスの入り口はLINE WORKS。見せ方は専用アプリ、WEBブラウザが考えられますが、PC、スマートフォンなど様々な環境に依存しないことが最優先、開発や保守のコストも考えると、WEBブラウザで見せること一択でした。
また、販売ストアのヒアリングで発注時のタイミングに商品のことを一番気にかけていることは明白であったため、発注時に常に販売者WEBへのアクセスを促すことにしました。

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▲ 販売者WEBの入り口と画面

メインの実装以外でも、やれることはどんどんやる

管理画面の開発を進めている間にもオペレーションは日々発生しています。
販売者WEBのような大きなプロダクトを作らずとも、少ないリソースで改善できることもたくさんあります。
特に社内で利用しているチャットツールSlackの活用は非常に有益でした。

販売者WEB完成までの期間でも、絶対に見落としたくない販売ストアからの欠品連絡をLINE WORKSから転送したり、販売を見合わせることを促すために欠品が続く商品のアラートを流したりしています。

これらは、学生アルバイトや部内でリソースが若干空いていそうなエンジニアを見つけては対応してもらったり、プログラムが書けない私がTableauやZapierという便利なツールを使うことで解決したりしています。

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▲ 「欠品」連絡のSlack転送と対応チームへのメンション

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▲ 欠品が続く商品の自動アラート(botが働いてくれています)

いざリリース!難なく使いこなす販売ストアの皆さま♡

さて、販売者WEBが完成し、販売ストアの方々にリリース。
機能もUIも最小限、さらにLINE WORKSに送っている発注時のお知らせメッセージに合わせて都度販売者WEBへのアクセスURLを案内するという伝え方もよかったのか、リリース後から販売ストアの方々が問題なく欠品の登録を自らしてくれました。

最初は使い方を教えて!の質問が来たり、欠品を今まで通りメッセージで知らせたり、が想像されたのですが皆無。販売ストアの方々が簡単に使いこなしてくれました。
そこで、次に日々の流通で重要な商品ラベルの再印刷機能を追加で実装、リリースをすぐに行いました。

この2つの機能により運用負荷が軽減されました。

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▲ 販売者WEBにて削減された欠品運用(1品ずつ上記対応をしていました)

結果、欠品やラベル切れ・プリンター不調の際に販売ストアの方々で自己解決をできるようになっただけでなく、再印刷機能を使いこなし自分の好きなタイミングにラベル印刷を行う販売ストアも現れています。
この最小限の機能リリースによって、自らでコントロールできるという感覚が販売者体験として決して悪いものではない(負荷となってやりたくないものではない)ということがわかってきました。

まとめ

まだまだやりたいこと、やるべきことは山ほどありますが、販売者WEBをまずはリリースしたことで信じるべき大きな柱が1つ見つかりました。
サービスの初期に「私たちは出店・出店後の運用を販売ストアにお願いする立場にはいない」と思っていましたが、「何かを販売ストアの方々に任せる」という考えが少し違っていました。
「自在に自分のお店の販売をコントロールできる」という感覚をもってもらえるようなプロダクトづくりを今後続けていけばよいのだと強く思い直しています。

ここまで読んでいただけた方は、販売ストアの方をどんどん巻き込むためにこれから色んな仕掛をつくっていくフェーズにあることがおわかりいただけたかと思います。
この記事を通してクックパッドマートの事業開発にご興味を持っていただけた方がいれば、ぜひお力を貸してください!一緒にサービスを作りましょう。

クックパッドマートチームは、エンジニア・デザイナーはもちろん、様々な職種で仲間を募集しています。ご応募おまちしております。

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