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「2024年cocoonからの旅」 VOL.2 ~最初の寄港地~


私たちの空飛ぶ大型観光船は、亜熱帯の森に着いた。最初の寄港地である。
うっそうとした森林。そこから突き出た巨大な岩山に錨をおろして停泊するのだ。
船から森を見下ろすと、それぞれ独立したコテージ群が、樹々の間から覗いている。

この土地が持つ、土や種、風土を活かした活動を極めたいという人たちが、全世界から移動してきて、この村に滞在している。
伝統農法、食事療法、アーユルヴェーダやアロマセラピーなど、心身の健康にかかわる活動、陶芸やペインティングなどの美術品、木製楽器の演奏など、芸術にかかわる活動、様々である。

私たちは、わずか1週間の滞在ではあるが、ここでこの人たちと交流しながら、互いのサービスや、持ち寄れた植物の種の交換をし、全体として喜びを共有していくことになる。
このツアーを通して、報酬の受け渡し、受けたサービスへの支払いなどは、すべてセントローズ財団の管理下にある。それは、デジタル通貨で決済されるため、各人は、意識はするものの、作業としての会計処理からは解放される為、より純粋に本質的な活動に注力できるようになっている。
私は、伝統的なレイキヒーリングとボディケア、グループセラピー、カードセッションなどを提供する。
その都度、場が指定されるのであるが、村の人か、乗船メンバーか、誰がどのオーダーをするかを問わず、別に設置されたサロン用コテージで、サービスを授受するシステムである。
サロン用コテージにいる間は、お互いアバターを使用することになっている。プライベートな空間に戻った時に、お互いのプライバシーを守るための工夫として、ボディごと秘匿にするのだ。
私は、この村では薄目のボルドーのしっかりしたボディを選んでおいた。ケアの際の安定感を演出するためである。

早速一人目のレイキヒーリングの時間となった。割り当ての専用コテージに出向き、120分じっくりおてあてをした。


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