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日本語講師に資格は必要か…海外ノマドが各国で仕事をしながら思うこと

海外ノマドの私の本職は?

私はNOTEでは「海外ノマド」として、記事を書いている。でも、私の本職は別だ。
私は元々コロナ禍まで大学院で博士論文を書いていた。気がつけば1000ページくらいフランス語を書いた。今は言語学博士で、それが私の専門だ。博士論文を書き終わって、仕事を見つけて、また別の国の大学の講師として働くことになった。


ノマドワーカー?ノマドライフ?私がノマドなわけ


大学講師と書くと、「ノマド」ではなくて、定職を持つ人、と言えるが、ある意味そういう定職を1つ持ちながら、他の仕事もこなし、その仕事のために国を移動したりしている、と言う感じだ。

ただ、大学院で博士論文を書いていた時に、通常は大学などで仕事をしながら論文を書いたり、研究をしている人も多い中、私は自由がきいて、論文執筆に集中できるように、仕事を選んでいた。
だから、フリーランスの通訳や翻訳、それもメインにイベント関係の、短期集中型の仕事をこなしていた。
特にイベント関係の仕事の場合はそのイベントがあるごとに様々な場所に行くことも多く、定職とは違い、週5日、9時から5時というような仕事ではなく、ノマドのように色んな場所に移動して仕事をしていた。

そして、気が付けばそれだけではなく、12歳で単身でやって来たフランスを軸に、色んな国に住んできた。博士論文後に移動した先が今までとかなり異なる環境に移動したせいもあり、その人生は結構変わっていると言われて、興味を持ってくれる方も多かったので、色々書いておこうかと思ったのが、このNote を「ノマド生活」という名前にしたきっかけだ。

けれど、この3年間は一応自分の専門分野で仕事をこなしていた。その合間に学生の時にしていた仕事なども継続しており、定職が1つある中、その別の仕事によって、場所を移動したり、生活基盤を数か月ごとに変えるような日々を送っていた。

本当の専門は言語…大学講師…専門とは?

そんな「ノマド」は資格や専門ということを書くならば、「言語」が専門かもしれない。そういうと、「それはなんだ?」という人もいたが、言語学の博士なので、それが私の専門だ。
専門家とかプロフェッショナルというものがどんな人なのか、資格や免許はどれだけ大事なのか…今では多くの「専門家」がいるが、資格がなくてもなれる「専門家」もある(ようだ)。

資格と言う話であれば、国家資格というものが存在するため、資格がなければ就けない仕事もある。例えば、国家資格がないと医者や弁護士になれないし、その職業に就くことはできない。

けれど、世の中にはそうではない、国家資格ではない資格もたくさん存在するのだ。そのあたりがなかなかややこしい気がする。大学卒業資格も資格だし、その専門によって、仕事にも影響することがある。でも専門にもよるが、大学での専攻関係なく仕事を見つけることもできる、その後は職歴によっても、専門的な仕事を得ることができることもある。

専門を長い年月をかけて勉強してきた私にとっても、専門、資格ということがとても大事だと思う一人だ。資格がなくても仕事ができる職業も多くあるが、それでも、私は自分が費やした時間とお金を考えれば、やはり専門というのはとても大事だと思うのだ。

専門と趣味の間

ただ、私が趣味でしていたSNS(別の)で自分の地元紹介をしていたのだが、そういう専門と言うことに関して書いた時に、誤解もあって、「資格もないのに.」と言うような中傷を受けたことがある。
私は自分の住む地元が大好きで、論文を書く合間に自分の地方を回りながら、その地方の情報配信をSNSをでしていた。だた、それだけで、その場所でガイドとか案内ということは一切していなかった。

けれど、その地方のガイドをしたいと間違われたのだろうか…私は歴史にも詳しくないし、街の建物や博物館、美術館にも詳しくない。
でも、その地方のワインとかイベントが好きで、そういう情報をSNSで書いていて、それは仕事ではなく、ただの趣味だった。

趣味も極めると仕事になってしまうこともある。テレビでも、何か極めた人がその「専門家」として出てくることがある。でも、それは「年間ラーメンを300杯以上食べる人」とか「毎日チーズケーキを食べる人」とか、そういう好きを突き詰めていった人たちが、ある特定の分野に詳しくて、テレビではそういう人の意見を聞いたり、そういう人のコメントをもらったり、ということもある。

その「専門」というのは誰がどこでどんな情報を必要としているか、ということとも繋がっているんだと思う。だから、例えば法律のことや、事故などがあっった時などはその専門家である大学の先生や、弁護士の先生などがコメントを言うこともある。

私がSNSで資格について叩かれた時には、「免許がなければ運転できない」、それと同じことだと言われて凹んだ。それは私がもしも免許があっても運転ができない身体なので…免許さえあれば良いみたいな言い方に傷ついて、そこで暫くSNSを辞めていたこともあった。

専門、や資格にも似ているかもしれないが何か「できる」ということも、少し関係しているかもしれない。資格があるから「できる」ことがある。資格がないと「できない」こともある。けれど、それ以外に「できる」というのは能力の時もあれば、身体的なこともある。私は身体の障害(?)的な理由から、車の運転などはしない。もしかしたら、「できる」のかもしれないが、「怖くてしない」というのもある。ある意味五体満足ではないので、運転とかはしてはいけないな、と思ったりするのだ。

でも、それはパッと見た外見からは分からないし、そんな私が、他の五体満足な人よりちょっと努力して、大学院で修士、博士号を取得できたことで、なんでもやりたいという気もちや、好きだという気持ちがあれば、突き進むこともできる。と私は信じている

ちょっと話が反れたが…

だから私は自分の専門を大切にしたいと思うし、「資格」というものはもちろん大事だと思っている。博士号取得後は大学講師をしている。私は一応語学の講師で、専門は日本語講師だ。海外の大学の日本語学科で日本語を教えていた。

仕事には資格が必要なのか否か

コロナ禍で色々世の中の事情も変わり、最近目にするのはオンライン日本語講師、フランス語講師などなどの語学講師など…昔から存在していたが、コロナの影響でオンラインクラス、オンライン講師が増加したと思う。

日本語講師もちゃんとした日本語学校や大学の講師なら資格を求められるし、来年から日本語講師も国家資格になるそうだ。フランス語もFLEと言う大学での資格があり、これがないと正式な語学学校や大学付属の語学クラスなどでは教えられない。

それでも、SNS上では(ブログなども)需要と供給さえ合えば
「(日本語教師に)誰でもなれます。」と言う人もいるし、フランス語講師を名乗っている人でも資格持ちじゃない人の方が多いかもしれない。特に、どの言語もそうなのだが、まだまだネイテイブ講師が少ない地域もあり、資格がなくてもネイテイブであれば良いというところも少なくない。

今までは日本語講師の資格も
① 日本語教師養成講座420時間コース修了者
② 日本語教育能力検定合格者
③ 大学・大学院日本語科修了者

のどれか、というのが必須のところも多いが、海外やオンラインならその資格すらなくても良いということも多い。大学でも、本来は博士課程修了者が対象のはずだが、自国の先生でも修士課程修了、もしくは学士までの先生も少なくない。

それはその需要と供給が比例していないので、需要が多ければ本来必要な資格がなくてもできてしまう時もあるのだ。

有資格の語学講師であること

私は本職は大学講師と名乗っているが、ある意味本職は言語を教える講師で、日本語講師だ。(でもなぜか日本語講師って格が下がって見られる気がする。)

そして資格と言うので言えば、フランス語講師もできる。

日本語教師養成講座420時間
日本語学科修士課程取得
言語学(日本語学習)博士課程修了

フランス大学FLE修士課程修了
イギリス大学第二言語学習系修士取得

これだけ資格はある。
逆にこれだけ専門家な人も少ないかもしれない。日本語学習専門で、修士と博士を持っていて、海外でひょっこり暮らしている人は結構珍しい…ようだ。

でも、知識だけあっても、教えるのが下手とか、経験が少ない人もいる。大学の先生は通常自分の専門を教えるから、自分の専門に関してはほかに教えられる人がそんな多くないこともある。
でも学校によっては多くの人が教えることができる科目などもあるので、あとは経験やその人の教え方など、が関係すると思う。

私の語学教授の経験で言えば、
フランスの大学で10年 日本語教授
ベトナムの大学で3年 日本語教授

フランスの大学で研修として3か月フランス語教授
個人レッスンで英語、フランス語教授

をして来た。
確かに、英語やフランス語に関しては資格のない頃から、周りの人に教えてほしいと言われると教えることがたまにあった。でも、語学の専門家ではなかったので、多少の違和感を持っていたのを覚えている。

多言語話者が語学を教えることも多い。それは語学の勉強の仕方を身を持って知っていると言うことと、学習者の母国語を使って教えることができるメリットもあるからだ。

私の語学力は
日本語、英語、フランス語 同レベル
スペイン語、イタリア語、日常会話レベル
(最近は旅行会話レベルかもしれない)
ドイツ語(クレープ屋でお客様とのコミニケーションができる。)
ベトナム語 (初級)

ほどだ。語学教授だけではなくて、語学学習の経験もそこそこあるかも、しれない。元々語学学習が趣味で、それを極めるために、大学院で
「どうやって外国語を習得するのか?」
という第二言語学習を専門として勉強していた。

確かに、マルチリンガルの人が、自分の経験を生かして語学を教えるケースも多いかもしれない。学校ならちゃんと教師の資格が必要なのに、プライベートレッスンなどでは誰でもが英語や日本語、フランス語も教えることができて、そう言う先生じゃない先生に教えてもらう人も少なくない。

特に資格よりも、会話などはネイテイブに教えてほしいと思う人もいるだろう。

資格化経験か

資格って何かを教えるための知識があるということだが、結局教えるということは対他者との関係なので、いくら知識があっても、結局教え方とか経験とかも重要になってくる。だから、大昔で言えば、そういう資格がない時代なら、まずは経験を積んで、経験から自ら多くを学んで、必要な知識も得ることができる。資格は知識と技術と両方必要なこともあるので、学校の先生などは教育実習という実技も必須になる。日本語講師には今までその自習が必須ではなく、(日本語教師養成講座420時間の講座では比較的その実習がある)国家資格になると実習が必須になるという記憶がある。

オンライン日本語教師も、実はオンラインだからこそ、の難しさや、教え方もあるだろうし、だからこそ、新しい分野の場合はこうして経験を積みながら、そのノウハウを人に教え始めたりするのかもしれない。

また、日本語を教えるときは、こういう資格を場合は日本語を日本語で教える直説法を学習するが、日本語教師が外国語を話せなくても教えられるように、という講座でもある。それは将来どこの国の人にどうやって教えるかは分からないから、だし、この資格は日本で日本語を教えるために必要な資格だから、なのだ。

誰に教えてもらいたいか

これは仕事をする側にもよるが、需要の方が大事なので、その仕事を依頼する側が「誰にお願いしたいか」が大事なのだ。

〇資格があってちゃんと知識がある人
〇資格はないけど、経験豊富な人
〇有名人

などなど…
私は勉強してきた時間だけ、長く、自分自身もマルチリンガルだ。自分がどうやって語学を勉強してきたか…ということも、経験の1つになるだろうし、どのくらいの期間教えてきたか、ということも経験の1つだ。

私は研究が好きで、どうやって語学を勉強するのか、ということを調査することが好きだ。実は教えることは苦手だと思っている。
けれど、せっかくの専門なので、時間がある時にフランス語学習のツールを作成した。

自分が外国語を勉強するのに役に立ったテキストを元に日本語でフランス語を学習できる簡単なテキストと、それに基づく動画まで作成した。けれど、その後専門が日本語教授になっていたことと、語学を教えることがあまり得意ではないと思っているため、そのままそのツールは眠ったままになってしまった。


オンラインフランス語学習ツール

と言うことで…。
せっかくなので、時間がある時には自分の専門をもう少し有効に使っていこうかなとも思っているところだ。

もちろん、3週間でフランス語が流暢に話せるわけではないが、ある程度の基礎を勉強でき、20課から構成されるPDFでのテキストと、動画になっている。ただこれは本当にシンプルで簡単に勉強できるツールとして、ややこしい部分を全部省いたものだ。

そんなフランス語学習に興味のある方へ…
有料時期とメンバーシップを作成することにした…。

だから、オンラインで教えている人の中には外国で(もしくは対象は外国人なので)その国の外国語を話せるので、日本語講師として多くの学生が集まるということもある。やはり日本語のみだけだとそこに限りがある時もあるからだ。だから、日本人ではなくても、日本語能力試験の1級を持っているその国の人が教えていることも多い。

日本語能力試験1級を持っているということだけでも日本語ができる大きな証拠になるし、同じように日本語能力試験を受けたい人にはこういう人からどうやって受かるのか、ということを母国土語で聞く方がためになることも多いだろう。

資格を有効に…

ということで、話が長くなってしまったけれど、恐らく今日の記事は日本語教師という仕事について、そして「専門性と資格」について書いているが、私の場合では、私の専門でもある「日本語教師になるには資格が必要か」ということについて書いてみた。

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