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【心の在り方から見る経営②】意思決定の根底にある「動機」を制御できているか?

経営課題の源泉は経営者の心の在り方にある
組織課題の源泉は構成員の心の在り方にある
ゆえに課題への根本的な解消は常に内面の変容を伴う

これは10年近く経営戦略コンサルタントを勤めてきた私が確信したことです。これは私がコーチングをやっていることの大きな理由の一つです。私がなぜこのようなことを考えるに至ったのか、あるいは、コーチとして経営というものをどう観察しているのかの一端をnoteで連続してお伝えしたいと思います。第2回は意思決定自体の質のみならず、意思決定の根底にある「動機」の質を制御すべきというテーマです。

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意思決定の根底にある動機が盛衰を左右する

私が企業に経営顧問として関わる際に注視しているのは「瞬間瞬間の意思決定の動機が正しいか」です。

正しさとは儒教で言えば「仁」と言われるもの。他人に対する親愛の情、優しさなど。これまでの経験上、「仁」を動機に据えていれば、企業が少なくとも自滅の道をひた走ることはありません。そして大概の場合は、社員の士気は高まり、顧客満足も上がっていきます。「仁」が動機の根底にあれば、企業行動における意思決定の細部にそれは浸透していきます。それが企業によき血流を生み出していく様を私は見てきました。

「仁」と対極的な動機は利己的欲望です。経営者が無意識のうちに利己的欲望に駆られることは企業の自滅の遠因になります。「業績をあげて経営者コミュニティの中で認められたい」、「業績を上げないと投資家からの圧力であいってしまう」。主にはこのような発想・言動として結実していきます。このような動機が顧客満足度の向上、社員の士気向上に寄与する意思決定を導き出す土壌にならないのは火を見るよりも明らかですね。

経営の諸々の意思決定には全て根底に動機があります。したがって、動機を整えれば経営は根本から整います。個別の意思決定の合理性を云々するという話は表層的なイシューに過ぎなくて、長期的持続的な企業の発展を願うのであれば、動機を整えるべきなのです。前者は外科手術的なもので、後者は体質改善に近いものでしょう。だから、動機を整えるというのは継続性の高い経営改革なのです。

したがって、本質的な見地に立てば、経営課題とは至って内面的なイシューなのです。ハーバードビジネスレビューも近年はより内面的な論文が多いですが、経営学が内面に傾斜していくのはある種必然だと私は感じています。

ですから、経営がうまく行かないと感じたとき、真っ先に点検すべきは経営者自身の動機です。

京セラ創業者の稲盛和夫さんは日々「動機善なりや、私心なかりしか」と自らに問いかけたそうですが、このようなルーティンは企業の発展には不可欠といえるでしょう。特にこれからの時代はそう言えると思いますね。

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