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「兄の終い」

人が死ぬってこんなに大変なんだ。

死んでしまったお兄さんのような人は、どの家をみても必ずいるものだ。勝手ばかりやって、周りを振り回して、どうにもならなくなると出て行ってしまう。もう、あんなの親戚でもないし、家族でもないと思いつつも、死んでしまった後は誰かがその人の遺産(負債)を引き継がないといけない。

兄には幼い子供と、ペットのカメと魚がいた。動物好きというのが、何かとてもいい。主人公である妹と、兄の元嫁とが兄の死んだ後始末に奔走するドキュメンタリーがこの本の内容です。

五十にもなって定職がなく、病気を患い、普通の価値判断だと、だらしないと人間だと思う。だけど、子供は父親思い出し、元嫁も本来は関わる必要のないことなのに、懸命に体を動かす。

書かれている三日間の出来事を通して、兄の死を消化し、兄の呪縛から解き放されて、新しい生活に踏み出した三人を見ていると、とても人間って逞しいものだと考えてしまった。

いつかは、人は死んでしまうもの。死んでからの事は関係ないといえるのだけど、どういう人でも生きている過程で色んなものを残していき、死んでからも影響を与え続けるのだと感じた。

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