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獣の柱 May 25

『獣の柱』2回目。

初めて和夫の隠れ家に姿を現した白ローブの望たちが話しているところで、ちょっと大きめなリアル地震!
望が自然な芝居の流れで(もちろん少々ザワついた客席も気に留めながら)スッと両手を広げて島くんや和夫を制し、「大丈夫。落ち着いて。」と静かに仕切り直して進行。あの瞬間、なんか舞台上も客席も、望?浜田さん?を信じて託すような雰囲気になってたよね。
信じて託すことのできる人だった。
物語の中では散々とんでもない天変地異が起きていて、地球の意志?神?("柱"ってやっぱ神様だよね)みたいな話にもなるし、あの地震は遠くからジワジワと押し寄せてくる波として感じられて、物語に入り込んじゃってる私たちにとってはその中の出来事だと思えるくらいで…そんな感覚になっちゃってて…ちょっとextraなゾワゾワ体験になったよね。

え?ちょうど何日か前に公式さんがアップした舞台写真のシーンだったんですけど…!
何?…公式さんまさか…
え?ここに物語を感じちゃったりしてもいいんですか?
…この公演自体、もしかして何かの予兆なのですか?…😳
あゝこの、こちら側まで侵食してくる感じ…そう言えば『プレイヤー』を思い出した。

伝えたいことがあって来た、コミュニケーションを取りたかった、と、冒頭でハッキリと言ってたね。
伝えたい一心で空から落ちてきて、必死になって顔真っ赤にして何かを伝えようとしてたよね。
空から降ってきたのは望の意志なのかな。それとも誰かから遣わされたとかなのかな。
連れて行かれた(ラプチャー?)のは誰かの意志によってだけど。
地球の免疫機能?自浄作用?
大きな大きな生命体の中の一体系・一部分だっていう感覚、解らないではない。どんなに自分の意志を持っていると思っていても…。
でも桜に、何かを伝えに来たんだよな。
桜のところに来たのは、望の意志のような気がするな。
「変化しなきゃダメだ」って伝えに来たのかな。

伝えられないもどかしさ苦しさと、
思考が言葉に閉じ込められてしまう残念さと。

島くんはどうやって言葉を習得したんだ?お年寄りたちと接しながら徐々に覚えていったのかな。望と同じように…空に上げられて、新型になって、佐久間たちを手先として使って黒看板を設置したり…幸せを与えるためにね。
「何してるの?」「存在しています」
「誰?」「島 忠です」

え、え、ちょま…当パン見たら望と島くんは「受肉の存在」とか書いてあるんだけど!
…神が、肉体の形を得たもの、ってことだよね…
wikiによれば "受肉" はカトリックでは古くは "託身" とか言ってたらしい。託す…うわわ!ちょっと震えたね。
和夫たちは「新人類」。

「変化を促した」
桜の両頰を手で挟み、自分の口から吐き出す何かを呑み込ませるような仕草で。

理解すること伝えることがこれだけ困難だとされている中で、やっぱり肉親・家族という繋がりにはそれを超える何かがあるんだろうか。それを信じて良いのだろうか。
望と桜の繋がり。
「受肉の存在」であるはずの望だけど、そうではない望として、桜に会って伝えたかったんだろうか。
部長と桜、その娘、そのまた息子、という繋がり。
あゝ…一つね、確かに言えることがあるね…遺伝子を、生命を分かち合っていたり、繋げていることね。
結局それくらいしか、確かなことって無いのかな。
確実に伝えられることって、それくらいだということか。

望は空から落ちて桜の所に戻ってきて、その後の50年どこに居たんだ?桜からきっかけをもらって言葉を習得し始めて、世界へ伝えるための手段を得て、そしてそのうち「新人類」の出現をキャッチして、彼らを集めて…そうやって行動し続けた。でもずっと桜と一緒に居たのではないよね。部長と桜の孫が「新人類」として生まれてることを、望は2051年に初めて知ったんだもの。それを知った望は嬉しかっただろうな。
世界を救うために望が行動しているということを、桜は知っていたのだろうか。
部長と桜は、終末を何とか生き残るために精一杯の抗いをした。生き残った末の千年王国を夢見て。
未知との遭遇から逃げずに。逞しく。
千年王国は彼らには築けないんだけど…何とか絶滅をしのいで、繋いで、そのうちに「新人類」が出現した。
天文部の部長だから、自分が生きてるうちに結果を出せない、後世に繋ぐことが目的の研究が必要ということを解ってるよね。
望は「さあ、始めましょう」と言って千年王国を率いてくれることになるけど、それを目指しておそらく50年間行動し続けていた、そのことを部長と桜は知っていたのだろうか。
知っていたんだろうな。望に託したんだろうな。自分たちに出来る精一杯の役目を果たして、最期は安楽死したんだろうな。
旧人類は滅びる他ないということも解っていたんだろうし。太古からそうやって、地球の生命は紡がれている。
あゝ!そう言えば空から落ちてきた時の望、棚に飾ってある恐竜のフィギュアを見て慄いていたじゃん!!うわぁゾワゾワ…

桜…小説家。物語を作る人。
最初の隕石の仮説も、レポートも、地球の免疫機能だという説も、桜の想像力から導き出される。
"物語の効能" について思わずにはいられない。

そう言えば、佐久間たちの逞しさについても思う。避難所から老人を追い出せば…という提案だって全否定することはできない。潔いほどに自分の利益・生存を最優先に考える彼らのような「悪人」こそ、動乱の中を生き抜くことができる。テナルディエだよね。
「善人なおもて往生を研ぐ…」嘘偽りの無さで言ったらホントそうなのだ。
でもその佐久間に対して、柔らかな物腰で「お引き取りください」と言える部長は強いよな。

うわ!ツイッターで前川さんが恐竜に言及!
ご自分のことを「隕石関係者」と言ってるのも興味深い!


え?え?…もしかしてそういうこと…?
絶滅するのか…旧人類は…ここで…みんな…
「さあ、始めましょう。」ってそういうことなのか…
その意味でも部長と桜は先駆者だったのか…
その結末をハタと思いついてしまったら、もうそれが最適解というか、そうかそういうことかと納得できてしまう…
途端にこれは自分事として恐ろしくなる…!
ホント、自分事として感じることの恐ろしさよ!…怖い!怖いよ…

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