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「思春期心理学」

思春期の心理って写真でわかるの?と思ったのは、写真展のタイトルを見た最初の疑問だった。人物を撮るのはめったにないが、写された人の性格や雰囲気がなんとなく写真で読み取れるという気がする。しかし、思春期の若者を対象に写真を撮ったことがないので、彼らの心理は写真の中でどうのように表されているかを知りたくて、写真展に足を運んだ。

しかし、会場についたら、「写真展」ってこんな感じ?と驚いた。デパートの一角に、何枚かの少女写真のパネルが飾られた写真集の販売コーナーにすぎないように見えたから。コーナーの脇にいるスタッフさんに「『思春期心理学』の展覧はここだけですか?」と聞いたら、「ここだけです」と言われた。「これだけで思春期の心理がわかるわけないでしょ」と思って、帰りたくなったが、人混みの多い渋谷まで来たのに、到着してから1分後に帰ってしまうのは悔しくて帰れなかった。だけど、一目瞭然の会場で何をしたらいいのかわからなくて、1×4メートルの会場を二、三回歩きまわしたら、展示された写真集を手に取ってパラパラとめくり始めた。

『少女礼賛』のような作品で少女たちの心理を表そうと思って、少女を対象に撮り始めたのかなと、写真家の青山さんのことを推測した。しかし、少女たちの体のクローズアップ写真から彼女たちの性的欲望を表しているとしか私は読み取れなかった。性的欲望だけが彼女たちの心理なのかと思うと、違うような気がした。そうじゃなかったら、何から「思春期心理学」と言えるのか?

それをわかるために、青山さんの自伝のような本を買った。

本の中で触れられた思春期は、青山さんが自分にしか撮れないものを探したら見つけたテーマの一つのようだ。少女写真は、思春期の頃に同世代の女子に抱いた妄想を写したもののようだ。さらに、青山さんによれば、写真は撮る側の視点が写ると、本の中では書いてあった。そうすると、「思春期心理学」というタイトルで展示された作品は、撮られた少女たちの心理ではなく、撮る側の青山さんの心理を表したものだという推論にたどり着いた。

そう思うようになると、写真展を見に行ったがいを感じた。なぜなら、青山さんという方のことが少しでもわかったような気がしたから。さらに思うと、自分はやはり人に興味があるんだと再認識できた。そして、心理学に専攻を変えてよかったとほっとすることもできた。

これからは、青山先生に出された宿題、「自分の撮った写真で自分の目の癖を分析する」ことに取り組むのだ。








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