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眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法

眠る投資 表紙

●感想
日中のパフォーマンスを上げるには効果的な睡眠が必要であることと、そのパフォーマンスを左右するのは脳のネットワークのオン/オフの切り替えが重要である。現代社会で起きている「うつ病」の問題に関しては、このオン/オフの切り替えがスムーズにできていない為に起きているものである。この本では上記の①効果的な睡眠と②「うつ病」にならない為の脳のネットワークの切り替えに着目して、睡眠の重要性から普段の生活において意識すべきポイントを紹介しているものである。
コロナ禍で在宅勤務が普及しつつある中、今まである意味てルーティン化していた朝通勤するという生活リズムが無くなった自由な世の中であるからこそ、今一度自らのパフォーマンスを見直し明日への活力を見出す指南書として魅力的な内容だと思った。


●10分読書●
●あらすじ
睡眠の乱れによる日中のパフォーマンス低下は最初は自分で意識することができない。単純に睡眠時間が長い人が健康か?という視点でみても睡眠時間が短くて長くてもうつ病の発症率は変わらないという結果が出ている。効果的な睡眠が“投資”のように毎日コツコツと積み重なり日中のハイパフォーマンスを導くことができるのだ。
第一章
いい睡眠がいい人生を作る
心の波と身体の波が存在していると筆者は提唱する。心の波は受験、就活、仕事、恋愛等コントロールできないものの為対応が難しいが、身体の波は食事の食べすぎや極端に少ない睡眠等といったコントロールできるものになってくる。良い人生を送る為にはコントロールすることができる身体の波を整えることが重要なのだ。身体の波が安定しているかの一つの指標が起床してから4時間後に眠くなっておらず神経が覚醒しているか?で図ることができる。ここが安定していれば例えば週7日勤務でぱっと見激務だったとしても心の波が安定しているからこそ仕事をこなせる場合もある。
また、直近での「コロナうつ」と呼ばれるものに関しては外出自粛による生活リズムの変化や人間関係/労働環境の変化が起こす“低活動性のうつ”である。身体のコントロールが以前のように上手く行うことが出来なくなった為に心の波も乱れ“うつ”状態に陥っているのだ。
特にビジネスパーソンのうつ発症原因としては①内的要因(自分の心、身体、脳)②外的要因(解決できない仕事の課題や家庭問題)③人間関係の3つに包括することができ、どれかで不調が起きるとそれ以外の二つにも影響し結果的にすべてに不調を起こし負のスパイラルでうつ状態陥ってしまう。だからこそ自分でコントロールできる要因から整えていくことでうつ病発症リスクを少しでも低くさせることができる。
その際に睡眠薬や抗うつ薬等を処方されることもあるが、うつ病再発症率は6割以上とも言われている為、根本の原因を解決しなければこの負のスパイラルからは抜け出すことはできないのだ。
これらから、心の波を安定にさせる為にはまず第一に身体の波を安定させることが重要になってくるのだ。そしてその為には良い睡眠が効果的になり、その良い睡眠を行うには日中の活動が重要になってくる。

第二章
睡眠という投資
昼の生産性は夜のベース作りで決まり、睡眠は節約できるものでもない。なお、組織全体が「24時間働けますか?」のような雰囲気の中、睡眠不足であると互いのミスに気づけなかったりと大きな影響も及ぼすことがある。世界の睡眠時間でみてみても日本は最下位の7時間半(OECD全体では8時間半)と国全体が睡眠不足であることが示唆される。
また、「うつ病」においては女性は5人に1人、男性は10人に1人の割合で生涯はうつ病を発症するといわれていて、これらは脳のネットワーク調整がうまく機能していない為に起きている。現在は処方薬による治療を始め、病院の経営的に利益が小さいことを理由にカウンセリング治療が少ないことや、逆に患者側からみても保険適用が無い為、最終手段として最近ではTMS治療というものもでてきたが、使用することが好ましい。だからこそ毎日行う睡眠を効率的にさせることでうつ病の発症率を下げていく必要があるのだ。

第三~六章
究極の眠る投資
―睡眠―
ここでは①朝②昼③夕方④夜とそれぞれの時間帯における睡眠法を紹介している。その中でも朝とお昼に関しては実践しやすい内容になっていると考える。まず朝に関しては起床後、5分間ほどは日光を浴びることで身体のスイッチが入り覚醒する。そして14~16時間後に眠りのホルモンであるメラトニンが上昇し、夜の睡眠へスムーズに導いていくれる。
また、昼の睡眠においては「計画睡眠」を行うべき。手順はこうだ。
①眠たくなる前に計画睡眠をする
②カフェインを得られるコーヒーや紅茶を眠る前に摂取
③椅子等に座ったまま、15~20分程仮眠する
※眠れなくても目をつぶるだけでも脳を休ませる作用があり非常に効果的である。また、年を置いてくるほど仮眠時間は増やした方が良い(40歳以上は20分が最適)。更に11~12月の冬場は睡眠が長くなり、7~8月の夏場は睡眠が浅くなる為に季節に合わせて睡眠時間の調整を推奨する。

―食事―
睡眠において朝の日光が重要なように、食事においても朝食が重要である。朝ごはんを摂らないのと比較し、少しでも摂取した場合の方が日中のパフォーマンスにプラスに働く結果が出ている。
食事に中身に関しては、睡眠ホルモンを司るメラトニンを生成するに必要なセロトニンの素となるトリプトファンを摂取することを推奨する。トリプトファンを多く含むのは肉、魚、豆、乳製品、卵といった種類である。
筆者が特におススメしているのが「味噌汁」である。味噌汁は上記の食材をバランスよく摂取することができ、且つバリエーションが豊富な為に様々なシーンに合わせて味や食材を組み合わせることができる万能料理であると提唱する。

―運動―
運動をすることでセロトニンの濃度を上げることができる他、脳のネットワークSNへもプラスな効果を発揮することができる。ビジネスマンであれば毎日の運動が難しくとも、朝晩に最寄り駅の一つ前に降りてそこからウォーキングをすることを週5日するだけでも十分に効果を発揮することができる。その他にもマインドフルネスや肩回しストレッチ等も推奨している。

―脳の使い方―
小さなこと(朝起きてから歯みがきをするか着替えをするか)等の意思決定が多いほど脳への負担が大きくなり、パフォーマンスに影響を与える為、生活の中でルーティン化をすることを推奨する。例えば帰宅後はお風呂に入る等、そうすることで脳への負担を小さくすることができるのだ。その他に仕事中においてもタスク整理の方法等が紹介された。

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